Rely on -each other-

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nameless

1-6【※過激挿絵あり】

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 指が去る。心拍数が上がり、力を抜こうと試みるが上手くいかない。

 昂良は朔斗の腰の下にクッションを据えた。コンドームの装を開ける音や、昂良が下着を下ろす音がやけに鼓膜に響く。

 彼は自身の立派になったものを取り出し、朔斗の腿に手を掛けた。
 潤滑剤で濡れている彼の屹立は、暗闇の中でも禍々しく存在感を放つ。

 二つ折りにされた体の狭間に彼の熱を感じて、朔斗は息を詰めた。

「また息忘れてる」

 何度も聞いた台詞だ。分かってはいるのだが、昂良を受け入れるのは何度目でも怖くて、呼吸を忘れてしまうのだ。
 もしかしたら、初めて彼に貫かれた時の恐怖が身体に染み付いているのかもしれない。

「ゆっくり息吐いて」
「……ん」

 促され何とか息を吐く。昂良が覆い被さるようにして体重を掛けた。何度か浅く潜らせてから、張り出た部分を一気に収める。

「うっ……!」

 一度入ってしまえば、不思議なことに苦痛は軽減される。だが指とは比べ物にならない程の圧迫感は安定した呼吸を許さなかった。



 昂良が身を沈めるほどに全身が強張り、熱くなる。

「朔斗」

 名前を呼ばれ、唇を覆われる。密着させては離したり、適度に隙間を作ったりと、キスで気息をコントロールされて漸く呼吸の仕方を思い出す。

 ふと視線が絡み、昂良の秀麗な顔がやけに鮮明に映った。左目を囲む痛々しい古傷も、鮮明に。
 朔斗は恥ずかしくなって、腕で覆った顔を真横に傾けた。

「顔隠すな、見たい」
「やだ……ぁ」

 容易く腕を掴まれる。息遣い以上に余裕の無い表情は、朔斗の中の恥じらいを一層煽った。

 触れるだけの口付けをし、昂良がゆっくりと身を引く。抜け切らない位置で止め、揺さぶりながら深くまで入ってくる。

「んんっ……、ウッ、ふぅっ」

 下腹部に鈍痛を感じ、朔斗は長く息を吐いた。以前昂良に教わった通りに何度か吐いて、さらに奥を許す。

  欲望を全て埋め込んだ昂良は、絶えず吐息を漏らす口唇にキスを絡めた。

「ンッ、たか…………っ……!」

  不意に反り立ったもので内壁を擦られ、背筋が粟立つ。苦しさだけではない体感に溢れ出そうになる声を、唇を噛む事で何とか抑えた。

「……もしかして感じてんの? 声出せば良いのに」

 うるさい、と言いたくても首を振ることしか出来ない。口を開いたら先に嬌声に近いものが溢れてしまいそうだったからだ。

 体内で昂良のものが動く感覚は、快感と苦痛を同時に連れてくるのだからそれが心底恐ろしい。

 中を犯されると必ず苦悶していた日々とは違う、別の種類の恐怖にはいつまで経っても慣れることが出来ない。

「ぅあ、……アァ!」

 両手を引かれ、さらに結合が深くなる。彼が荒々しく腰を打ちつける度、汗が噴き出た。昂良の額からも汗が滴り、朔斗の汗と繋がっては素肌を伝い落ちた。

 半ば思考停止しているにも関わらず、内側に在る肉棒は否応なしにその存在を開示する。部屋に響く淫猥な音も、徐々に激しくなっていく。奥の奥まで押し込んだ昂良が、不意に動きを止めた。

「ンッ……、あ、あ……!」

 最奥を突き、昂良が肩口に顔を埋めた。絡めた手を力強く握り、短く呻く。同時に、腹の中で熱が爆ぜる。

 息を切らしながら、昂良が退く。圧倒的な存在感が去り、漸く一息吐くが、すぐにキスで阻止される。
 今になって竿に触れた指先が、柔らかく伝い始めた。

「……ちょっと勃ってる」

 吐息混じりの低い声がやけに色っぽい。
 
「……僕はいい、もう疲れたし。昂良も疲れたでしょ、だから…アッ」

 竿を扱かれ、咄嗟に右手で口を押さえた。やっと落ち着いた呼吸も再び荒くなり、腰の奥に痺れが走る。
 余った左手は使い物にならず、昂良の汗ばんだ肩に手を添えることしか出来ない。退けてと懇願する間もなく、朔斗は彼の手の中に白濁を吐き出した。

 内側への刺激と、昂良の技巧によりいつも瞬く間に果ててしまう。
 散々欲望をぶつけられた後の射精は、僅かに残っていた体力を全て奪い去った。

 異常なまでの倦怠感で、頭がぼんやりとする。通り雨の如き快感をすっかり手放して、朔斗はベッドに身を預けた。
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