メトロポリタン

暁エネル

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驚きの場所

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俺はとりあえず バーテンダーさんの部屋へ


俺がドアを開けると クローゼットが全開に開けられ 


バーテンダーさんは洋服を出していた




(凄い いろんな洋服が並んでる・・・)




まるでお店屋さんの様に洋服がぶら下がっていた


「あっ弘樹いい所へ来た ちょっとこれ着て見て・・・」


俺に気が付いたバーテンダーさんは 持っていたズボンを俺の方へ


「えっ俺一度帰りますよ」


「ごめん弘樹 時間がないんだ・・・」


俺はそう言われ仕方なく バーテンダーさんの方へ


バーテンダーさんはすでに洋服に着替えをしていて 俺はズボンを渡された




(どう考えてもムリでしょう だってぜんぜん背丈が違い過ぎるよ・・・)




俺はそう思いながら 渡されたズボンをはいていた


パジャマをまくりズボンをはくと バーテンダーさんが俺の方へ


「弘樹ウエストはヒモで調節してくれ」


そう言ってバーテンダーさんは 俺から伸びるスソのヒモを引っ張った


するとスソが上がり 左右にギャザーが入り 


引きずっていたスソが持ち上がっていた


バーテンダーさんは左右のヒモを結んでくれた


「弘樹どう? 動きづらくない?」


俺はパジャマをまくりながら 足踏みをしてみた


「うん大丈夫です」


「それじゃ~ズボンはこれでいいなぁ~ そしたら・・・」


バーテンダーさんは俺にTシャツとカーディガンを渡してくれた


「弘樹これに着替えたら すぐに出掛けるから玄関に来て・・・」


「あっありがとうございます」


バーテンダーさんは部屋を出て行った





(弘樹が着られそうな洋服があって良かった これであとは出掛けるだけだ・・・)




俺はキッチンへ行き シンクの食器を食洗機へと入れた




(弘樹もキレイに食べてくれたんだ・・・)







俺はパジャマを脱ぎTシャツに着替え カーディガンを持って部屋を出た


俺が玄関へ行くと バーテンダーさんがキッチンの方から出て来た


「あっごちそうさまでした とても美味しかったです」


「そう それは良かった」


「あの~ 食器を洗おうとしたんですけど スポンジと洗剤が見当たらなくて・・・」


「洗おうとしてくれたの ありがとう 食洗機があるからスポンジはないんだよ」




(食洗機・・・ どうりでスッキリしていたはずだ・・・)




バーテンダーさんが木の壁を少し押すと 靴がズラズラ~と並んでいた




(えっそこ開くの? 俺の靴とバーテンダーさんの靴しか見当たらなと思っていたら・・・ そうだよなぁ~こんな広い玄関に収納スペースがないわけがないよなぁ~)




バーテンダーさんは俺の前にサンダルを出してくれた


「弘樹これ マジックテープで止まるから大丈夫だと思うんだけど 履いて見て・・・」


俺は玄関に座って履いて見た


「良さそうだな それじゃ~行こうか」


そう言ってバーテンダーさんは 玄関を開けてくれた



玄関を出るとエレベーターへ




(えっ鍵閉めてなくない?)




「あっ玄関の鍵は・・・」


俺はバーテンダーさんの隣に並びそう言った


「あぁ~大丈夫 勝手に閉まってくれるから その代わりに鍵を持って出ないと 入れなくなるんだけどねぇ~」


そう言ってバーテンダーさんは俺に鍵を見せてくれた




(え~もはやホテルじゃん)




俺は声を出さずに驚いた


エレベーターが来て 俺とバーテンダーさんは乗り込んだ




(えっここ17階しかも最上階 だから窓から空が見えたのかぁ~ えっバーテンダーさんってお金持ち? バーテンダーってそんなに儲かるの?)




「あっあの~すみません 俺昨日寝ちゃったんですよね」


「弘樹はさぁ~ 俺の名前忘れちゃった?」


エレベーターという狭い空間で バーテンダーさんが俺の顔を覗き込んだ


俺はいきなりキレイな顔が 俺の目の前に現れて驚いた


「あっえっ 忘れてないです」


俺はそう言いながら下を向いた




(昨日前嶋さんが言ってた さんとか様とか要らないって それに怒ると怖いって・・・ 朝ご飯までごちそうになって・・・ どうしよう 昨日は前嶋さんにつつかれた勢いで 名前は言えたけど・・・)




そう思っているうちにエレベーターは地下へ


エレベーターが開くと車が並んでいた


4・5段ある階段を下り 俺はバーテンダーさんの後ろを歩いた


昨日確かに乗った青色の車の前へ


「弘樹 乗って」


「あっはい」


俺は助手席のドアを開けた




(どうしよう・・・ バーテンダーさんを名前で呼ばないと・・・)




俺は助手席に座ってシートベルトを閉めた


バーテンダーさんはハンドルに肘をついて 顔を伏せていた




(えっどうしたの・・・ もしかして具合が悪くなったとか・・・)




「弘樹」


「はい」


「弘樹は俺の名前呼べないかぁ~」


「えっあっ そんな事は・・・」


「昨日弘樹は 車の中で寝ちゃってさぁ~ 俺 部屋まで運んでさぁ~ それなのになぁ~」


「あっすいませんホント 俺 ぜんぜん覚えてなくて・・・ 重たかったですよね それに朝ご飯や洋服も貸してもらってホント 何てお礼をしたらいいのか・・・」


俺がそう言い終わると バーテンダーさんは声を出して笑い出した




(えっ俺 何かおもしろい事言った?)




「弘樹ごめん・・・ 俺は少しも嫌な事なんてなかったよ」


「でも俺寝ちゃったし 運ぶの大変だったでしょう?」


「いや 弘樹は瓶よりも軽いよ」


そう言ってバーテンダーさんは 俺に顔を向けていた


「俺は瓶ケースを相手にしてるから・・・ 弘樹 お礼はさぁ~ 俺を名前で呼んでくれたら それでいいよ」




(えっ それだけ・・・)




車は静かに走り出した


クラッシック音楽が静かに流れ出していた




(そう言えばお店でも クラッシックが流れてたなぁ~)




「あっ」


「弘樹どうした?」


「えっ」




(俺頑張れ名前を呼ぶだけだ 恥ずかしがるな・・・)




「しょ 翔はクラッシックが好きなの?」




(言えた・・・)




信号で止まり 翔が俺の顔を覗き込んだ


「えっ弘樹 聞こえなかったなぁ~ もう一回」




(ウソだ 絶対にウソだ・・・ こんなに静かなのに聞こえない訳がない そしてこの顔・・・)




「ねぇ~ 翔って意地悪なの?」


翔はまた声を出して笑った


信号が変わり 車はまた静かに走り出した




「クラッシックはオーナーが好きなんだよ だからメトロポリタンでもかけてる 車の中も何か音があった方がいいと思って ただそれだけ・・・」


「オーナー?」


「そうオーナー」


「えっメトロポリタンって 翔のお店じゃ~ないの?」


「残念ながら 俺はただの雇われ店長 でも好きにやらせてもらってるから 何も文句はないんだよ」


「そうなんだ・・・ 俺はてっきり・・・」




(えっでも凄いマンションに住んでるよねぇ~)




「弘樹は兄弟は居るの?」


「あっ俺 妹が1人」


「そう・・・ 仲がいいのかなぁ~?」


「俺の妹は とにかくうるさくて 手に負えないっすよ・・・」


「明るい妹さんなんだ・・・」


「いや あれはみんなを混乱させる うるささですよ」


「そうなんだ・・・」


「そっす・・・」


翔は笑顔で運転をしていた


遠くに観覧車が見えた




(まさかね 遊園地って事は絶対にないよね)




俺はそう思いながら 外の景色を見ていた




「弘樹の実家はどこにあるの?」


「俺の実家は隣の県だよ でもほとんど県境だから 結構時間がかかるし 何もない田舎だよ」


「翔の実家は? あー前嶋さんと幼なじみってホントですか 今だに信じられないんだけど・・・」




(あっでもさっきの意地悪さは 前嶋さんと似たところがあるよなぁ~)




「前嶋とは腐れ縁なんだよ」


「前嶋さん言ってたけど 翔が人を殴る姿想像出来ないよ俺・・・」


「昔の話だ・・・」




だんだん観覧車が大きく見える様になってきた




(俺の気のセイだよなぁ~ 違うなぁ~ もっとこうキレイな景色の所だよ うんきっとそうだ)




車はどんどん遊園地へと向かっていた


「翔 まさかだとは思うんだけど・・・」


遊園地のゲートをくぐり駐車場へ


「やっぱり土曜日だから混んでるなぁ~」


そう言って翔は車を 遊園地の駐車場へと停めた




(ウソでしょう まさかホントに遊園地)




「弘樹 下りて・・・」


翔はそう言ってドアを明け車を下りていた



(つづく)


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