俺の知らなかった世界

暁エネル

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運動会

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俺は運動会が好きだ 田舎に居た時みたいにおもいっき走る事が出来るからだ


龍とはいつもふざけながら走っている だけど全力ではない


俺は誰よりも速く走り抜けたい


そう思い運動会に望んでいた




今年は4年生になり運動会が少し違ったものになっていた


3年生までは競技が終わると自分の席に居る事が多かった


けれども委員会がそれぞれ先生方の手伝いをするのだ


俺と龍は美化委員で他の委員会の人と一緒に入れ替わり


競技で使う物を校庭に出したり 脇へ下げたりしていた


「真彦 これで俺達の仕事は終わりだよなぁ~」


「うんそう そしたら少し休憩出来るね」


俺と龍は上級生と一緒に競技で使った物を片付けた


「龍」


「ううん?」


「俺トイレ・・・」


「わかった ここで待ってる」


「うん すぐ行って来る」


俺は龍にそう言ってトイレへ



(4年生の競技まではまだ少し時間があるし 龍とのんびり他の学年の応援が出来るなぁ~ 龍は渚の応援したいだろうなぁ~)



俺は手を洗いトイレのドアを背中で押しながら 手の水けをはらう様に手を振っていた


俺がトイレから出ると トイレの前で待っているはずの龍の姿がどこにもなかった



(えっ 龍は?)



俺は辺りを探した



(何で龍が居ない? さては渚を見に行ったとか? 待てよもしかして考えたくわないんだけど・・・ まさか龍は6年生と一緒に居るのか えっウソだろう運動会だぞまさか龍 俺は運動会だからって油断してたこれはまずい)



俺は1階の校舎をくまなく探した


2階には行かれない様にテープが張ってあった



(2階に行ったのか? それとも・・・)



俺は息を切らしながら龍を探していた



(どうする 誰かに言って一緒に探してもらうか?)



俺は辺りをキョロキョロ見渡していた





俺はトイレの前まで進み真彦を待っていた



(来年はクラス替えでさすがに真彦とは離れるだろうなぁ~)



俺はそんな事を考えながら真彦を待っていた


すると見覚えのある6年生を先頭に 3人が向こうから歩いて来た


6年生は去年よりも背が高くなっていた


「お前俺の事を覚えているよなぁ~」


そう言われ俺はうなづいた


「よし ついて来い」


俺は3人の6年生の後ろを歩いた



(世話係よりもぜんぜん小さい これなら3人相手でも何とかなる・・・)



6年生は通れない様にテープが張ってある2階へと上がった


階段を上った手前の教室へと入ると


教室は机が寄せられ広いスペースになっていた


俺が教室に入ると6年生は俺を囲む様に立っていた


「お前 ヤクザの息子なんだってなぁ~ ヤクザの息子が学校へ来てもいいのかよ」


「みんなの迷惑だろうが・・・」


「そうだそうだ」


そう言って3人の6年生は俺に詰め寄って来た


俺が3年生の時に殴り倒した6年生が


俺を殴ろうとこぶしを握り 俺に向かって来た


俺はそれをよけると勢い余って転んでいた



(学習してねぇ~なぁ~ カッコ付け過ぎなんだよ・・・)



俺は思わず吹き出し笑ってしまった


「生意気だぞ」


そう言って他の2人も順番に俺に殴りかかって来た


俺は2人の腕をうまくかわしていた



(動きが単純なんだよ・・・)



「お前 いい加減にしろよ」


大きな声を出し立ち上がり6年生はそう言った


「なぁ~まだやるの? 俺には敵わないんじゃない?」


俺は3人の6年生を挑発していた


「お前 いい気になるなよ・・・」


「そうだ 生意気だって言ってんだろう・・・」


そう言って襲いかかって来る6年生の腕を取りふところに入り 


俺は膝を曲げ下から6年生の腹を目がけて殴った



(これでコイツは終わりだ あと2人・・・)



6年生は腹を押さえて転げ回っていた



(世話係にはきかなかったけど うまくいったなぁ~)



