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スパゲッティ専門店

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俺と翔 忍ちゃん拓巳君と輪になり話をしていると 大きな声が聞こえた


「翔良く来てくれた」


そこに立っていたのは コックコートを着た春日さんだった


大きな声に背も高く大きな身体に 並んでいるみんながこっちを見ていた


「竹本君も一緒か おやお友達かな?」


そう言いながら春日さんは俺達の方へ


「翔久しぶりだなぁ~」


「春日またスタッフに怒られるぞ」


翔の言葉通り コックコートを着た人が慌てた様子でお店の中から出て来た


「店長勘弁して下さいよ 厨房大変なんすから急に居なくならないで下さいよ・・・」


「あぁ~わかったてるすぐ行くから・・・」


「翔あとでな竹本君も・・・」


そう言って春日さんはお店の中へと入って行った


「翔前と一緒だね春日さん」


「まったくなぁ~」


俺は少し笑った



しばらくして俺達が案内された


「大変お待たせをいたしました お席の方へご案内します」


左右に別れたお店の中へ入ると右側の席へ案内された


俺はいつも左側に案内されていた 今回初めて右側へと通された




(こっち側は初めてだ)




一番奥の4人席へ 翔の前に忍ちゃんが座り俺の前に拓巳君が座った


スタッフの人がすぐにお水とおしぼりを持って来てくれた


「ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」


そう言ってメニューを置いてくれた


「ありがとう」


翔の言葉にスタッフの人は嬉しそうに笑っていた




「何食べようかなぁ~ 弘ちゃんおすすめとかある?」


忍ちゃんがメニューを見ながらそう言った


俺は翔を見ながら忍ちゃんに視線を送った


「翔はハズレがないって 本当にどれも美味しいから迷うよ」


「え~余計に選べないよ」


そう言って拓巳君と嬉しそうに話をしていた




「翔は何にする?」


「そうだなぁ~いつもシーフードだからなぁ~ 今日は違う物にするかなぁ~?」


「俺もどうしよう」




(忍ちゃんじゃ~ないけれど決められない ホワイトソースもいいしトマトも捨てがたい)




俺達はメニューとにらめっこをしていた


「忍ちゃん決まった?」


「うん拓巳君が悩んでたのにしてくれたから・・・」


「え~どうしようじゃ~俺カルボナーラにする ホワイトソース食べた事まだないから・・・」


「じゃ~俺はトマトソースのにするか」


翔がそう言って手をあげてスタッフの人を呼んでくれた


「カルボナーラとボンゴレ忍達は?」


「あっ僕はボロネーゼと拓巳君は和風スパゲティでお願いします」


「かしこまりました メニューをおさげします」


翔と忍ちゃんがメニューを渡してスタッフの人は行ってしまった


「見事にみんなバラバラになったね」


「僕和風のも食べてみたかったし ボロネーゼも気になってて 拓巳君が和風のにしてくれたんだよ」


「俺は何でも良かったんで・・・」


拓巳君の言葉に忍ちゃんが笑顔になった


「翔も言ってたんだけど みんなのシェアしてもいいよね」


「あっそうしようよ いっぺんに4種類のパスタが食べられるってそうないよね」


「そうだね」


俺と忍ちゃんは笑っていた


「あっそうだパスタで思い出した 拓巳君がこの間ペペロンチーノを作ってくれてね 僕辛いの苦手だって言ったら 拓巳君トウガラシをよけて盛り付けをしてくれたんだよ」


「初めに苦手な物があるか聞けば良かったんですけど・・・」


「ううん 凄く美味しかったよ」


「ありがとうございます」


拓巳君は照れながらそう言った




(拓巳君はやっぱり・・・)






