4 / 6
④
しおりを挟む
そんなある日のこと。
焔の貴公子に教わっていても、イマイチ本来の力を出せるようにならない私に氷の貴公子は言う。
「う~む、君はどうも魔力の解放が苦手なようだ」
「魔力の解放……っすか」
曰く、持ち合わせた魔力量より圧倒的にショボイ力しか出せていないらしい。
基礎の上級魔法『火球』(これまたベタだな)は出せるようになったが、確かに圧倒的ショボさである。
しかし、んなこと言われても。
焔の貴公子の説明は『今だッ! こうギュ~ンとしてバーンッて感じで!!』とかサッパリわからんし。
そう言うと、焔の貴公子の擬音部分を氷の貴公子が言語化して説明してくれる、という流れになった。
「そうだな……『ギュ~ン』というのは」
氷の貴公子がいざ説明に取り掛かろうとした──その時だった。
「大変です!」
焦った感じでやってきた癒しの貴公子。
やっぱり『癒しの貴公子』っていまいちカラーがわかりにくいな。
あ、緑の人ですよ。(※親切設計)
「学園に魔物が入り込みました!!」
ナ、ナンダッテ──!?!?
妙な展開がやってきたもんだ。
私の知る小説や漫画では、そういうのって大概もっと色々あってからだったような?
「皆の安全は我々が守る……いくぞ!!」
「おう!」
「君は安全なところへ!」
「あっハイ」
やっぱコレ、レンジャーモノじゃないの?
『貴族学園☆セレブンジャー~学園の平和は我々が守る!~』とかじゃないの?
──それは一旦置いとくとして。
生憎私は無力な民なので、『私も戦います!』などと言う気はサラサラないのである。そこに足を引っ張りたくない、などという殊勝な気持ちも特にない。
まあ普通に心配はしてるけど、レンジャーモノは応援と心配をする一視聴者でありたい。メンバーとか勘弁しろ。
良かった、「いくぞ!」の中に私も含まれてなくて。
カラード貴公子の皆様が出陣した中、とりあえず『安全なとこってどこやねん』と校内を彷徨う私。
なにしろ私ときたらお勉強ができないせいで補講ばかり。
自分の教室と生徒会室と黄金の貴公子のお陰で早々にリニューアルを果たした武道場くらいしか行ったことがないのである。
あとは連れ出された学舎裏か。
……学園生活とは一体。
若干遠い目になったが、その遠い目のお陰か少し遠くにウロウロしている腐女子を発見した。
『補足説明だけでなく安全な場所への案内もヨロ!』という気持ちで腐女子についていく。
──だが、この選択が自らの首を締めることになるとは。
この時の私は思っていなかったのである。
焔の貴公子に教わっていても、イマイチ本来の力を出せるようにならない私に氷の貴公子は言う。
「う~む、君はどうも魔力の解放が苦手なようだ」
「魔力の解放……っすか」
曰く、持ち合わせた魔力量より圧倒的にショボイ力しか出せていないらしい。
基礎の上級魔法『火球』(これまたベタだな)は出せるようになったが、確かに圧倒的ショボさである。
しかし、んなこと言われても。
焔の貴公子の説明は『今だッ! こうギュ~ンとしてバーンッて感じで!!』とかサッパリわからんし。
そう言うと、焔の貴公子の擬音部分を氷の貴公子が言語化して説明してくれる、という流れになった。
「そうだな……『ギュ~ン』というのは」
氷の貴公子がいざ説明に取り掛かろうとした──その時だった。
「大変です!」
焦った感じでやってきた癒しの貴公子。
やっぱり『癒しの貴公子』っていまいちカラーがわかりにくいな。
あ、緑の人ですよ。(※親切設計)
「学園に魔物が入り込みました!!」
ナ、ナンダッテ──!?!?
妙な展開がやってきたもんだ。
私の知る小説や漫画では、そういうのって大概もっと色々あってからだったような?
「皆の安全は我々が守る……いくぞ!!」
「おう!」
「君は安全なところへ!」
「あっハイ」
やっぱコレ、レンジャーモノじゃないの?
『貴族学園☆セレブンジャー~学園の平和は我々が守る!~』とかじゃないの?
──それは一旦置いとくとして。
生憎私は無力な民なので、『私も戦います!』などと言う気はサラサラないのである。そこに足を引っ張りたくない、などという殊勝な気持ちも特にない。
まあ普通に心配はしてるけど、レンジャーモノは応援と心配をする一視聴者でありたい。メンバーとか勘弁しろ。
良かった、「いくぞ!」の中に私も含まれてなくて。
カラード貴公子の皆様が出陣した中、とりあえず『安全なとこってどこやねん』と校内を彷徨う私。
なにしろ私ときたらお勉強ができないせいで補講ばかり。
自分の教室と生徒会室と黄金の貴公子のお陰で早々にリニューアルを果たした武道場くらいしか行ったことがないのである。
あとは連れ出された学舎裏か。
……学園生活とは一体。
若干遠い目になったが、その遠い目のお陰か少し遠くにウロウロしている腐女子を発見した。
『補足説明だけでなく安全な場所への案内もヨロ!』という気持ちで腐女子についていく。
──だが、この選択が自らの首を締めることになるとは。
この時の私は思っていなかったのである。
8
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ライバル令嬢に選択肢取られてるんですけど?
こうやさい
ファンタジー
気がつくと乙女ゲーの世界にヒロインとして転生していた。うん、フィクションなら良くある。
そのゲームの攻略キャラには婚約者がいた。うん、これもある。
けどその婚約者がヒロインの言うはずのセリフ言ってるのはありなの?
うん、タイトルまんまの話。恋愛には発展しません。
本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!
佐倉穂波
ファンタジー
ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。
学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。
三話完結。
ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。
2023.10.15 プリシラ視点投稿。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
気が付けば悪役令嬢
karon
ファンタジー
交通事故で死んでしまった私、赤ん坊からやり直し、小学校に入学した日に乙女ゲームの悪役令嬢になっていることを自覚する。
あきらかに勘違いのヒロインとヒロインの親友役のモブと二人ヒロインの暴走を抑えようとするが、高校の卒業式の日、とんでもないどんでん返しが。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
この学園ではちょうどいいざまぁのやり方は教えてもらえませんか?
こうやさい
ファンタジー
あたしは学園入学時、昔やった乙女ゲームに転生した事に気付いた。
嫌がらせをされるはずだからはりきってざまぁをしよう……と思ったけれど、ちょうどいいざまぁってどれくらいだろう?
例のごとく婚約破棄なら恋愛カテゴリで……からやり始めたはずなのにそれて婚約破棄がなくなって恋愛カテゴリじゃなくなった代物。とりあえず異世界転生には違いないからファンタジーにしたけど……。
そしてタイトルが意味不明、深く考えないで下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄された悪役令嬢ですが、闇魔法を手に聖女に復讐します
ごぶーまる
ファンタジー
突然身に覚えのない罪で、皇太子との婚約を破棄されてしまったアリシア。皇太子は、アリシアに嫌がらせをされたという、聖女マリアとの婚約を代わりに発表。
マリアが裏で手を引いたに違いないと判断したアリシアは、持ち前の闇魔法を使い、マリアへの報復を決意するが……?
読み切り短編です
いい子ちゃんなんて嫌いだわ
F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが
聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。
おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。
どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。
それが優しさだと思ったの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる