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嫌な予感
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(朝練があったり午後の部活で 悠とは教室に居る時しか一緒に居られねぇ~けど めっちゃ悠とはいい感じだ 中学の時とは違ってスマホで連絡がすぐに取れる 三谷の野郎は相変わらずムカつく 俺への当て付けだとわかるくらいに悠に話かける でもそんな事をしても俺と悠を引き離す事なんか出来やしない いい加減わかれよ 期末テストが終わったら夏休みだ 悠とどっか行きてぇ~なぁ~ 山でも海でも 悠の白い肌に1日中埋もれられたら そんな事が出来たら最高だなぁ~)
俺はそんな事思いながら 朝練を終え教室へと滑り込んだ
(あっ榎本が来た ラインで朝練がある事は知っているけど やっぱり榎本の顔を見ないと・・・)
どんなに悠が三谷と話をしていても俺が教室に入ると 悠は俺に顔を向けてくれる
俺は勝ち誇った様に悠に手をあげた
(ヤベ~悠は今日もかわいい いい笑顔だ・・・)
長谷川先生が教室へ ホームルームが始まり1時間目の授業が始まった
(もうすぐ期末テストだ 榎本とまたテスト勉強出来るかなぁ~)
休み時間になると期末テストが近い為か 三谷君は僕に質問をしてくる
(これじゃ~榎本の所へは行けないなぁ~)
(三谷のヤロー悠を独占しやがってふざけんな)
俺が見てるのをわかってて 三谷はワザと俺の方を見る
(ウゼーやめた昼休み 俺が悠の所へ行かなければ 悠は弁当を持って俺の所へ来るはずだ・・・)
俺は同じクラスのサッカー部のヤツらと話をした
「なぁ~聞いたかぁ~」
「何をだよ」
「選抜チームの話」
「なんだよそれ」
「全国から選手が集められるみたいなんだ・・・」
「全国マジか スゲーなそれ」
「先輩とか正臣とか選ばれたりしてなぁ~」
3人のサッカー部のヤツらが俺を見た
「えっ俺? 俺なんかムリだろう・・・」
「正臣が選ばれないなら俺らなんか夢のまた夢だ」
そう言ってみんなで笑った
「で それどっからの情報なんだよ」
「俺が職員室に行った時に話してたから 間違いねぇ~よ確かな情報だ」
サッカー部の1人がそう言った
昼休みになり俺は動かず座っていた
(あれ榎本が来ない・・・)
今日は朝顔を合わせただけで まだ榎本と話をしていなかった
僕がお弁当を出して席を立った
「榎本君の所へ行くの?」
三谷君にそう言われ僕はうなずいた
「うん 榎本が来ないみたいだから・・・」
僕は榎本の所へ
「榎本お弁当食べよう」
榎本は振り返って嬉しそうに笑った
「悠 待ってた」
(やっぱ悠は来てくれた ヤベ~それだけの事なのにめっちゃ嬉しい・・・)
僕は榎本の隣の人の椅子を借りた
(今日これが榎本と初めて話す 何かドキドキする)
僕は榎本の机にお弁当を広げた
「悠 夏休み何か予定ある?」
「えっ僕予定はないけど バイトどうなんだろう?」
「どっか行こう どこでもいいんだ悠と一緒なら」
榎本は嬉しそうにそう言った
「でも榎本その前に期末テストがあるよ」
「大丈夫だ悠俺には悠が居る また俺ん家で勉強見てくれるんだろう・・・」
「うん」
榎本の言葉に嬉しいのと恥ずかしいのとが入り乱れて僕は下を向いた
「悠?」
(どうしたんだ 急に下を向いた俺また変な事言ったか?)
「あっ 僕バイト休み貰うね」
(バイトの事を思い出して良かった 榎本に気づかれずにすんだ)
榎本が嬉しそうにまた笑っていた
(榎本の笑顔で何でいつもこんなに嬉しくなるんだろう・・・)
(やっぱ悠の笑顔はいいなぁ~かわいい)
僕と榎本が話をしていると 他のクラスの女の子3人が僕と榎本の前に現れた
「榎本君ちょっといい?」
榎本は振り返った
「えっ俺?」
「榎本君 今日の放課後体育館の渡り廊下に来てくれる」
「何でだよ 俺部活で時間なんかねぇ~けど・・・」
「すぐに終わるから時間はかからないから 必ず来て」
(あぁ~もうめんどくせぇ~なぁ~ 悠との大事な時間を・・・)
「あぁ~わかったからもういい?」
「ありがとう」
3人の女の子は嬉しそうに戻って行った
僕はなぜか榎本と目を合わせてはいけないと思い 下を向いたままこう言った
「榎本もうすぐチャイムが鳴るから僕は席に戻るよ」
「そうかぁ~ あっ悠・・・」
僕は榎本の言葉も聞かず お弁当を持って素早く席へ
(アイツらめ 悠との大事な時間をいい雰囲気だったのに・・・)
(僕はどうしたらいいの? きっとあの女の子の誰かが榎本に告白するんだ)
「あっ もう高橋君が居る」
そう言って三谷君は僕の隣に座った
「どうしたの? 榎本君と何かあった?」
三谷君は僕を覗き込む様に見るから 僕は違う方を向いた
「もうすぐチャイムが鳴るから・・・」
(どうしよう 三谷君にも榎本にも凄く嫌な態度をとってる でもこの気持ちにウソは付けない 早く1人になりたい)
チャイムが鳴りみんなが教室へ 長谷川先生が入って来て授業が始まった
僕はいつも通りに教科書とノートを広げていた
「ねぇ~高橋君ノートとらないの?」
三谷君が僕の肩を叩いてそう言った
「えっ」
僕はびっくりして思わず声を出してしまった
「あっありがとう三谷君」
「本当にどうしたの?大丈夫?」
「うん大丈夫」
黒板は半分文字が埋まっていた
僕は急いで黒板の字をうつした
(いけない授業をぜんぜん聞いてなかった 何をやってるんだ僕は期末テストも近いのに)
チャイムが鳴り長谷川先生が教室を出る事なくホームルームが行われた
僕はカバンに教科書とノートを詰め込み長谷川先生の話を聞いていた
委員長の号令でホームルームが終わった
僕は長谷川先生が教室のドアを開けると同時に 後ろのドアを開け教室を飛び出した
(榎本と目を合わせたらダメだ 僕の気持ちが抑えられなくなる 早く早くここから居なくなりたい こんなに胸が痛いのはいつぶりだろう・・・)
俺が立ち上がり振り向くと悠の姿はどこにもなく 三谷が首を振っていた
(どういう事だよ 何で悠が居ねぇ~んだ)
三谷は俺を見たまま立ち上がり 俺の方へと歩いて来た
「榎本君 高橋君となんかあった ノートもとってなかったみたいだし 逃げる様に教室を出て行ったよ あんな高橋君見たの初めてだよ俺」
(三谷に言われるまでもねぇ~ 俺だって初めてだ)
俺はスマホを取り出し悠にラインを送った
「榎本君 もしかしてついに高橋君とケンカ?」
三谷が嬉しそうにそう言った
「ちげぇ~よるせぇ~なぁ~」
「俺が壊さなくてもさぁ~ 勝手に壊れていくじゃん」
「黙ってろよるせぇ~なぁ~」
(既読が付かねぇ~ 部活なんかやってる場合じゃねぇ~)
俺はクラスのサッカー部のヤツに今日は急用が出来たと言って
その足で3年生のキャプテンと顧問の先生に同じ事を言った
(まだ既読が付かねぇ~ 悠いったいどうしたんだよ・・・)
俺はまた悠にラインを送って 俺は体育館の渡り廊下へと急いだ
僕は急いで校門を出た
(こんなに走ったのは久しぶり苦しい)
マナーモードにしている僕のスマホから何度も音が鳴っていた
(きっと榎本だ だけど僕は・・・)
僕は駅へと向かって走っていた
俺は体育館の渡り廊下へと急いだ
俺が行くとさっきの3人の女子が 俺に手招きをして体育館の裏側へ
(早くしてくんねぇ~かなぁ~)
3人の女子が振り返って真ん中の女子が一歩前に出た
「榎本君来てくれてありがとう 私G組の野口明美って言います」
「いいから早くしてくんねぇ~」
「うん 私ねうまくしゃべれないかもしれないけど聞いてほしい 私榎本君を見るとドキドキするの 今も凄くそれでね榎本君の事ばっかり気になるの 私の事知らないかもしれないけど 友達からはじめて下さいそしてもし良かったら 私を彼女にしてほしい」
(あぁ~やっぱこれかぁ~ 悠はもしかしてわかってたのか だとしたらヤベ~何で俺は気がつかなかったんだ 夏休みの事で有頂天になりすぎてた もう大丈夫だと思いこんでた とんだ勘違いだ・・・)
「ありがとう」
俺は素直にお礼を言った
後ろに居た女子が嬉しそうに真ん中の女子に近づいた
「俺の話も聞いてくんねぇ~か・・・」
俺がそう言うと3人の女子が俺の方を向いた
「俺 その気持ちスゲー良くわかるよ 俺もそうだったから姿見るだけでドキドキする 普通に話せる今もそうなんだ そいつの事ばっか毎日考えてる 今もこれからもだ だからごめん俺そいつの事しか眼中にねぇ~んだ それに今スゲーラブラブだから邪魔しないでくんねぇ~か」
俺の話を3人の女子が黙って聞いていてくれた
「そっか 榎本君にはもう好きな人が居るんだね そうだよね榎本君カッコいいもんね そっか榎本君私の分もその子の事を大事にしてあげてね」
「あぁ~大事にする」
「その子の事私みたいに泣かせないでね 守ってあげてね絶対だよ絶対」
「あぁ~守るよ」
(悠は今どんな気持ちで居るんだ 誤解してねぇ~といいんだけど いや俺の前から姿を消したって事はヤベ~だろう・・・)
「榎本君今日はありがとう」
「じゃ~俺行くから」
俺はそのまま校門へと走った
(悠はもう家に着いたか それともサボテンか ヤベ~悠に会って誤解を解かねぇ~ととにかく急げ)
俺は駅の階段を上り電車を待った
スマホを取り出し悠にまたラインを送った
(既読にならねぇ~ 悠は電源を切ってんのか にしても俺が悠に会わねぇ~と・・・)
(どうしよう もう駅に着いちゃった こんな気持ちのままバイトは出来ない サボテンはすぐそこなのに僕は)
その時僕の背中を叩く人が居た
「何突っ立ってるんだ入るぞ それにしても制服姿はじめて見るなぁ~」
そう言って島田さんはサボテンに入って行った
(どうしよう 島田さんに会ってしまった 入るしかない)
僕はゆっくりとサボテンのドアを開けた
いつもの様にマスターと幸子さんが笑顔で僕に挨拶をしてくれた
僕はいつもの様に挨拶をして奥へと行きかけた時幸子さんに止められた
「あれ悠君どうしたの? 顔色が・・・」
僕は立ち止まり動けなくなった
「幸子さん 悠君がどうかしたの?」
マスターも僕の前に立っていた
「悠君ちょっと元気がないみたい」
幸子さんの言葉に僕は下を向いてしまった
「大丈夫です」
僕は下を向いたままそう言った
「悠君体調が悪いなら無理をしちゃ~ダメだよ 大事なお子さんを預かっているんだからね」
僕はマスターの言葉を涙が出ない様にギュッと目をつぶった
「そうよ悠君 明日は金曜日だから明日もお休みして 月曜日元気な顔を見せてちょうだい」
幸子さんの言葉に僕はゆっくりと顔をあげた
「はい すみません」
僕はしぼり出す様に声を出した
「何だよ具合が悪かったのかぁ~ だから入らなかったのかぁ~ 悠君悪かったなぁ~」
島田さんが新聞をよけて僕にそう言った 僕は島田さんに首を振った
「じゃ~な 月曜日」
島田さんが僕に軽く手をあげてくれた
僕はマスターと幸子さん島田さんに頭を下げ 急いでサボテンを出た
僕の目からは涙が溢れ出していた
(もう嫌だ 何でいつもこうなんだ情けない 胸が苦しくて痛い)
俺は駅の階段を下りサボテンへと向かった
(悠が居たらとにかく話を・・・)
俺はサボテンのドアを思い切って開け カランカランと勢い良く鳴った
(悠・・・)
俺は店内を見回した
「あら榎本君いらっしゃい」
幸子さんにそう言われ俺は奥へと目を向けながら幸子さんの方へ
「悠 来てますか?」
「悠君なら具合が悪そうだったから 今日と明日はお休みしてもらう事にしたのよ」
「学校で何かあったのかい?」
幸子さんの隣にマスターが来てそう言った
俺はマスターと幸子さんに頭を下げた
「すいません 俺のセイです」
「なんだいケンカかい?」
島田さんにそう言われ俺は首を振った
「いや俺が一方的に悪いんだ」
「まぁ~でも悠君なら大丈夫よ」
幸子さんの優しい言葉に俺はうなずいた
「すみません 俺悠ん家行って来ます」
「あっ榎本君 またいつでもいらっしゃいね」
「はいありがとうございます 俺行きます」
俺はサボテンを出て悠の家へと急いだ
(悠はバイトが出来ないくらいなのかよ ヤベ~思ってた以上にヤベ~)
僕は玄関のドアを開いた お母さんの靴がそこにあった
(お母さんもう帰って来てるんだ)
僕はそのまま自分の部屋へ