転げ回っている6年生を心配して2人の6年生が駆け寄っていた


「もういいよね それじゃ~俺は行くから・・・」


俺はそう言って教室を出た



(良かったケガがなくて・・・ 誰にも見られてねぇ~し知らねぇ~から大丈夫だ もうこれで懲りてくれねぇ~かなぁ~あの6年生・・・)



俺はそう思いながら階段をゆっくりと下りていた





(龍が見つからねぇ~よ どうしよう・・・)



俺は校舎裏から1階へと戻って来た


俺が廊下を見ると龍が向こうから歩いて来た


「龍」


俺は大きな声で龍を呼んでいた



(ヤベ~真彦だ・・・ 大丈夫だ息は乱れてねぇ~しバレねぇ~)



龍はゆっくりと俺の前へ


「どこ行ってたんだよ 探したんだぞ」


「あぁ~悪いちょっとなぁ~」



(龍はいつもと変わらない でも俺の前から居なくなってた・・・)



「まさか龍あの6年生と・・・」


「えっ何が?」


「とぼけるなよ・・・ ケガしてないんだよなぁ~?」


「あぁ~大丈夫だ・・・」


俺は龍の前へ回り込んだ


「やっぱりあの6年生と一緒に居たんだ・・・」


「真彦お前・・・」



(コイツ俺にカマかけやがった・・・)



「龍 心配させないでくれよ・・・」



(本当に心配したんだぞ でも龍にケガは無く大丈夫そうだ・・・)



「悪いでも大丈夫だ・・・ 誰にも見られてねぇ~し 誰も知らねぇ~から大丈夫だ」


「で 6年生は?」


「俺を前に殴った6年生は 腹に一発入れてやったらのたうち回ってた あとの2人は俺に観念したらしい・・・」


「えっ 3人も相手してたの?」


「世話係よりも小さかったし楽勝だ・・・」


「ホントに龍にケガはないんだね」


「あぁ~大丈夫だ」


「龍が学校を休む事も?」


「あぁ~多分大丈夫だ誰も知らねぇ~ 6年生だって俺にのされた事を言うほど バカじゃ~ねぇ~だろう・・・」


「でもまた・・・」


「その時はまた俺が倒すまでだ・・・ アイツら俺がヤクザの息子だって知ってたんだ ちょっとびっくりしたけどなぁ~」


龍はそう言って笑って歩き出した


俺はそんな龍の顔を見ながら不安に思っていた



(まだ6年生は龍の事を根に持っていたんだ・・・ 前の時は周りにたくさん居て俺も居た だけど今は人けが無い所で龍を誘い出して仲間と・・・ ここで終わるとは思わない 中学へ行ったらもっと大勢で龍を・・・)



「真彦何やってんだよ 行くぞ」


俺が気が付くと龍は少し先で止まっていた


俺は走って龍の所へと向かった





俺達の競技は終わり 6年生の姿を目にする事なく運動会は終わった


校庭の椅子を教室に運び入れ 先生の話が終わり俺は椅子に座っていた


「真彦 どうした?」


そう言って龍は俺の所へ


「龍 俺考えたんだけど・・・」


「何を?」


俺は龍を目の前にして 俺が考えている事を龍に話た


「龍 龍は怖くないの?」


「何をだ?」


「だって誰も居ない所で龍を呼び出して みんなで龍を・・・」


龍は俺に目線を合わせる様に座った


「そうだなぁ~ 俺は小さい頃から世話係に何かあった時の為に ケンカの仕方を教えてもらっていたからなぁ~」


「慣れてるって事?」


「まだ1度も世話係には勝てた事はないけどなぁ~」


「龍・・・ 俺も・・・」


「ダメだ」


「何で?」


「俺の家の問題で真彦は関係ない・・・ そんな事いいから帰ろうぜ俺疲れてんだよ・・・」


龍は立ち上がり荷物を持ち歩き出した


俺も立ち上がった



(俺が龍に出来る事・・・ それは一緒に戦える事なんじゃないかなぁ~? 龍はダメって言ったけど世話係なら俺に協力してくれるはず・・・)



俺はそう思いながら龍を追いかけた



(つづく)


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