2人のスタッフがパスタを運んで来てくれた


俺達の前に色とりどりのパスタが並んだ


「うわ~凄いね」


「忍さん俺の和風のから食べた方がいいかもしれません」


「そうだね拓巳君 味が濃い物からよりかいいかもしれない」


「翔も弘樹さんも食べて下さい」


忍ちゃんは拓巳君の持ち上げたお皿にフォークを絡めた


「ありがとう拓巳君いただきます」


拓巳君はお皿を翔に渡し 俺がフォークで和風パスタを絡めフォークを置き 


今度は俺がお皿を持ち翔がフォークでパスタを絡めた


「拓巳君ありがとう拓巳君も食べて」


俺はそう言って拓巳君にお皿を返した


「うん美味しい」


忍ちゃんの言葉に俺と翔はうなづいた


「今度は弘ちゃんのカルボナーラかいいなぁ~」


「いいよ忍ちゃん」


俺はそう言って忍ちゃんにお皿を渡した


「それじゃ~弘樹は俺の・・・」


「あっありがとう翔」


俺はそう言って翔のパスタを貰った


「弘ちゃんの凄く濃厚だよ」


忍ちゃんの声に拓巳君が


「パスタにしっかりとホワイトソースが絡んでますね」


お皿は俺の前に戻り 翔と忍ちゃんのパスタも交換され 俺は忍ちゃんのボロネーゼを食べた


みんなが一通りパスタを食べ終え 翔がポツリと言った


「弘樹のカルボナーラが俺は良かったかなぁ~」


「あっ翔僕も 僕も弘ちゃんのカルボナーラが凄く美味しかったよ」


「俺もです」


拓巳君が忍ちゃんを見てそう言った


俺もカルボナーラを一口


「うんそうかもしれない」


「でしょう凄く濃厚だよね」


忍ちゃんが嬉しそうにそう言った




それぞれのパスタを食べすすめ また大きな声が聞こえて来た


「どうだったかなぁ~」


俺達のテーブルに春日さんがやって来た


「凄く美味しかったです」


「そうだろう竹本君 お友達はどうだったかなぁ~」


「はいとても美味しかったです」


「本当にどれも美味しかったです」


「そうかそうか やっぱり美味しかったかぁ~」


「で 翔はどうだったんだ?」


春日さんが翔に視線を移した


「変わらずだ」


「そうなんだ 定番メニューは変わらない味 しかしそれだけではお客さんは飽きてしまう 難しい所なんだなぁ~これが・・・」


「これだけお客が入っているなら 満足させられてるんじゃないのか?」


「そうなんだありがたい事になぁ~ あっそうだ竹本君また好きなケーキ持ってってよ」


「ありがとうございます」


「じゃ~な翔また顔を見せてくれて・・・」


「あぁ~春日さんもあまり無理するなよ」


「翔は相変わらず優しいなぁ~」


「そんな事を言っても何も出ないぞ」


「翔は相変わらず面白いなぁ~」


「どっちなんだよ・・・」


翔の言葉に春日さんが大きな声で笑って 会計用紙を持って行ってしまった




「僕ちょっとトイレに行って来るね」


そう言って忍ちゃんが立ち上がった


「あっ忍ちゃん場所わかる?」


「うん大丈夫」


そう言って忍ちゃんは行ってしまった


俺は翔に紙ナフキンを渡した


「ありがとう弘樹」


俺も紙ナフキンで口をふいた




「拓巳君」


「はい」


俺は拓巳君に忍ちゃんの事を話た


「俺は仕事でもプライベートでも 忍ちゃんが大事な存在だから 忍ちゃんに嫌な思いをさせないでほしいただそれだけ・・・」




(上手く言えなかったけどきっと伝わったはず・・・)