「悠 帰って来たの・・・」
お母さんはそう言いながら僕の部屋の前へ
僕はお母さんが部屋を開けない様にドアにもたれかかっていた
「お母さん開けないで 夕飯もいらないごめん・・・」
「悠 どうしたの?具合が悪いのここ開けて」
「ごめん お母さん」
「悠・・・」
お母さんの足音が遠ざかると僕はドアに背中を滑らせて膝を抱えて座った
(お母さんだけには心配をかけちゃいけないのに 僕は・・・)
(悠出てくれ 話を聞いてくれ・・・)
俺はそう思いながら悠の家のチャイムを押した
するとゆっくりと玄関のドアが開いた
「あら榎本君」
(榎本が何で家に 今日も部活だって言ってたのに何で・・・ そうかぁ~僕に別れを言う為に 榎本だって男だどう考えたってかわいい女の子がいいに決まってる そんな事わかり切ってる事だったのに僕は・・・)
僕は制服のままベッドへ横になり また僕の目から涙が溢れ出した
俺の目の前にはおばさんの顔があった
「あっこんにちはおばさん 悠居ますか」
(悠に会って話がしたい)
「榎本君ごめんなさい 悠具合が悪いみたいなの だから明日は学校休ませるわね」
「そうですか」
(どうすんだよ悠に会えねぇ~)
「じゃ~明日 明日また来ます期末テストも近いんで」
「そうねそうしてくれる 榎本君ありがとう」
おばさんはそう言って笑ってくれた
「それじゃ~ 失礼します」
俺はそう言って玄関のドアを閉めた
(悠に会えなかったどうしたらいい こうなったらもう言うしかねぇ~のかなぁ~ でもスゲー怖いもし悠が俺の事避けるとか軽蔑するとかされたら 俺生きていけねぇ~よ でも今俺の事なんかどうでもいい そんな事言ってる場合じゃねぇ~ 俺はただ悠を信じればいい大丈夫だだって悠だぞ でもやっぱこえ~なぁ~俺言えんのか・・・)
(つづく)
俺はそんな事思いながら 朝練を終え教室へと滑り込んだ
(あっ榎本が来た ラインで朝練がある事は知っているけど やっぱり榎本の顔を見ないと・・・)
どんなに悠が三谷と話をしていても俺が教室に入ると 悠は俺に顔を向けてくれる
俺は勝ち誇った様に悠に手をあげた
(ヤベ~悠は今日もかわいい いい笑顔だ・・・)
長谷川先生が教室へ ホームルームが始まり1時間目の授業が始まった
(もうすぐ期末テストだ 榎本とまたテスト勉強出来るかなぁ~)
休み時間になると期末テストが近い為か 三谷君は僕に質問をしてくる
(これじゃ~榎本の所へは行けないなぁ~)
(三谷のヤロー悠を独占しやがってふざけんな)
俺が見てるのをわかってて 三谷はワザと俺の方を見る
(ウゼーやめた昼休み 俺が悠の所へ行かなければ 悠は弁当を持って俺の所へ来るはずだ・・・)
俺は同じクラスのサッカー部のヤツらと話をした
「なぁ~聞いたかぁ~」
「何をだよ」
「選抜チームの話」
「なんだよそれ」
「全国から選手が集められるみたいなんだ・・・」
「全国マジか スゲーなそれ」
「先輩とか正臣とか選ばれたりしてなぁ~」
3人のサッカー部のヤツらが俺を見た
「えっ俺? 俺なんかムリだろう・・・」
「正臣が選ばれないなら俺らなんか夢のまた夢だ」
そう言ってみんなで笑った
「で それどっからの情報なんだよ」
「俺が職員室に行った時に話してたから 間違いねぇ~よ確かな情報だ」
サッカー部の1人がそう言った
昼休みになり俺は動かず座っていた
(あれ榎本が来ない・・・)
今日は朝顔を合わせただけで まだ榎本と話をしていなかった
僕がお弁当を出して席を立った
「榎本君の所へ行くの?」
三谷君にそう言われ僕はうなずいた
「うん 榎本が来ないみたいだから・・・」
僕は榎本の所へ
「榎本お弁当食べよう」
榎本は振り返って嬉しそうに笑った
「悠 待ってた」
(やっぱ悠は来てくれた ヤベ~それだけの事なのにめっちゃ嬉しい・・・)
僕は榎本の隣の人の椅子を借りた
(今日これが榎本と初めて話す 何かドキドキする)
僕は榎本の机にお弁当を広げた
「悠 夏休み何か予定ある?」
「えっ僕予定はないけど バイトどうなんだろう?」
「どっか行こう どこでもいいんだ悠と一緒なら」
榎本は嬉しそうにそう言った
「でも榎本その前に期末テストがあるよ」
「大丈夫だ悠俺には悠が居る また俺ん家で勉強見てくれるんだろう・・・」
「うん」
榎本の言葉に嬉しいのと恥ずかしいのとが入り乱れて僕は下を向いた
「悠?」
(どうしたんだ 急に下を向いた俺また変な事言ったか?)
