Rely on -each other-

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haze

2-2

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 二人でいても勿体無いと感じる程の広い家で、今日から五日間、一人で過ごす。
 昂良が働きにいっている間はいつだって一人だ。それでも彼が帰宅すれば文字通りくっついて離れないので、さっそく湧き上がってくる解放感は実に心地よいものだった。

 まずは計画通りに進まない仕事に取り掛かる為、自室へと向かう。

 仕事に支障をきたす存在が、この家の主である昂良なのは言うまでもない。在宅ワークを始めてからは、翌日に響くからとセックスの頻度を減らしたと言うのに、隙を見つけてはキスやハグをしていては意味が無いのだ。その事はしっかりと本人にも伝えている。言った直後は従順に応じるのだが、すぐに忘れてしまう。

 愛情表現が過ぎるあまり業務が立て込んで、徹夜する羽目になった時は勢い余って叱責した。『それくらい朔斗のことが好きなんだよ』と言う言い訳の後、彼は酷く落ち込んだ様子で謝ってきた。

 結果、徹夜する事態に陥ることは無くなったのだが、相変わらずのスキンシップは、進捗状況に余裕を持たせてはくれない。
 当時は昂良の言い訳に苛立ちを覚えたのだが、今思えば彼の言葉は本気だった。

 ふと、考える。自分なんかのどこがそんなに良いのだろう、と。

 趣味も特技も無ければ、抜きん出た才能も、容姿も、魅力も無い。こうして一人になれば、何をして良いのか分からずに突っ立っているような人間だ。

 ただひとつきっかけがあったとするなら、軟禁生活の中でたった一度情けをかけたことだが、それがここまで人を深く愛する理由になるとは思えない。
 同じように愛を返すことが出来ない人間となれば、なおさらだ。

 ――――しかし、昂良の真意を知ったところで恋情が芽生えるわけではない。

「……仕事しよ」

 思考を断ち切るように、敢えて口に出してみる。PCに向き直って、何にも妨害されない作業を開始する。

 自分の存在すら疑うほどの静寂は、仕事の進捗を後押しするでもなく、ただ漠然とした虚しさを連れてきたのだった。
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