3 / 6
③
しおりを挟む
そんなこんなでのっけから事件は起こりつつも、傍観を決め込んだ私。
この後ちゃんと入学式は開始され、恙無く終わった。
ちなみに四人は生徒会メンバーだった。
私は『絶対生徒会には近寄らない』と決めた。
しかし私は運営(※勿論学園の)から目を付けられていたらしく、半ば強制的に生徒会に入れられた。
なんでだ。
ピンクだからか。
……ピンクだからか!?
「いや、君魔力量多いし」
「そもそも密命で捕か……ゲフンゲフン、保護されたあたりで察して?」
抵抗したら凄い普通にそう返された。
マトモかよ。
──そんなわけで。
結局関わらざるを得なくなったレンジャーメンバー達。
せめてピンクレンジャーになるのはご勘弁願いたいところ。
いくら美少女に生まれたからと言って、私にお色気担当は無理だ。
いや、当初の想定は『乙女ゲーム転生系のナニカ』であり、奴らは『攻略対象』だった筈。
あまりのカラーバランスと、前世で乙女ゲームを実際にはやったことがないのが災いし、自分の脳がやや混乱していると感じる。
私に振られるのは地味で簡単な書類作業のみ。あとは勉強を教わっており、書類作業もその一環的な実施に過ぎない。密命云々は事実らしい。
まあ、孤児だったしね。
貴公子達とは絡むは絡むが、ほぼほぼ真面目に勉強を教わるだけである。
一般的な勉強と魔法座学を教わるのは氷の貴公子と癒しの貴公子で、魔法実技を教わるのが焔の貴公子。
黄金の貴公子は、概ねお食事おやつの差し入れ係だ。ちなみに生徒会室には奴専用の豪華な椅子がある。流石は財力ムーブ。他にも私財を投入して色々カスタマイズしてそう。
幸い余裕のある孤児院だったのか読み書きだけは教えて貰っていたが、前世の記憶が無かったら計算とかはもうどうにもならないレベル。
前世の記憶が仕事していても全く学園の授業についていけない私に、補講は大変有難く、文句はない。美味しいごはんとおやつも頂けるし。
強いて文句を言うなら焔の貴公子の教え方がなかなか酷いくらい。
擬音と感覚に頼る説明はやめてほしいと切実に思う。
しかし、そんな日々を送っていたら、当然やっかまれる。
案の定、私は女子に囲まれた。
場所は連れ出された学舎裏という、なかなかベタな少女漫画展開だ。
やはりこれは『乙女ゲーム転生系のナニカ』なのでは。
「貴女のような男爵令嬢如きが、貴公子達の中にいるなんて羨まおかしいですわ!」
「マナーも所作もなってないくせに!」
「薔薇の園に女人は要らぬ……!」
意外にも虐めメンバーに加わっている腐女子の存在が気になるが、お怒りはごもっとも。
もとより別段歯向かうつもりもない。
こちらとしても勉強とごはんは有難いがこれ以上のフラグは要らんので、早々に撤退したいのだ。
問題なさそうな部分のみ抽出して説明し、彼女らに勉強を見て貰えば生徒会メンバーから抜け出せるのでは、と考えた私は、調子よく合わせようと試みることにした。
「いやいやいやいや皆様……(※揉み手で下から擦り寄るイメージで)」
しかし──
「お止めなさい……」
「はっ?!」
「何奴ッ?!」
いや、『何奴』って。
どうにも腐女子のキャラが濃い件。
「あっ貴女は……!」
声の先には、豊かで艶やかな黒髪を靡かせた神秘的な美少女。
「黒百合の姫君……!!」
『黒百合の姫君』……だと?!
なんと、『貴公子』だけでなくカラード・アナザーネームをお持ちの方が女性にもいらしたとは。
「くっ公爵令嬢様にそう仰られては引くよりありませんわ……!」
はい、補足説明あざーす!
わかりやすい説明を加えてくれた上で『覚えてらっしゃい!』とお決まりの台詞を私に吐き、女性徒達は蜘蛛の子を散らすように逃げ去ってしまった。
いや、待って……!
もっとお話ししましょうよ!?
「貴女。 助けたわけじゃなくてよ……勘違いなさらないでね……」
黒百合の姫君は、私に向けて一方的にツンデレ的な台詞をクールに残したあと、黒髪を靡かせながらカッコよく踵を返した。
登場時も去る時も、風が味方してるのでは……と言う程に実にイイ感じで髪が靡き、花びらやら葉っぱやらが程良く舞っている。
『悪役令嬢』とも取れるが、その佇まいはむしろ『敵か味方か……謎の六人目! ブラックレンジャー!!』って感じなのが気になるところだ。
この後ちゃんと入学式は開始され、恙無く終わった。
ちなみに四人は生徒会メンバーだった。
私は『絶対生徒会には近寄らない』と決めた。
しかし私は運営(※勿論学園の)から目を付けられていたらしく、半ば強制的に生徒会に入れられた。
なんでだ。
ピンクだからか。
……ピンクだからか!?
