馬鹿犬は高嶺の花を諦めない

忠犬、馬鹿犬、貴方のために

12-1

「も、いっ……か、げんに……ッ」
「しばらくしてないから、馴らさないと」

　浄化の魔術を習っててよかった。準備しなくても、すぐにヤれる。ただ拡張まで出来るわけじゃないから、ちゃんと馴らしておかないと怪我させるかもしれない。
　ぐちゅぐちゅ音がしてエロくて俺も早く挿れたくて堪らないけど、一緒に気持ち良くなりたいから我慢する。指で触ってるだけでも、師匠の中がとろとろになってるのはわかる。ナカが不規則にひくつく時があるから、もしかして結構きついのかもしれない。

「師匠、イきたい？」

　言ってから気付いた。聞き方間違えた。涙目で俺を睨んで、師匠が唇を噛み締めてそっぽを向く。
　ああいう聞き方したら、師匠は素直にイきたいって言わないんだった。
　そっと指を抜いて、挿れてなかった方の手で師匠の頬を撫でる。

「噛んだら痕になる」
「っ、る、せぇ……！」

　よかった、まだ完全には怒ってない。何度も唇を啄んで、肌を撫でて、拒絶の棘が緩むまで優しく気持ち良くしてあげる。俺が何かする度に、ぐずるように反応してくれるのが可愛い。

「師匠、挿れていい？」

　縁をゆっくり撫でつつ、鎖骨から徐々に下の方へ口付けていく。唇が肌に触れる度に、孔がひくひくして反応してる。声を我慢している分、こうやって体に出るから余計可愛い。

「はや、ッ、よこせよ……っ」

　許可が出たから宛がって、ゆるゆると浅いところで抜き差しする。腹側を擦って喘がせて、師匠を好きに啼かせていることにぞくぞくした。何だっけ、前立腺、を突くと、師匠も耐え切れずに声を出してくれるから、浅いところをぐちゅぐちゅするのは好きだ。

「ぁ、っア、ん……ぅ」
「気持ちいいね、師匠」

　さっき苦しそうだったから、一回出させてあげよう。前立腺の辺りを何回も突いて、涎を零しててらてらと光っている師匠のモノを擦り上げる。師匠の体にぎゅっと力が入って、綺麗な筋肉の付いた腹が汚れた。腹筋の割れているところに、どろりとした液体が流れて溜まる。思ったより濃くて、臍の周りを指でなぞって塗り付けた。

「……抜いてなかった？」

　びくりと師匠が震えたから、腕の中に閉じ込めて顔を覗き込む。濡れて束になった睫毛が綺麗だ。

「…………名前」
「なまえ？」
「……調べんのに、時間、掛かって」

　俺の名前を付けるのに、意味や由来を調査して候補を選び出して決めるまで、師匠がほとんどやってくれたらしい。城にある書物を全部読んで、今いる貴族の名前も調べて、今日に間に合わせるために時間を削って。忙しくて。
　理解するやデカくなったモノを、気遣いもせずに奥まで突っ込んだ。悲鳴みたいに上がった声を飲み込むように口付けて、俺の大切な人を貪る。この人、どこまで、ほんとに、頭いいけど、絶対ばかだ。
　衝動的にぐちゃぐちゃに抽挿をくり返して、許可をもらわずに奥まで種を流し込む。師匠もまたイったみたいだ。抱きしめたら腹が湿って、師匠の目元も濡れてたから舌で舐めた。しょっぱい。

「きゅ、に、すんな、ばか、きついん、だよ……！」

　今のは俺は悪くないと思う。師匠が悪い。ぐり、と腰を動かして、罵ろうとする口を黙らせる。黙りはしないか、エロい声漏らしてるし。
　暴れられないよう体を使って大人しくさせながら、形のいい耳に声を吹き込む。

「……クライヴ」

　師匠は何も答えなかったけど、ナカがきゅうきゅう締まって返事をした。体は正直。可愛い。想いを込めて優しく、下腹を撫でながら師匠の名前を音に出して注ぎ込む。

「クライヴ」

　言葉では何も言わないのに、ナカの壁が反応して俺のモノを包み込んでくれる。とろとろの緩い刺激が気持ちいい。

「俺の名前、呼んで」

　もう少し溺れさせないと、呼んでくれないかな。