「あっ 僕バイト休み貰うね」
(バイトの事を思い出して良かった 榎本に気づかれずにすんだ)
榎本が嬉しそうにまた笑っていた
(榎本の笑顔で何でいつもこんなに嬉しくなるんだろう・・・)
(やっぱ悠の笑顔はいいなぁ~かわいい)
僕と榎本が話をしていると 他のクラスの女の子3人が僕と榎本の前に現れた
「榎本君ちょっといい?」
榎本は振り返った
「えっ俺?」
「榎本君 今日の放課後体育館の渡り廊下に来てくれる」
「何でだよ 俺部活で時間なんかねぇ~けど・・・」
「すぐに終わるから時間はかからないから 必ず来て」
(あぁ~もうめんどくせぇ~なぁ~ 悠との大事な時間を・・・)
「あぁ~わかったからもういい?」
「ありがとう」
3人の女の子は嬉しそうに戻って行った
僕はなぜか榎本と目を合わせてはいけないと思い 下を向いたままこう言った
「榎本もうすぐチャイムが鳴るから僕は席に戻るよ」
「そうかぁ~ あっ悠・・・」
僕は榎本の言葉も聞かず お弁当を持って素早く席へ
(アイツらめ 悠との大事な時間をいい雰囲気だったのに・・・)
(僕はどうしたらいいの? きっとあの女の子の誰かが榎本に告白するんだ)
「あっ もう高橋君が居る」
そう言って三谷君は僕の隣に座った
「どうしたの? 榎本君と何かあった?」
三谷君は僕を覗き込む様に見るから 僕は違う方を向いた
「もうすぐチャイムが鳴るから・・・」
(どうしよう 三谷君にも榎本にも凄く嫌な態度をとってる でもこの気持ちにウソは付けない 早く1人になりたい)
チャイムが鳴りみんなが教室へ 長谷川先生が入って来て授業が始まった
僕はいつも通りに教科書とノートを広げていた
「ねぇ~高橋君ノートとらないの?」
三谷君が僕の肩を叩いてそう言った
「えっ」
僕はびっくりして思わず声を出してしまった
「あっありがとう三谷君」
「本当にどうしたの?大丈夫?」
「うん大丈夫」
黒板は半分文字が埋まっていた
僕は急いで黒板の字をうつした
(いけない授業をぜんぜん聞いてなかった 何をやってるんだ僕は期末テストも近いのに)
チャイムが鳴り長谷川先生が教室を出る事なくホームルームが行われた
僕はカバンに教科書とノートを詰め込み長谷川先生の話を聞いていた
委員長の号令でホームルームが終わった
僕は長谷川先生が教室のドアを開けると同時に 後ろのドアを開け教室を飛び出した
(榎本と目を合わせたらダメだ 僕の気持ちが抑えられなくなる 早く早くここから居なくなりたい こんなに胸が痛いのはいつぶりだろう・・・)
俺が立ち上がり振り向くと悠の姿はどこにもなく 三谷が首を振っていた
(どういう事だよ 何で悠が居ねぇ~んだ)
三谷は俺を見たまま立ち上がり 俺の方へと歩いて来た
「榎本君 高橋君となんかあった ノートもとってなかったみたいだし 逃げる様に教室を出て行ったよ あんな高橋君見たの初めてだよ俺」
(三谷に言われるまでもねぇ~ 俺だって初めてだ)
俺はスマホを取り出し悠にラインを送った
「榎本君 もしかしてついに高橋君とケンカ?」
三谷が嬉しそうにそう言った
「ちげぇ~よるせぇ~なぁ~」
「俺が壊さなくてもさぁ~ 勝手に壊れていくじゃん」
「黙ってろよるせぇ~なぁ~」
(既読が付かねぇ~ 部活なんかやってる場合じゃねぇ~)
俺はクラスのサッカー部のヤツに今日は急用が出来たと言って
その足で3年生のキャプテンと顧問の先生に同じ事を言った
(まだ既読が付かねぇ~ 悠いったいどうしたんだよ・・・)
俺はまた悠にラインを送って 俺は体育館の渡り廊下へと急いだ
僕は急いで校門を出た
(こんなに走ったのは久しぶり苦しい)