「いや、君魔力量多いし」
「そもそも密命で捕か……ゲフンゲフン、保護されたあたりで察して?」
抵抗したら凄い普通にそう返された。
マトモかよ。
──そんなわけで。
結局関わらざるを得なくなったレンジャーメンバー達。
せめてピンクレンジャーになるのはご勘弁願いたいところ。
いくら美少女に生まれたからと言って、私にお色気担当は無理だ。
いや、当初の想定は『乙女ゲーム転生系のナニカ』であり、奴らは『攻略対象』だった筈。
あまりのカラーバランスと、前世で乙女ゲームを実際にはやったことがないのが災いし、自分の脳がやや混乱していると感じる。
私に振られるのは地味で簡単な書類作業のみ。あとは勉強を教わっており、書類作業もその一環的な実施に過ぎない。密命云々は事実らしい。
まあ、孤児だったしね。
貴公子達とは絡むは絡むが、ほぼほぼ真面目に勉強を教わるだけである。
一般的な勉強と魔法座学を教わるのは氷の貴公子と癒しの貴公子で、魔法実技を教わるのが焔の貴公子。
黄金の貴公子は、概ねお食事おやつの差し入れ係だ。ちなみに生徒会室には奴専用の豪華な椅子がある。流石は財力ムーブ。他にも私財を投入して色々カスタマイズしてそう。
幸い余裕のある孤児院だったのか読み書きだけは教えて貰っていたが、前世の記憶が無かったら計算とかはもうどうにもならないレベル。
前世の記憶が仕事していても全く学園の授業についていけない私に、補講は大変有難く、文句はない。美味しいごはんとおやつも頂けるし。
強いて文句を言うなら焔の貴公子の教え方がなかなか酷いくらい。
擬音と感覚に頼る説明はやめてほしいと切実に思う。
しかし、そんな日々を送っていたら、当然やっかまれる。
案の定、私は女子に囲まれた。
場所は連れ出された学舎裏という、なかなかベタな少女漫画展開だ。
やはりこれは『乙女ゲーム転生系のナニカ』なのでは。
「貴女のような男爵令嬢如きが、貴公子達の中にいるなんて羨まおかしいですわ!」
「マナーも所作もなってないくせに!」
「薔薇の園に女人は要らぬ……!」
意外にも虐めメンバーに加わっている腐女子の存在が気になるが、お怒りはごもっとも。
もとより別段歯向かうつもりもない。
こちらとしても勉強とごはんは有難いがこれ以上のフラグは要らんので、早々に撤退したいのだ。
問題なさそうな部分のみ抽出して説明し、彼女らに勉強を見て貰えば生徒会メンバーから抜け出せるのでは、と考えた私は、調子よく合わせようと試みることにした。
「いやいやいやいや皆様……(※揉み手で下から擦り寄るイメージで)」
しかし──
「お止めなさい……」
「はっ?!」
「何奴ッ?!」
いや、『何奴』って。
どうにも腐女子のキャラが濃い件。
「あっ貴女は……!」
声の先には、豊かで艶やかな黒髪を靡かせた神秘的な美少女。
「黒百合の姫君……!!」
『黒百合の姫君』……だと?!
なんと、『貴公子』だけでなくカラード・アナザーネームをお持ちの方が女性にもいらしたとは。
「くっ公爵令嬢様にそう仰られては引くよりありませんわ……!」
はい、補足説明あざーす!
わかりやすい説明を加えてくれた上で『覚えてらっしゃい!』とお決まりの台詞を私に吐き、女性徒達は蜘蛛の子を散らすように逃げ去ってしまった。
いや、待って……!
もっとお話ししましょうよ!?
「貴女。 助けたわけじゃなくてよ……勘違いなさらないでね……」
黒百合の姫君は、私に向けて一方的にツンデレ的な台詞をクールに残したあと、黒髪を靡かせながらカッコよく踵を返した。
登場時も去る時も、風が味方してるのでは……と言う程に実にイイ感じで髪が靡き、花びらやら葉っぱやらが程良く舞っている。
『悪役令嬢』とも取れるが、その佇まいはむしろ『敵か味方か……謎の六人目! ブラックレンジャー!!』って感じなのが気になるところだ。
11
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ライバル令嬢に選択肢取られてるんですけど?
こうやさい
ファンタジー
気がつくと乙女ゲーの世界にヒロインとして転生していた。うん、フィクションなら良くある。
そのゲームの攻略キャラには婚約者がいた。うん、これもある。
けどその婚約者がヒロインの言うはずのセリフ言ってるのはありなの?
うん、タイトルまんまの話。恋愛には発展しません。
本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!
佐倉穂波
ファンタジー
ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。
学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。
三話完結。
ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。
2023.10.15 プリシラ視点投稿。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
気が付けば悪役令嬢
karon
ファンタジー
交通事故で死んでしまった私、赤ん坊からやり直し、小学校に入学した日に乙女ゲームの悪役令嬢になっていることを自覚する。
あきらかに勘違いのヒロインとヒロインの親友役のモブと二人ヒロインの暴走を抑えようとするが、高校の卒業式の日、とんでもないどんでん返しが。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
この学園ではちょうどいいざまぁのやり方は教えてもらえませんか?
こうやさい
ファンタジー
あたしは学園入学時、昔やった乙女ゲームに転生した事に気付いた。
嫌がらせをされるはずだからはりきってざまぁをしよう……と思ったけれど、ちょうどいいざまぁってどれくらいだろう?
例のごとく婚約破棄なら恋愛カテゴリで……からやり始めたはずなのにそれて婚約破棄がなくなって恋愛カテゴリじゃなくなった代物。とりあえず異世界転生には違いないからファンタジーにしたけど……。
そしてタイトルが意味不明、深く考えないで下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄された悪役令嬢ですが、闇魔法を手に聖女に復讐します
ごぶーまる
ファンタジー
突然身に覚えのない罪で、皇太子との婚約を破棄されてしまったアリシア。皇太子は、アリシアに嫌がらせをされたという、聖女マリアとの婚約を代わりに発表。
マリアが裏で手を引いたに違いないと判断したアリシアは、持ち前の闇魔法を使い、マリアへの報復を決意するが……?
読み切り短編です
いい子ちゃんなんて嫌いだわ
F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが
聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。
おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。
どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。
それが優しさだと思ったの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる