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haze
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「挿れるぞ」
後背位でする時は他のどの体位よりも、昂良の動きが慎重になる。
窄まった箇所を遅々と押し開かれて、力を抜こうと全身に信号を送る脳に体が逆らい始める。先程まで三本の指で広げられていた場所でも、膨大した昂良のものを受け入れることは容易くない。
「ぁ、あぁ……っ!」
閉じた筋肉を割って、昂良が入ってくる。普段よりも多くローションを使用しているおかげで、本来備わっているはずの異物を押し出す力はまるで使い物にならない。
苦痛を引き連れて、先端部が押し込まれた。開かれる痛みは、忽ち引き伸ばされる痛みに変わる。
「ひ……うっ」
「きつ……あー……いきそ……」
掠れた声は熱を帯びていた。果てぬようにと一呼吸置いて、昂良が腰を進める。シーツを掴んで震える手に、昂良の右手が重なった。もう一方の手で朔斗の服をたくし上げると、汗ばむ背中にキスをした。
「朔斗ん中気持ちいい」
「う、ん」
呻きとも返事ともつかない声が溢れる。
「本当に、ずっと触りたかったよ」
頭を撫でるという行為を通して愛情を伝えられているのだと錯覚するほどに、昂良の手つきは優しい。
昂良はこの体位を気に入っているようだが、どうやら朔斗の気持ちも汲み取っているようだった。
その証拠として、後背位の時は何時もよりもずっと甘い言葉遣いで宥めてきたり、挿入した後の愛撫が明らかに長くなる。
そうして、胸や背中への愛撫をされているうちに痛みは和らいでくるのだ。
「もうちょっと奥挿れるな」
「ぅん、く……うぅ」
昂良がにじるように体重をかける。いつも一度は引っかかる場所を押し上げられ、苦しさに呻いた。久しぶりだからなのか、体位の所為なのか、今日はうまくいかない。
「あ、だめ……、むり……!」
彼が押し付けるたびに腰が逃げようとする。結局は開かれてしまうのだが、ここを越えるのには、決まって恐怖が付き纏う。
「朔斗、じっとして。ゆっくり息吐いて、お腹の力抜いて」
長く息を吐く。注意深く潜り込んでいた昂良はやがて道を見つけると、体重をかけて押し込んできた。
「うぅう……っ、アッ、あぁ……」
内側の苦痛が声となって現れる。朔斗の吐く息に合わせて、昂良が腰を揺らす。
昂良のものがさらに深く潜り込むのが分かった。狭まっていた箇所が開き切る感覚に、指先がぶるると震える。
その地点を越えてしまえば、少し先に進むのは存外簡単だ。奥まで満たして、昂良が漸く動きを止める。
体内で脈打つ熱を、強制的に意識させられる。セックスを強要されていた時は内側のものを感じる余裕など与えられていなかった。ゆえに、全く同じものを同じ場所で受け入れていてもあの頃とは何もかもが違う。
「動いていい?」
「……ゆっくり」
「……うん」
腰を掴み、粘膜を引き摺りながら退く。再びゆっくりと深くまで押し入り、慎重に繰り返す。
昂良の事だ。本当は今すぐにでも自制を解いて、思う存分に欲望をぶつけたいに違いない。
言葉にせずとも伝わってくる彼の欲求に応えてあげたい。しかれども、体が言うことを聞かなかった。
「はは、きつそうだな……体勢変えるか」
「え……何……」
少しだけ腰を引き、そのまま抱き上げられる。
「待っ……あぁ……!」
自身の体重が掛かり、一度開かれた道は否応無しに肉棒を飲み込む。襞も突き抜け、一気に抉られる衝撃に思わず悲鳴を上げた。
内腿が痙攣し、呼吸の間隔が短くなる。
「朔斗、落ち着いて」
慰撫しながら、昂良が耳の裏にキスをする。引き寄せられて首を巡らせれば、口中にねっとりと舌が絡みついてきた。
「ンッ……た、たから……」
昂良に背中を預ける体勢になり、やっと息をする。