マナーモードにしている僕のスマホから何度も音が鳴っていた
(きっと榎本だ だけど僕は・・・)
僕は駅へと向かって走っていた
俺は体育館の渡り廊下へと急いだ
俺が行くとさっきの3人の女子が 俺に手招きをして体育館の裏側へ
(早くしてくんねぇ~かなぁ~)
3人の女子が振り返って真ん中の女子が一歩前に出た
「榎本君来てくれてありがとう 私G組の野口明美って言います」
「いいから早くしてくんねぇ~」
「うん 私ねうまくしゃべれないかもしれないけど聞いてほしい 私榎本君を見るとドキドキするの 今も凄くそれでね榎本君の事ばっかり気になるの 私の事知らないかもしれないけど 友達からはじめて下さいそしてもし良かったら 私を彼女にしてほしい」
(あぁ~やっぱこれかぁ~ 悠はもしかしてわかってたのか だとしたらヤベ~何で俺は気がつかなかったんだ 夏休みの事で有頂天になりすぎてた もう大丈夫だと思いこんでた とんだ勘違いだ・・・)
「ありがとう」
俺は素直にお礼を言った
後ろに居た女子が嬉しそうに真ん中の女子に近づいた
「俺の話も聞いてくんねぇ~か・・・」
俺がそう言うと3人の女子が俺の方を向いた
「俺 その気持ちスゲー良くわかるよ 俺もそうだったから姿見るだけでドキドキする 普通に話せる今もそうなんだ そいつの事ばっか毎日考えてる 今もこれからもだ だからごめん俺そいつの事しか眼中にねぇ~んだ それに今スゲーラブラブだから邪魔しないでくんねぇ~か」
俺の話を3人の女子が黙って聞いていてくれた
「そっか 榎本君にはもう好きな人が居るんだね そうだよね榎本君カッコいいもんね そっか榎本君私の分もその子の事を大事にしてあげてね」
「あぁ~大事にする」
「その子の事私みたいに泣かせないでね 守ってあげてね絶対だよ絶対」
「あぁ~守るよ」
(悠は今どんな気持ちで居るんだ 誤解してねぇ~といいんだけど いや俺の前から姿を消したって事はヤベ~だろう・・・)
「榎本君今日はありがとう」
「じゃ~俺行くから」
俺はそのまま校門へと走った
(悠はもう家に着いたか それともサボテンか ヤベ~悠に会って誤解を解かねぇ~ととにかく急げ)
俺は駅の階段を上り電車を待った
スマホを取り出し悠にまたラインを送った
(既読にならねぇ~ 悠は電源を切ってんのか にしても俺が悠に会わねぇ~と・・・)
(どうしよう もう駅に着いちゃった こんな気持ちのままバイトは出来ない サボテンはすぐそこなのに僕は)
その時僕の背中を叩く人が居た
「何突っ立ってるんだ入るぞ それにしても制服姿はじめて見るなぁ~」
そう言って島田さんはサボテンに入って行った
(どうしよう 島田さんに会ってしまった 入るしかない)
僕はゆっくりとサボテンのドアを開けた
いつもの様にマスターと幸子さんが笑顔で僕に挨拶をしてくれた
僕はいつもの様に挨拶をして奥へと行きかけた時幸子さんに止められた
「あれ悠君どうしたの? 顔色が・・・」
僕は立ち止まり動けなくなった
「幸子さん 悠君がどうかしたの?」
マスターも僕の前に立っていた
「悠君ちょっと元気がないみたい」
幸子さんの言葉に僕は下を向いてしまった
「大丈夫です」
僕は下を向いたままそう言った
「悠君体調が悪いなら無理をしちゃ~ダメだよ 大事なお子さんを預かっているんだからね」
僕はマスターの言葉を涙が出ない様にギュッと目をつぶった
「そうよ悠君 明日は金曜日だから明日もお休みして 月曜日元気な顔を見せてちょうだい」
幸子さんの言葉に僕はゆっくりと顔をあげた
「はい すみません」
僕はしぼり出す様に声を出した
