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番外編
ロンバルト①
しおりを挟む「俺は騎士になるッ!」
「おお、そうしなさい!」
「頑張ってね、ロン!」
王立学園入学より一年ちょっと前。
俺がそう言うと両親は涙ながらに喜び、賛成した。
反対されるかと思っていたので、拍子抜けした俺に、アドバイスをくれた双子の姉は言う。
「だから言ったでしょう、平気だって。 でもサイラスにはよくよく頭を下げときなさいよ?」
弟のサイラスもそうだが、姉のビビは賢い。
二人とも真面目で勤勉なのだ。
俺も真面目ではあるが、着実に筋肉がつく筋トレと違い勉強はやってもやっても追いつかない。
「仕方ないじゃない、ロンは文字を見ると虚ろになる時間が長いんだもの。 アナタ、真面目に机には向かうけど、同じ勉強時間中に実質ロンが勉強しているのは私達の10分の1くらいじゃない?」
「確かに……」
否定する言葉が全く思い浮かばない。
机に向かうも、ほぼほぼ睡魔との戦いになるのだ。空気椅子で立ち向かったりしたが、待っていたのは『それはそれで集中できない』という罠。
そんなワケで、俺は騎士科に入学した。
頭のイイ奴もいたが、俺と似たり寄ったりの馬鹿も沢山おり、どちらも面白い奴らで学園生活は充実していた。
ルームメイトは『頭のイイ奴』の代表格。
幼馴染みで魔法騎士を目指すエディ。
騎士科を出ても騎士爵を得られるわけではなく、『騎士になれる実力がありますよ』という国家認定を得られるだけ。
基本的には騎士採用試験の一部が免除になり、成績により騎士団に推薦される。卒業後に領騎士団や警邏隊に入る奴も多い。
でも魔法騎士は違う。
れっきとした国家資格であり、在学中でも資格を取得すればもう『魔法騎士』だ。
科は一緒だけど魔法騎士になるには騎士科の実地テストの他、色々あるらしい。魔法とか魔術とか俺には難し過ぎるので詳しくは知らないけど、多分なにか難しいテストがあるに違いない。
学園は三年制。
エディに妙な質問をされたのは、最後の年に入ってすぐのことだった。
「お前……さてはなにも気付いてないな?」
「ん?」
「いや、うん……それはそれでよかったと言うべきかも……」
「??」
なんかゴニョゴニョ言っていたが、なにが言いたいのかさっぱりわからなかった俺は、勿論率直に尋ねた。
『案ずる産むが安し(※正しくは易し)』だ!
考えても時間の無駄ってことだな!(※彼には当て嵌るが違う)
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