馬鹿犬は高嶺の花を諦めない

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犬牙、犬吠、その身に喰らえ

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「ん、ん……」

 耳元で師匠の気持ちよさそうな声が聞こえると、俺もぞくぞくする。エロい。可愛い。
 座っている俺にしがみ付いて、師匠が腰を揺らして擦り付けてくる。ナカよりそっちを扱いた方が気持ちいいのかもしれないけど、ちゃんと解さないといけない。あの時メスイキ出来てたし、続けてたらナカでもよがってくれると嬉しい。

「っふ、ぁ……ッ」

 指で掠めるように触れたら、もっといい声が聞けた。周りをなぞったり、触れるか触れないかの力加減で撫でたりして、我慢しないでくれるようになった声を堪能する。ぬるぬると指を出し入れして師匠の声を聞いているだけなのに、俺のも元気になってきた。焦れた師匠が俺の指に合わせて体勢を変えようとするから、ずるりと引き抜いて孔の縁をなぞる。

「な、んで、ゆび」
「傷薬足すから、待って」

 不満げな唇をキスで宥めて、感覚で容器を掴んで指で掬い取る。舌を絡めたまま周りから塗り込めて、上に夢中になってきた辺りでひと息に指を奥まで挿れた。

「んァ……!」

 のけ反った喉に口付けて、容赦なく指で弱いところをいじめていく。俺好みに師匠の体を仕込むとか、いろいろ全部忘れるくらい衝撃的な発言をされたけど、だいたい師匠が何しても勃つ自信があるから好みもへったくれもない。俺の指で可愛く啼いてくれるだけでも、熱が溜まってくる。
 指一本がだいぶ楽に動かせるようになってきたから、そろそろ増やせるかもしれない。師匠のモノを確認して、鈴口を指で押さえながら言い聞かせる。

「俺の指咥えながらイこうね、クライヴ」

 喘いでいる可愛い人が理解する前に手を動かして、前と後ろから責め立てる。声を我慢させないのは正解だ。堪らなくそそられる。

「ルっぃ、ぅ、イ……く、ィく、ッあ、ァ!」

 俺にいいように啼かされて、イって、それでもぎゅって抱き付いてくれるのは、すごくいい。手に出されたものを舐めたら、さすがにフェラした時のよりは薄かった。行儀悪く音を立てながら舐め取っていって、俺に縋り付いたままの師匠にわざと聞かせる。指はまだ抜いていないから、反応がわかって可愛い。緩く動いてて、たまにきゅって締まる。音に弱いのは変わらないみたいだ。
 師匠が音に気を取られているタイミングで指を二本に増やして、ばらばらに動かして内壁を擦る。

「ぅ、ア」

 きゅう、と指が締め付けられた。ナカが気持ちよくなってきたのかもしれない。可愛い。反応が逐一わかってぞくぞくしてくる。もっと気持ちよくなってほしい。

「クライヴ」

 名前を呼んだら、ちゃんとこっちを向いてくれる。一回イったせいか睫毛が涙で束になってて、碧の宝石も潤んでて美味しそうだ。笑ってくれる顔も好きだけど、泣き顔も可愛い。感じてくれている顔はもっといい。

「ちゅーして」

 何も言わずに、唇が下りてくる。素直に感情を伝えてくれるから、師匠とするキスは気持ちいい。言葉ではほとんど言ってくれないけど、行動でこれだけ示してること、師匠はあんまりわかっていない気がする。いつかちゃんと俺を好きって言ってほしい。今は行動で応えてくれるだけでも、充分だけど。
 指でしこりを擦ると舌がびくりと震えて、口蓋を舐めるとナカがゆるゆるとうねる。どっちでも反応がわかって嬉しい。

「……好き」

 さっきはだめって言われたけど、これだけ素直にキスしてくれるからいいだろうと思ったら、指がきゅんきゅん喰い締められた。俺に縋り付いた体が震えてる、けど、イってる感じじゃない。

「……クライヴ?」
「だ、めって、言った……ッ」

 何これ。

 俺に好きって言われたら、体に出ちゃうのかよ。

「……俺が好きって言ったら、我慢出来なくなるから、だめって言った?」

 言葉での返事はない。けど、体が応えてくれる。死ぬほど可愛い。

 俺の可能性を潰したくないからって、自分は我慢しようとして、でも好きって言われたら無理だから、言わないでって懇願して。
 そんなの知ったら、こっちが我慢出来ない。
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