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俺は久しぶりに翔のバーへ
と言うのも 前嶋さんは黒部部長との仕事の引継ぎで忙しく
会社に居ても ほとんど会話の出来る状態ではなく
前嶋さんは黒部部長と付きっ切りでの作業が続いていた
(う~どうしよう・・・ クリーニングした洋服は持って来たけど・・・ 前嶋さんと話出来なかったし 俺は翔の連絡先知らないし いきなり行って大丈夫かなぁ~)
俺は定食屋へ入り 普段あまり食べる事のない焼き魚を注文した
(食べるのに時間がかかる 焼き魚を食べて心を落ち着かせよう・・・)
俺はゆっくりと夕食を済ませた
(まだドキドキする でも行かなくちゃ・・・)
俺は重い足取りで 前嶋さんと一緒に降りた駅へ
(確かこの商店街を抜けて・・・)
俺はシャッターのおりた商店街を通り 遠くに見える灯りを探した
(あっあった多分あれだ・・・)
俺の足取りはいつの間にか軽くなり どんどん灯りが近づいた
俺は細い階段を上る前に軽く深呼吸をした
「よし 行こう」
俺はゆっくりと細い階段を上ってドアを開けた
するとあの時と同じ様に俺は カウンターに居る翔を見て動けなくなっていた
「弘樹 いらっしゃい」
(弘樹が来てくれた)
「あっ」
俺は翔の笑顔に身体を動かす事が出来た
俺は前に座った席へと向かった
(前嶋さんは居ないけど この席の方が翔の様子やカウンターの中の様子が良く見える)
俺は翔に借りた洋服をすぐに渡そうと 袋を持ち上げたその時
カッコよくスーツを着こなした 女性2人がお店の中へと入って来た
「明美ほら バーテンダーさん」
そう言って手を引っ張り 翔の目の前のカウンター席へと立った2人
「皆さんすいません うるさくして・・・」
そう言って手を引っ張って来た人が 俺や隅で本を呼んでいる人
2人席へ座っている人達へそう言って頭を下げた
「今日子がそんな事・・・」
そう言ってカウンターに座りながら両肘を付けていた
「すいませんバーテンダーさん 明美失恋しちゃって・・・」
そう言いながらカウンター席へと座った
「そんな事バーテンダーさんに言わなくてもいいでしょう」
怒った風にほっぺを膨らませ 隣に座った人をぶっていた
「痛いごめん でも明美がバーテンダーさんに会いたいって言うから 連れて来たんだけど・・・」
ぶたれた人もそう言って怒っていた
「いらっしゃいませ 今日は何をお飲みになりまか?」
翔が2人の前におつまみセットを出した
「あっバーテンダーさんホントごめんね 今日はソフトドリンクをお願いします だいぶ明美は出来上がってるんで 少ししたら帰ります」
「かしこまりました」
そう言って翔は俺の方へ
「弘樹いらっしゃい 何でもいい?飲み物」
「あっうん」
翔は俺の前にもおつまみセットを出してくれた
「弘樹送って行くから 店が終わるまで待ってて・・・」
翔は小さな声でそう言った
(翔から借りてた洋服渡しそこねちゃったなぁ~ また翔は俺を送ってくれるの?)
俺はそう思いながら翔の様子を見ていた
翔は素早くフルーツを切り 小さなミキサーへ入れ
グラスを用意して 女性2人の前へソフトドリンクを置いた
「ありがとうバーテンダーさん 明美これを飲んだら帰るからね」
「わかったってるよ・・・ それにしても本当にバーテンダーさんっていい男だわ・・・」
「そうだね」
そう言って女性2人は グラスを持ち上げ乾杯をしていた
俺はそんな2人の事を 見てはいけないと思いつつ見てしまっていた
俺の前にも翔はドリンクを置いてくれた
「弘樹お待たせ・・・」
「翔ありがとう あっ俺今日翔に借りた洋服持って来たんだ あとで渡すね」
「いつでも良かったのに ありがとう」
そう言って翔は嬉しそうに笑っていた
「ねぇ~バーテンダーさん 私って魅力的じゃ~ないのかなぁ~」
「明美 そんな事バーテンダーさんに聞いたら バーテンダーさん困るでしょう」
「だってさぁ~」
明美さんと言う人が翔の顔を見つめていた
「十分魅力的だと思いますよ」
「ありがとうバーテンダーさん バーテンダーさんはそう言うしかないよね 私がそう仕向けた それはわかってるんだよ私だって・・・」
「うん 明美はいい女だよ それは長年一緒に居る私が良く知ってる」
「今日子~」
「またここへ来られる様に 今日はさぁ~ここで帰ろう・・・」
「うんわかった」
そう言って明美は立ち上がりドアの方へ
「お帰りですか? 急な階段ですので気を付けてお帰り下さい」
「バーテンダーさんいつもありがとう」
そう言って今日子さんがお金を払い 俺達にまた頭を下げていた
「お騒がせしてすみませんでした」
そう言って2人はお店を出て行った
翔はカウンターから出て来てグラスを片付け
忙しそうに次から次へと 洗い物を片付けていた
隅でいつも本を読んでいた人が翔の前へ 翔は顔を上げた
「溝口様お帰りですか」
「実は 転勤が決まりまして・・・」
「遠くへ行かれるのですか?」
「はい 前々から転勤先をお願いしていたんです ここには辛い思い出があり過ぎるので・・・」
「そうでしたか・・・」
「長い間 お世話になりました」
「こちらこそ 溝口様には大変お世話になりました 溝口様に来ていただいたおかげで 今この様に営む事が出来ているのです」
「私はたまたま通りかかっただけですよ 指定席まで用意していただきまして おかげでゆっくりとした時間を過ごす事が出来ました」
「溝口様が良ければ指定席はそのままに・・・」
「それなんですが・・・ 今度また来た時には 私もカウンター席に座って バーテンダーさんと話をしてみたいんです だから指定席はもう・・・」
「かしこまりました では溝口様気を付けていってらっしゃいませ 次回来られます時を心待ちにしております」
「ありがとう・・・ 本当にありがとう」
そう言って翔と握手をして 俺に顔を向け小さく頭を下げた
俺も小さく頭を下げると ドアの方へと歩きまた翔に頭を下げていた
翔はカウンターから出て来て 隅の席グラスを片付けた
「ねぇ~翔今の人・・・」
「あぁ~溝口様?」
「あっうん」
「溝口様は初めてのお客様なんだよ 俺がこのお店を任された初めての・・・」
「そうだったの だから指定席?」
「あぁ~溝口様は指定席を嫌がっていたけれど・・・ 俺がそうしたかったんだよ 結果溝口様を遠ざける形になってしまったのかもしれない もっと溝口様とお話をすれば良かった・・・」
「でも言ってたじゃない今度来た時にはって・・・ 辛い場所みたいな事も言ってたけど でもさぁ~」
「弘樹ありがとう 溝口様が初めてここへ来た時は 顔色がすぐれなくてね 何でも大事人とお別れしたとか・・・」
「でもそれも乗り越えたって事なんでしょう?」
「どうだろうなぁ~ 辛い思い出の地を離れたかったのかもなぁ~」
「でも笑っていたよ」
「あぁ~ またあの笑顔でお会いしたい」
「そうだね」
俺はそう言ってソフトドリンクを飲んだ
「弘樹 もういいか?」
「あっうん ごちそうさま」
俺が店内を見渡していると
2人席の男性2人も席を立ち帰って行った
「弘樹 すぐに片付けるから待ってて・・・」
「翔 いいよゆっくりで帰るだけだから・・・」
翔は素早く2人席のグラスを片付け 店内の掃除をして
カウンターの奥にあるカーテンの中へと入って行った
(もう帰れるかなぁ~ でもこれで翔とさよなら 何かさみしいなぁ~ もっと翔と話がしたいし翔の事をもっと知りたい)
俺はそう思いながら翔を待っていた
(弘樹が来てくれた あれから2週間ずっと待ってた だけど弘樹を送り届けておしまいなのか 弘樹は実際俺をどう思っているんだろう・・・)
「弘樹 お待たせ・・・」
俺はそう言いながらカーテンを開けた
弘樹がちょこんとカウンター席に座っている様は 実に可愛く俺には見えた
俺は荷物を持ってドアの方へ
「弘樹 忘れられ物ないか?」
「うん 大丈夫これだけ・・・」
翔は電気を消した
細い階段を下りて駐車場へ
「弘樹が来てくれて嬉しいよ」
「えっそれホント?」
「あぁ~」
翔は嬉しそうに振り返った
「翔にそんな事言われたら 俺毎週来ちゃうよ」
「あぁ~いいよ 弘樹が来るの喜んで待ってるよ」
(何それ何それ・・・ 俺の方が嬉しいんですけど・・・)
俺は辺りが暗かった事に助けられていた
「弘樹乗って・・・」
この間何度も乗る事になった翔の青色の車
俺はドアを開けた
「弘樹 荷物後ろの席・・・」
「あっうん」
翔が乗り込み 俺は後ろのドアを開け荷物を入れ助手席へ
「弘樹」
「ううん」
「明日何か予定ある?」
「別に何もないけど・・・ あ~でももう遊園地のジェットコースターは乗らないからね」
翔が思い出し笑いをしていた
「弘樹はおもしろいなぁ~」
そう言いながらまた翔は顔を隠す様に笑っていた
(翔はいいよ 嫌な思いはしてないんだから・・・)
俺はちょっと怒って見せた
「悪い弘樹 じゃ~明日迎えに行くよ」
「えっどこ行くの?」
「そうだなぁ~ 弘樹はどこへ行きたい?」
「えっ俺?」
(そうだなぁ~翔と行きたい所・・・ 翔は人混み嫌だろうからなるべく人混みが少ない所 でも明日は土曜日だし・・・)
「ねぇ~翔 俺翔の事まだあんまり良く知らない 連絡先すら知らないんだ だから俺翔の事もっと知りたい」
「連絡先交換してなかったかぁ~?」
「してないよ 今日だったいきなり行っても良かったのか 俺1人だしドキドキしたんだ 前嶋さんに聞こうとしたんだけど 前嶋さん凄く忙しそうにだったし・・・ だってあの前嶋さんの目つきが違うんだもん」
「そっか前嶋もやっと仕事人間になったかぁ~」
「ねぇ~翔 翔の家にお邪魔するっていうのはダメ?」
「それで弘樹はいいのか?」
「うん」
「では 俺がお迎えに上がります」
翔はそう言って手を胸に当て頭を下げていた
「えっあっはい お願いします」
俺も頭を下げると 翔は笑い出し俺もつられて笑ってしまっていた
(つづく)
と言うのも 前嶋さんは黒部部長との仕事の引継ぎで忙しく
会社に居ても ほとんど会話の出来る状態ではなく
前嶋さんは黒部部長と付きっ切りでの作業が続いていた
(う~どうしよう・・・ クリーニングした洋服は持って来たけど・・・ 前嶋さんと話出来なかったし 俺は翔の連絡先知らないし いきなり行って大丈夫かなぁ~)
俺は定食屋へ入り 普段あまり食べる事のない焼き魚を注文した
(食べるのに時間がかかる 焼き魚を食べて心を落ち着かせよう・・・)
俺はゆっくりと夕食を済ませた
(まだドキドキする でも行かなくちゃ・・・)
俺は重い足取りで 前嶋さんと一緒に降りた駅へ
(確かこの商店街を抜けて・・・)
俺はシャッターのおりた商店街を通り 遠くに見える灯りを探した
(あっあった多分あれだ・・・)
俺の足取りはいつの間にか軽くなり どんどん灯りが近づいた
俺は細い階段を上る前に軽く深呼吸をした
「よし 行こう」
俺はゆっくりと細い階段を上ってドアを開けた
するとあの時と同じ様に俺は カウンターに居る翔を見て動けなくなっていた
「弘樹 いらっしゃい」
(弘樹が来てくれた)
「あっ」
俺は翔の笑顔に身体を動かす事が出来た
俺は前に座った席へと向かった
(前嶋さんは居ないけど この席の方が翔の様子やカウンターの中の様子が良く見える)
俺は翔に借りた洋服をすぐに渡そうと 袋を持ち上げたその時
カッコよくスーツを着こなした 女性2人がお店の中へと入って来た
「明美ほら バーテンダーさん」
そう言って手を引っ張り 翔の目の前のカウンター席へと立った2人
「皆さんすいません うるさくして・・・」
そう言って手を引っ張って来た人が 俺や隅で本を呼んでいる人
2人席へ座っている人達へそう言って頭を下げた
「今日子がそんな事・・・」
そう言ってカウンターに座りながら両肘を付けていた
「すいませんバーテンダーさん 明美失恋しちゃって・・・」
そう言いながらカウンター席へと座った
「そんな事バーテンダーさんに言わなくてもいいでしょう」
怒った風にほっぺを膨らませ 隣に座った人をぶっていた
「痛いごめん でも明美がバーテンダーさんに会いたいって言うから 連れて来たんだけど・・・」
ぶたれた人もそう言って怒っていた
「いらっしゃいませ 今日は何をお飲みになりまか?」
翔が2人の前におつまみセットを出した
「あっバーテンダーさんホントごめんね 今日はソフトドリンクをお願いします だいぶ明美は出来上がってるんで 少ししたら帰ります」
「かしこまりました」
そう言って翔は俺の方へ
「弘樹いらっしゃい 何でもいい?飲み物」
「あっうん」
翔は俺の前にもおつまみセットを出してくれた
「弘樹送って行くから 店が終わるまで待ってて・・・」
翔は小さな声でそう言った
(翔から借りてた洋服渡しそこねちゃったなぁ~ また翔は俺を送ってくれるの?)
俺はそう思いながら翔の様子を見ていた
翔は素早くフルーツを切り 小さなミキサーへ入れ
グラスを用意して 女性2人の前へソフトドリンクを置いた
「ありがとうバーテンダーさん 明美これを飲んだら帰るからね」
「わかったってるよ・・・ それにしても本当にバーテンダーさんっていい男だわ・・・」
「そうだね」
そう言って女性2人は グラスを持ち上げ乾杯をしていた
俺はそんな2人の事を 見てはいけないと思いつつ見てしまっていた
俺の前にも翔はドリンクを置いてくれた
「弘樹お待たせ・・・」
「翔ありがとう あっ俺今日翔に借りた洋服持って来たんだ あとで渡すね」
「いつでも良かったのに ありがとう」
そう言って翔は嬉しそうに笑っていた
「ねぇ~バーテンダーさん 私って魅力的じゃ~ないのかなぁ~」
「明美 そんな事バーテンダーさんに聞いたら バーテンダーさん困るでしょう」
「だってさぁ~」
明美さんと言う人が翔の顔を見つめていた
「十分魅力的だと思いますよ」
「ありがとうバーテンダーさん バーテンダーさんはそう言うしかないよね 私がそう仕向けた それはわかってるんだよ私だって・・・」
「うん 明美はいい女だよ それは長年一緒に居る私が良く知ってる」
「今日子~」
「またここへ来られる様に 今日はさぁ~ここで帰ろう・・・」
「うんわかった」
そう言って明美は立ち上がりドアの方へ
「お帰りですか? 急な階段ですので気を付けてお帰り下さい」
「バーテンダーさんいつもありがとう」
そう言って今日子さんがお金を払い 俺達にまた頭を下げていた
「お騒がせしてすみませんでした」
そう言って2人はお店を出て行った
翔はカウンターから出て来てグラスを片付け
忙しそうに次から次へと 洗い物を片付けていた
隅でいつも本を読んでいた人が翔の前へ 翔は顔を上げた
「溝口様お帰りですか」
「実は 転勤が決まりまして・・・」
「遠くへ行かれるのですか?」
「はい 前々から転勤先をお願いしていたんです ここには辛い思い出があり過ぎるので・・・」
「そうでしたか・・・」
「長い間 お世話になりました」
「こちらこそ 溝口様には大変お世話になりました 溝口様に来ていただいたおかげで 今この様に営む事が出来ているのです」
「私はたまたま通りかかっただけですよ 指定席まで用意していただきまして おかげでゆっくりとした時間を過ごす事が出来ました」
「溝口様が良ければ指定席はそのままに・・・」
「それなんですが・・・ 今度また来た時には 私もカウンター席に座って バーテンダーさんと話をしてみたいんです だから指定席はもう・・・」
「かしこまりました では溝口様気を付けていってらっしゃいませ 次回来られます時を心待ちにしております」
「ありがとう・・・ 本当にありがとう」
そう言って翔と握手をして 俺に顔を向け小さく頭を下げた
俺も小さく頭を下げると ドアの方へと歩きまた翔に頭を下げていた
翔はカウンターから出て来て 隅の席グラスを片付けた
「ねぇ~翔今の人・・・」
「あぁ~溝口様?」
「あっうん」
「溝口様は初めてのお客様なんだよ 俺がこのお店を任された初めての・・・」
「そうだったの だから指定席?」
「あぁ~溝口様は指定席を嫌がっていたけれど・・・ 俺がそうしたかったんだよ 結果溝口様を遠ざける形になってしまったのかもしれない もっと溝口様とお話をすれば良かった・・・」
「でも言ってたじゃない今度来た時にはって・・・ 辛い場所みたいな事も言ってたけど でもさぁ~」
「弘樹ありがとう 溝口様が初めてここへ来た時は 顔色がすぐれなくてね 何でも大事人とお別れしたとか・・・」
「でもそれも乗り越えたって事なんでしょう?」
「どうだろうなぁ~ 辛い思い出の地を離れたかったのかもなぁ~」
「でも笑っていたよ」
「あぁ~ またあの笑顔でお会いしたい」
「そうだね」
俺はそう言ってソフトドリンクを飲んだ
「弘樹 もういいか?」
「あっうん ごちそうさま」
俺が店内を見渡していると
2人席の男性2人も席を立ち帰って行った
「弘樹 すぐに片付けるから待ってて・・・」
「翔 いいよゆっくりで帰るだけだから・・・」
翔は素早く2人席のグラスを片付け 店内の掃除をして
カウンターの奥にあるカーテンの中へと入って行った
(もう帰れるかなぁ~ でもこれで翔とさよなら 何かさみしいなぁ~ もっと翔と話がしたいし翔の事をもっと知りたい)
俺はそう思いながら翔を待っていた
(弘樹が来てくれた あれから2週間ずっと待ってた だけど弘樹を送り届けておしまいなのか 弘樹は実際俺をどう思っているんだろう・・・)
「弘樹 お待たせ・・・」
俺はそう言いながらカーテンを開けた
弘樹がちょこんとカウンター席に座っている様は 実に可愛く俺には見えた
俺は荷物を持ってドアの方へ
「弘樹 忘れられ物ないか?」
「うん 大丈夫これだけ・・・」
翔は電気を消した
細い階段を下りて駐車場へ
「弘樹が来てくれて嬉しいよ」
「えっそれホント?」
「あぁ~」
翔は嬉しそうに振り返った
「翔にそんな事言われたら 俺毎週来ちゃうよ」
「あぁ~いいよ 弘樹が来るの喜んで待ってるよ」
(何それ何それ・・・ 俺の方が嬉しいんですけど・・・)
俺は辺りが暗かった事に助けられていた
「弘樹乗って・・・」
この間何度も乗る事になった翔の青色の車
俺はドアを開けた
「弘樹 荷物後ろの席・・・」
「あっうん」
翔が乗り込み 俺は後ろのドアを開け荷物を入れ助手席へ
「弘樹」
「ううん」
「明日何か予定ある?」
「別に何もないけど・・・ あ~でももう遊園地のジェットコースターは乗らないからね」
翔が思い出し笑いをしていた
「弘樹はおもしろいなぁ~」
そう言いながらまた翔は顔を隠す様に笑っていた
(翔はいいよ 嫌な思いはしてないんだから・・・)
俺はちょっと怒って見せた
「悪い弘樹 じゃ~明日迎えに行くよ」
「えっどこ行くの?」
「そうだなぁ~ 弘樹はどこへ行きたい?」
「えっ俺?」
(そうだなぁ~翔と行きたい所・・・ 翔は人混み嫌だろうからなるべく人混みが少ない所 でも明日は土曜日だし・・・)
「ねぇ~翔 俺翔の事まだあんまり良く知らない 連絡先すら知らないんだ だから俺翔の事もっと知りたい」
「連絡先交換してなかったかぁ~?」
「してないよ 今日だったいきなり行っても良かったのか 俺1人だしドキドキしたんだ 前嶋さんに聞こうとしたんだけど 前嶋さん凄く忙しそうにだったし・・・ だってあの前嶋さんの目つきが違うんだもん」
「そっか前嶋もやっと仕事人間になったかぁ~」
「ねぇ~翔 翔の家にお邪魔するっていうのはダメ?」
「それで弘樹はいいのか?」
「うん」
「では 俺がお迎えに上がります」
翔はそう言って手を胸に当て頭を下げていた
「えっあっはい お願いします」
俺も頭を下げると 翔は笑い出し俺もつられて笑ってしまっていた
(つづく)
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