「何だよ具合が悪かったのかぁ~ だから入らなかったのかぁ~ 悠君悪かったなぁ~」
島田さんが新聞をよけて僕にそう言った 僕は島田さんに首を振った
「じゃ~な 月曜日」
島田さんが僕に軽く手をあげてくれた
僕はマスターと幸子さん島田さんに頭を下げ 急いでサボテンを出た
僕の目からは涙が溢れ出していた
(もう嫌だ 何でいつもこうなんだ情けない 胸が苦しくて痛い)
俺は駅の階段を下りサボテンへと向かった
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俺はサボテンのドアを思い切って開け カランカランと勢い良く鳴った
(悠・・・)
俺は店内を見回した
「あら榎本君いらっしゃい」
幸子さんにそう言われ俺は奥へと目を向けながら幸子さんの方へ
「悠 来てますか?」
「悠君なら具合が悪そうだったから 今日と明日はお休みしてもらう事にしたのよ」
「学校で何かあったのかい?」
幸子さんの隣にマスターが来てそう言った
俺はマスターと幸子さんに頭を下げた
「すいません 俺のセイです」
「なんだいケンカかい?」
島田さんにそう言われ俺は首を振った
「いや俺が一方的に悪いんだ」
「まぁ~でも悠君なら大丈夫よ」
幸子さんの優しい言葉に俺はうなずいた
「すみません 俺悠ん家行って来ます」
「あっ榎本君 またいつでもいらっしゃいね」
「はいありがとうございます 俺行きます」
俺はサボテンを出て悠の家へと急いだ
(悠はバイトが出来ないくらいなのかよ ヤベ~思ってた以上にヤベ~)
僕は玄関のドアを開いた お母さんの靴がそこにあった
(お母さんもう帰って来てるんだ)
僕はそのまま自分の部屋へ
「悠 帰って来たの・・・」
お母さんはそう言いながら僕の部屋の前へ
僕はお母さんが部屋を開けない様にドアにもたれかかっていた
「お母さん開けないで 夕飯もいらないごめん・・・」
「悠 どうしたの?具合が悪いのここ開けて」
「ごめん お母さん」
「悠・・・」
お母さんの足音が遠ざかると僕はドアに背中を滑らせて膝を抱えて座った
(お母さんだけには心配をかけちゃいけないのに 僕は・・・)
(悠出てくれ 話を聞いてくれ・・・)
俺はそう思いながら悠の家のチャイムを押した
するとゆっくりと玄関のドアが開いた
「あら榎本君」
(榎本が何で家に 今日も部活だって言ってたのに何で・・・ そうかぁ~僕に別れを言う為に 榎本だって男だどう考えたってかわいい女の子がいいに決まってる そんな事わかり切ってる事だったのに僕は・・・)
僕は制服のままベッドへ横になり また僕の目から涙が溢れ出した
俺の目の前にはおばさんの顔があった
「あっこんにちはおばさん 悠居ますか」
(悠に会って話がしたい)
「榎本君ごめんなさい 悠具合が悪いみたいなの だから明日は学校休ませるわね」
「そうですか」
(どうすんだよ悠に会えねぇ~)
「じゃ~明日 明日また来ます期末テストも近いんで」
「そうねそうしてくれる 榎本君ありがとう」
おばさんはそう言って笑ってくれた
「それじゃ~ 失礼します」
俺はそう言って玄関のドアを閉めた
(悠に会えなかったどうしたらいい こうなったらもう言うしかねぇ~のかなぁ~ でもスゲー怖いもし悠が俺の事避けるとか軽蔑するとかされたら 俺生きていけねぇ~よ でも今俺の事なんかどうでもいい そんな事言ってる場合じゃねぇ~ 俺はただ悠を信じればいい大丈夫だだって悠だぞ でもやっぱこえ~なぁ~俺言えんのか・・・)
(つづく)
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