角度が変わってきつくなるが、後ろから抱き締められれば不思議と心は安堵した。
後背位でする時は他のどの体位よりも、昂良の動きが慎重になる。
窄まった箇所を遅々と押し開かれて、力を抜こうと全身に信号を送る脳に体が逆らい始める。先程まで三本の指で広げられていた場所でも、膨大した昂良のものを受け入れることは容易くない。
「ぁ、あぁ……っ!」
閉じた筋肉を割って、昂良が入ってくる。普段よりも多くローションを使用しているおかげで、本来備わっているはずの異物を押し出す力はまるで使い物にならない。
苦痛を引き連れて、先端部が押し込まれた。開かれる痛みは、忽ち引き伸ばされる痛みに変わる。
「ひ……うっ」
「きつ……あー……いきそ……」
掠れた声は熱を帯びていた。果てぬようにと一呼吸置いて、昂良が腰を進める。シーツを掴んで震える手に、昂良の右手が重なった。もう一方の手で朔斗の服をたくし上げると、汗ばむ背中にキスをした。
「朔斗ん中気持ちいい」
「う、ん」
呻きとも返事ともつかない声が溢れる。
「本当に、ずっと触りたかったよ」
頭を撫でるという行為を通して愛情を伝えられているのだと錯覚するほどに、昂良の手つきは優しい。
昂良はこの体位を気に入っているようだが、どうやら朔斗の気持ちも汲み取っているようだった。
その証拠として、後背位の時は何時もよりもずっと甘い言葉遣いで宥めてきたり、挿入した後の愛撫が明らかに長くなる。
そうして、胸や背中への愛撫をされているうちに痛みは和らいでくるのだ。
「もうちょっと奥挿れるな」
「ぅん、く……うぅ」
昂良がにじるように体重をかける。いつも一度は引っかかる場所を押し上げられ、苦しさに呻いた。久しぶりだからなのか、体位の所為なのか、今日はうまくいかない。
「あ、だめ……、むり……!」
彼が押し付けるたびに腰が逃げようとする。結局は開かれてしまうのだが、ここを越えるのには、決まって恐怖が付き纏う。
「朔斗、じっとして。ゆっくり息吐いて、お腹の力抜いて」
長く息を吐く。注意深く潜り込んでいた昂良はやがて道を見つけると、体重をかけて押し込んできた。
「うぅう……っ、アッ、あぁ……」
内側の苦痛が声となって現れる。朔斗の吐く息に合わせて、昂良が腰を揺らす。
昂良のものがさらに深く潜り込むのが分かった。狭まっていた箇所が開き切る感覚に、指先がぶるると震える。
その地点を越えてしまえば、少し先に進むのは存外簡単だ。奥まで満たして、昂良が漸く動きを止める。
体内で脈打つ熱を、強制的に意識させられる。セックスを強要されていた時は内側のものを感じる余裕など与えられていなかった。ゆえに、全く同じものを同じ場所で受け入れていてもあの頃とは何もかもが違う。
「動いていい?」
「……ゆっくり」
「……うん」
腰を掴み、粘膜を引き摺りながら退く。再びゆっくりと深くまで押し入り、慎重に繰り返す。
昂良の事だ。本当は今すぐにでも自制を解いて、思う存分に欲望をぶつけたいに違いない。
言葉にせずとも伝わってくる彼の欲求に応えてあげたい。しかれども、体が言うことを聞かなかった。
「はは、きつそうだな……体勢変えるか」
「え……何……」
少しだけ腰を引き、そのまま抱き上げられる。
「待っ……あぁ……!」
自身の体重が掛かり、一度開かれた道は否応無しに肉棒を飲み込む。襞も突き抜け、一気に抉られる衝撃に思わず悲鳴を上げた。
内腿が痙攣し、呼吸の間隔が短くなる。
「朔斗、落ち着いて」
慰撫しながら、昂良が耳の裏にキスをする。引き寄せられて首を巡らせれば、口中にねっとりと舌が絡みついてきた。
「ンッ……た、たから……」
昂良に背中を預ける体勢になり、やっと息をする。
角度が変わってきつくなるが、後ろから抱き締められれば不思議と心は安堵した。
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