Rely on -each other-

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nameless

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 シャワーから戻ってくると、いつもベッドは綺麗に整えられている。信じられない程に回復の早い昂良が全ての後処理を自ら担っているのだ。その速さと正確さには毎回驚かされる。

 時には全く動けない朔斗を浴室に連れて行ったり、風邪を引かないよう服を着せたりといった世話まで率先してやるのだから、行為後も嫌と言うくらい愛情が伝わってくる。

 昂良の愛は、朝起きた瞬間から夜寝る時まで絶えず注がれる。

 彼が抱く恋情を知った3月20日から、ずっとだ。

「そういえば言うの忘れてたけど明後日から5日間いないから」

 背中に密着していた昂良が、突如口にする。

「……そっか」
「なんだよその反応、可愛くねえ」
「なんて言ってほしいの?」

 体ごと向き直ると、彼の不満げな目色に睨まれる。
 軟禁されていた時はこの目を見る度に背筋を凍らせていたのだが、今となっては何の感想も生まれてこない。

「なんて……寂しいーとか、どこ行くのとかさぁ」
「別に気にならないしなぁ」

 昂良が溜息を吐いたが、怒気は微塵も含まれていなかった。

「やってる時は可愛いのに」
「可愛くない」

 表情を緩め、昂良が朔斗の頬を包んだ。そのまま頬や鼻に口付けをされる。

 時々思う。
 彼との関係に名前を付けるのだとしたら、一体何を選ぶだろう、と。

 その疑問でいつもぶつかる壁は、ただ一つだ。

 ――――自分自身が昂良に抱く感情。

 その曖昧さが、答えを阻む最大の壁だった。


 今日はあの日から一年という節目だからか、脳はいつもよりも深く思考する。対照的に瞼は重くなって、体の力は抜けてゆく。毛布の温もりとは違う、人肌の柔い熱が心地良い。

 朔斗は瞳を閉じた。
 結局今日も、答えを見出せないままに。
 
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