俺が言い終わると忍ちゃんの姿が見えた


「忍ちゃんケーキ見に行こう」


俺はそう言って立ち上がった





「翔 弘樹さんは・・・」


「忍の事が心配なんだろう・・・」


「弘樹さんはもしかして・・・」


「何となくそう感じたのかもなぁ~」


俺は弘樹と忍がケーキの前で楽しそうにしている姿を見ていた




「弘ちゃんはどれにする?」


「俺今回はいいや でもこの間貰って翔と食べたら美味しかったよ」


「春日さんケーキも作ってるの?」


「違うみたい 知り合いの人が作っていて 場所だけ貸しているって聞いたよ」


「そうなんだ・・・ 迷うねどれにしよう拓巳君はどれがいいのかなぁ~?」


忍ちゃんはケーキを見ながら嬉しそうにそう言った




忍ちゃんのケーキが決まり 俺達は立ち上がりスタッフの人が声をかけて来た


「お帰りですか?」


「はい ごちそうさまでした」


「またぜひいらしてください」


「はい寄らせていただきます」


翔はスタッフの人にそう言った


俺達は翔の車に乗り込んだ



「本当に美味しかったね 並ぶかちはあったよ ケーキまで貰ってきちゃった」


忍ちゃんは嬉しそうにそう言った


「そうだね忍ちゃんまた来ようね」


「うん来よう」


「シートベルトしめたか?」


「うんいいよ翔」


車はゆっくりと走り出した


すっかり日も暮れて車のヘッドライトがまぶしく光っていた



俺は忍ちゃんの笑顔とは裏腹に少し落ち込んでいた




(拓巳君に嫌な思いをさせちゃったかなぁ~ 俺はだって・・・)




車は進み翔が忍ちゃんに聞いていた


「忍 忍の家で降ろせばいいのか?」


「あっうん僕の家で大丈夫拓巳君も・・・」



車はさらに進み俺は忍ちゃんの家を初めて目にした




(ここが忍ちゃんの家・・・)




外見はとても家とは思えない 丸い形をした建物




(どこから入るんだろう?)






「翔今日はありがとう」


そう言って忍ちゃんはシートベルトをはずした


「弘ちゃんはまた会社で待ってるね」


「うん」


「翔弘樹さん今日はありがとうございました」


「あぁ~拓巳も気を付けて帰れよ」


「はい」


そう言って忍ちゃんと拓巳君は車を降りた




ゆっくりと車は走り出した


「ねぇ~翔」


「ううん?」


「俺さぁ~ 拓巳君に嫌な言い方してた?」


「そんな事ないんじゃないかのか?」


「俺上手く言えないけど 拓巳君は忍ちゃんの事を傷つける様な気がして・・・」


「知り合ったばかりなんだろう・・・」


「うん多分・・・」


俺はそう言って黙ってしまった



(弘樹が不安がるのもわかる 弘樹は忍と凄く仲がいいからなぁ~ 忍も戸惑ってる様だしなぁ~ 少し様子見だなぁ~何かあればどちらかが連絡して来るだろう・・・)





翔はマンションの地下駐車場へと車を入れた


「翔今日一緒に寝てもいい?」


「どうした?」


「ごめん今日は1人でベッドに居たくない・・・」


「弘樹がしたい様にすればいい・・・」


「うんありがとう あっでも朝翔を起こさない様にするから・・・」


「弘樹はそんな事を気にしなくていい」


「うんごめん・・・」


俺と翔は車を降りエレベーターへ


「そう言えばケーキ弘樹は貰わなかったのか?」


「あっうん翔は食べたかった?」


「いいや」


「忍ちゃんに食べてもらいたかったから・・・」


「そっか」


優しい翔の笑顔に俺は少し救われた


翔が鍵を開け俺はすぐにシャワーを浴び翔のベッドへと潜り込んだ




(翔は変に思ったかなぁ~? 日曜日はいつも自分のベッドなのに・・・)




俺はそんな事を思いながら翔が来るのを待っていた





俺が部屋へ入ると弘樹が布団をめくってくれた


俺は弘樹がめくった布団に入って弘樹を包み込んだ


「翔今日だけだから・・・」


「弘樹が考える所があるんだろう 俺は毎日でもこうして弘樹と一緒に ベッドで寝てもいいくらいなんだけどなぁ~」


「翔ありがとう・・・」


忍ちゃんと拓巳君の話をのどまで出かかってやめていた


ベッドの上でそんな話をしたら 俺は明日会社へは行かれなくなる事がわかっていたからだ


翔の腕枕で翔に包まれながら俺は眠りについた



(つづく)


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