私は前世の記憶を持つピンク髪ですが、この世界は『乙女ゲーム転生系のナニカ』のようです。

砂臥 環

文字の大きさ
上 下
1 / 6

しおりを挟む


私はこの春から王立学園に通うこととなった。

孤児だった私だが、実は魔力を有する貴族の中でも有数の部類に匹敵する魔力量があると判明し、王家から密命を受けた男爵家に令嬢として引き取られている。
学園に通うのもその流れである。

ちなみにピンク髪だ。
ピンクブロンドっつーかもう、ピンク。

地域差はあるが他の人もそれなりに賑々しい色をしており、目に優しくない。


『これ、乙女ゲームに転生した系のナニカなのでは』


この髪がきっかけで私は前世の記憶を思い出した。

その記憶は、日常エピソードというよりもサブカル知識が主であり、自分がそれなりのオタクだったのであろうことしか不明。

折角なんだからなんかもっと有益な情報を寄越さんかい!

……と思わなくもないが、私の出自から今に至る迄の経緯がかなりのテンプレだと思い出すに至ったので、まあヨシとしよう。

そんなワケで、当初は「コレは『乙女ゲーム転生で私はヒロイン』では?」と思った次第。
やがてそれは『乙女ゲームに転生した系のナニカ』になった。

何故なら、これ系テンプレ使用の物語などクソ程あるから。ついでに私は乙女ゲームを実際にやったことはない。

転生したってだけで、それがどこのなにかというのもやっぱり不明。乙女ゲームか、はたまた小説か漫画か、コンテンツすらわからない。

だが、それなりの美少女で庇護欲そそる小動物系のこの見た目と、学園入学までの半生を鑑みるに、ヒロイン転生した可能性濃厚。

残念なことに私の知る限り大概、ピンク髪令嬢は『ヒロインという名の悪役』。

そう、世の中の流行りは『悪役令嬢=正ヒロイン』。そして悪役令嬢の髪色は様々だが、ヒロインの鉄板であるピンクが悪役令嬢のパターンは少ない。

ピンク髪ヒロインキャラは逆に危険な件。

なにしろ悪役令嬢キャラと違い、権力も金も学も伝手もなく、抗いようがない。
なんか知らんうちに男爵令嬢になり学園に通うことになっているのが、その証左と言える。

悪役と認定されたら、死ぬ確率は悪役令嬢よりまず間違いなく高い。

私は攻略対象っぽいイケメンには極力近寄らないと決め、学園の門をくぐった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームのヒロインに転生してしまった様なので

七地潮
ファンタジー
ヒロインに転生したので、逃げます 小説家になろう様でもアップしております。

ライバル令嬢に選択肢取られてるんですけど?

こうやさい
ファンタジー
 気がつくと乙女ゲーの世界にヒロインとして転生していた。うん、フィクションなら良くある。  そのゲームの攻略キャラには婚約者がいた。うん、これもある。  けどその婚約者がヒロインの言うはずのセリフ言ってるのはありなの?  うん、タイトルまんまの話。恋愛には発展しません。  本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!

佐倉穂波
ファンタジー
 ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。  学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。 三話完結。 ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。 2023.10.15 プリシラ視点投稿。

気が付けば悪役令嬢

karon
ファンタジー
交通事故で死んでしまった私、赤ん坊からやり直し、小学校に入学した日に乙女ゲームの悪役令嬢になっていることを自覚する。 あきらかに勘違いのヒロインとヒロインの親友役のモブと二人ヒロインの暴走を抑えようとするが、高校の卒業式の日、とんでもないどんでん返しが。

この学園ではちょうどいいざまぁのやり方は教えてもらえませんか?

こうやさい
ファンタジー
 あたしは学園入学時、昔やった乙女ゲームに転生した事に気付いた。  嫌がらせをされるはずだからはりきってざまぁをしよう……と思ったけれど、ちょうどいいざまぁってどれくらいだろう?  例のごとく婚約破棄なら恋愛カテゴリで……からやり始めたはずなのにそれて婚約破棄がなくなって恋愛カテゴリじゃなくなった代物。とりあえず異世界転生には違いないからファンタジーにしたけど……。  そしてタイトルが意味不明、深く考えないで下さい。

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

婚約破棄された悪役令嬢ですが、闇魔法を手に聖女に復讐します

ごぶーまる
ファンタジー
突然身に覚えのない罪で、皇太子との婚約を破棄されてしまったアリシア。皇太子は、アリシアに嫌がらせをされたという、聖女マリアとの婚約を代わりに発表。 マリアが裏で手を引いたに違いないと判断したアリシアは、持ち前の闇魔法を使い、マリアへの報復を決意するが……? 読み切り短編です

いい子ちゃんなんて嫌いだわ

F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが 聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。 おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。 どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。 それが優しさだと思ったの?

処理中です...