馬鹿犬は高嶺の花を諦めない

phyr

文字の大きさ
上 下
101 / 116
犬牙、犬吠、その身に喰らえ

8-1

しおりを挟む
「ん、ん……」

 耳元で師匠の気持ちよさそうな声が聞こえると、俺もぞくぞくする。エロい。可愛い。
 座っている俺にしがみ付いて、師匠が腰を揺らして擦り付けてくる。ナカよりそっちを扱いた方が気持ちいいのかもしれないけど、ちゃんと解さないといけない。あの時メスイキ出来てたし、続けてたらナカでもよがってくれると嬉しい。

「っふ、ぁ……ッ」

 指で掠めるように触れたら、もっといい声が聞けた。周りをなぞったり、触れるか触れないかの力加減で撫でたりして、我慢しないでくれるようになった声を堪能する。ぬるぬると指を出し入れして師匠の声を聞いているだけなのに、俺のも元気になってきた。焦れた師匠が俺の指に合わせて体勢を変えようとするから、ずるりと引き抜いて孔の縁をなぞる。

「な、んで、ゆび」
「傷薬足すから、待って」

 不満げな唇をキスで宥めて、感覚で容器を掴んで指で掬い取る。舌を絡めたまま周りから塗り込めて、上に夢中になってきた辺りでひと息に指を奥まで挿れた。

「んァ……!」

 のけ反った喉に口付けて、容赦なく指で弱いところをいじめていく。俺好みに師匠の体を仕込むとか、いろいろ全部忘れるくらい衝撃的な発言をされたけど、だいたい師匠が何しても勃つ自信があるから好みもへったくれもない。俺の指で可愛く啼いてくれるだけでも、熱が溜まってくる。
 指一本がだいぶ楽に動かせるようになってきたから、そろそろ増やせるかもしれない。師匠のモノを確認して、鈴口を指で押さえながら言い聞かせる。

「俺の指咥えながらイこうね、クライヴ」

 喘いでいる可愛い人が理解する前に手を動かして、前と後ろから責め立てる。声を我慢させないのは正解だ。堪らなくそそられる。

「ルっぃ、ぅ、イ……く、ィく、ッあ、ァ!」

 俺にいいように啼かされて、イって、それでもぎゅって抱き付いてくれるのは、すごくいい。手に出されたものを舐めたら、さすがにフェラした時のよりは薄かった。行儀悪く音を立てながら舐め取っていって、俺に縋り付いたままの師匠にわざと聞かせる。指はまだ抜いていないから、反応がわかって可愛い。緩く動いてて、たまにきゅって締まる。音に弱いのは変わらないみたいだ。
 師匠が音に気を取られているタイミングで指を二本に増やして、ばらばらに動かして内壁を擦る。

「ぅ、ア」

 きゅう、と指が締め付けられた。ナカが気持ちよくなってきたのかもしれない。可愛い。反応が逐一わかってぞくぞくしてくる。もっと気持ちよくなってほしい。

「クライヴ」

 名前を呼んだら、ちゃんとこっちを向いてくれる。一回イったせいか睫毛が涙で束になってて、碧の宝石も潤んでて美味しそうだ。笑ってくれる顔も好きだけど、泣き顔も可愛い。感じてくれている顔はもっといい。

「ちゅーして」

 何も言わずに、唇が下りてくる。素直に感情を伝えてくれるから、師匠とするキスは気持ちいい。言葉ではほとんど言ってくれないけど、行動でこれだけ示してること、師匠はあんまりわかっていない気がする。いつかちゃんと俺を好きって言ってほしい。今は行動で応えてくれるだけでも、充分だけど。
 指でしこりを擦ると舌がびくりと震えて、口蓋を舐めるとナカがゆるゆるとうねる。どっちでも反応がわかって嬉しい。

「……好き」

 さっきはだめって言われたけど、これだけ素直にキスしてくれるからいいだろうと思ったら、指がきゅんきゅん喰い締められた。俺に縋り付いた体が震えてる、けど、イってる感じじゃない。

「……クライヴ?」
「だ、めって、言った……ッ」

 何これ。

 俺に好きって言われたら、体に出ちゃうのかよ。

「……俺が好きって言ったら、我慢出来なくなるから、だめって言った?」

 言葉での返事はない。けど、体が応えてくれる。死ぬほど可愛い。

 俺の可能性を潰したくないからって、自分は我慢しようとして、でも好きって言われたら無理だから、言わないでって懇願して。
 そんなの知ったら、こっちが我慢出来ない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。 彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。 しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。 幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。 運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

すべてはあなたを守るため

高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

処理中です...