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第一部 身の程知らずなご令嬢 ~第一章 毒花は開花する~
4. 毒花令嬢は動き出す
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「マリエンヌさま!これはなんですか!」
授業の合間の休憩時間。マリエンヌが次の授業の準備をしていた時、教室にその怒号が響く。
周りの生徒たちは怯えていたり、何事かと野次馬根性を見せているが、当のマリエンヌは涼しい顔をしている。
「手紙以外の何に見えるのですか?ライオネルさま」
なるべく、優しい令嬢という仮面を外さないように接したつもりだったが、煽り言葉のようになってしまう。
この状況を楽しんでいる自分がいて、感情を隠しきれなかった。
「……そうではなく、内容の話です!」
マリエンヌの言葉に、一瞬だけたじろぐが、さすがは侯爵家嫡男というべきか、すぐに持ち直す。
(アレクシスさまとは大違いね)
アレクシスの場合は、マリエンヌの本性を知っていたからこそのあの反応だったわけだが……マリエンヌに、そんな考えは浮かぶことはなかった。
そんなことに思考を飛ばすよりも、目の前の男を片づけるほうが優先されたためだ。
「内容が、どうかしましたか」
「どうかしましたかではありません!誰の目に触れるかわからない学園内で書く内容ではないでしょう!」
「わたくし、そんなにおかしなことを書いた覚えはないのですけど……。皆さまに、公正に判断していただきますか?」
やれるものならねと、マリエンヌは不敵な笑みを浮かべる。
周りは、突然、諍いに巻き込まれたことに驚きを隠せていないが、マリエンヌは涼しい顔だ。
マリエンヌは、手紙の内容を公開されない自信があった。されたとしても、自分に不利になることはないと。
手紙の内容は、リネアとの関係を改善を促すというもののためだ。
この内容を公開しようものなら、リネアとの関係を周囲に知らしめることになるし、公開しなかったら、何か不都合なことでもあるのかと勘ぐられることになる。
どちらに転んだとしても、マリエンヌの優位は揺るがない。
だが、少しは迷うかと思われたがーー
「いいでしょう!ならば、お見せしますが、よいのですね!?」
迷いもなく、公開するほうを選んだことに、マリエンヌは思わず呆然としてしまう。
言葉遣いからして、自分に非がないことに、絶対の自信を持っているのは明らかだった。
(この人、本物の馬鹿なの?本当に侯爵家の子息?反省している演技を見せてたリネアさまのほうが、まだ賢いわよ)
マリエンヌが何も言えなくなっているのを、焦りと捉えたのか、ライオネルは、さらに勝ち誇る。
「どうなのですか?マリエンヌさま」
「……ええ、あなたが望むのなら、わたくしはかまいません」
マリエンヌがそう言うと、今度は逆にライオネルが呆然とする。
まさか、見せないでくださいと懇願するとでも思われたのか。そんなことを言うくらいなら、そもそも公開しますかなんてたずねないというのに。
「……わかりました。では、お見せします!」
ライオネルは、意を決するように、手紙を広げて見せる。
周りの生徒たちは、どうするべきなのかとおろおろしていたが、公爵家の公正な判断をしろという命令には逆らえず、一体何が書かれているのかと、手紙の内容を読み取るためにライオネルに近づいていく。
その中の一人が、おずおずと声をあげた。
(あら、シェリーナさま)
それは、いつもマリエンヌの隣の席で授業を受けている女子生徒のシェリーナだった。
「あの……これって、そんなに怒ることですか?手紙を読む限りでは、ライオネルさまのほうに非があるように見受けられますが……」
「なっ、なんだと!」
ライオネルはシェリーナを睨み付ける。
シェリーナはびくっと体を震わせた。
それに気づいてかいないか、ライオネルは女子生徒を責め立てる。
「私は、リネアとはただ友人として交流していただけに過ぎない!婚約者のいる身で、他の女に邪念を抱くわけないだろう!」
「す、すみません……」
女子生徒は、俯いたまま、何も話さなくなってしまう。
(シェリーナさまのほうが身分が低いのだから、もっと言い方を考えなさいよ)
身分が上の、しかも男性から怒鳴られれば、誰でも萎縮してしまうだろう。
あまり表情はよく見えないが、言わなければよかったと後悔しているのは感じ取れた。
マリエンヌは、今にも殴りかかりそうなライオネルを、周りを巻き込んだ自分のことは、完全に棚にあげて呆れている。
ライオネルの言っていることは、普段なら正論だ。言い返す余地はないように見える。
だが、それは手紙がなければの話だ。手紙を読んだのは、当然ながら、発言したシェリーナだけではない。
先ほどまでライオネルの大声にかき消されていたが、ライオネルの勢いが収まると、そこかしこからこそこそと話す声がする。
ライオネルが騒いでいるのが気になったのか、廊下のほうからもそれは聞こえていた。
その声の主たちは、皆が、ライオネルのほうを向いていた。
ライオネルも、やっとのこと、その視線と声に気づいたようだった。
「なんだ!言いたいことがあるなら堂々と言え!」
こそこそするのは卑怯だと感じるのは、騎士の家系らしいと言えるが、ライオネルの発言は理不尽だ。
そもそも、侯爵家であるライオネルに面と向かって話せる存在など、ほとんどいない。
公爵令嬢であるマリエンヌが、公正に判断してもらうと発言したために、なんとか動いただけのことだ。
たった今、女子生徒に怒鳴り散らしたばかりなのに、同じように正面切って意見を言う者は、よほどの命知らずだ。
できるとするならば、公爵家であるマリエンヌくらいだろう。
「ライオネルさま。そのように威圧されますと、下級貴族は萎縮してしまいますわ。まともに会話な応じることなどできませんよ」
「他人事みたいに……!」
いや、あなたが勝手に周りを巻き込んでいるだけでしょう?こっちは付き合ってあげてるのよ。
危うくその言葉が口から飛び出すところだったが、なんとか堪えられた。
「他人事にしたいですよ。余計に面倒なことになったのですから」
だが、本音が少しばかり漏れてしまった。
それを聞き流してくれるほど、ライオネルも馬鹿ではない。
「面倒だと!?」
こんな手紙を送りつけておきながらよくそんなことが言えるものだ。
きっと、そんな風に思いながら睨み付けている目に、マリエンヌは静かに自分の目を合わせる。
「そもそもこの件は、わたくしとライオネルさまだけで解決ができたと思いますよ。手紙の内容に納得がいかないのであれば、わたくしにお伺いを立ててくだされば、わたくしのほうから出向きましたわ。納得のいくまで話し合いもしましたのに」
こんな騒ぎを起こしてるのは、感情のままに問いただしにきたあなたでしょう?
そう言外に込めてにっこりと笑うと、その意味が理解できたのか、はたまた口に出した言葉だけで腹が立ったのか、悔しそうに唇を噛み締めている。
マリエンヌは、さらに追い討ちをかけていく。
「まぁ、今さら話し合いなどしなくても、あなたに賛同するような方は、この教室には見当たらないようですね」
そう言って笑ってやると、ライオネルは周りを睨み付けるように見回す。
だが、目があった生徒たちは、皆が、一様に目をそらすか、体を震わせるだけだった。
ようやく自分の味方が一人もいないことに気づいたのか、先ほどまでとは別人のように呆然とする。
「わたくしは、リネアさまとの関係を咎めたのではありません。友人と仰るのならば、それ相応の節度を持って接したほうがよいと助言させていただいただけです。わたくしの友人が、婚約者に邪険にされているように思ってしまい、悲しんでおられたので、放っておけませんでした」
とどめとばかりに、悲しそうな顔でマリエンヌがそう言うと、ライオネルに向けられる周囲の視線は厳しくなり、マリエンヌのほうに同情が集まる。
「確かに、リネアさまとライオネルさまの関係は、普通の友人関係のようには見えませんよね……」
「リネアさまなんて、他にも関係を持っている男性がいると聞いていますわよ」
「わたくしの友人も申しておりましたわ。本人は反省する素振りがまったくないと……」
周囲の責める視線と声に、耐えられなくなったのか、ライオネルはそのまま逃げ出してしまった。
(あら、情けない男)
内心はほくそ笑むが、周囲からの評判を崩さないためにも、まだ優しい令嬢の仮面は外さない。
あまりにも本性丸出しで動きすぎると、人の心は簡単に離れていく。
あの優しいマリエンヌでも厳しくするしかなかったと思わせることが重要だ。
「わたくし、友人のためと思っておりましたけど、余計なことをしてしまったのかしら……」
「いえ、そんなことはありません!責任はライオネルさまとリネアさまにありますよ!」
「そうです!むしろ、マリエンヌさまはもっと怒ってもよかったと思いますよ」
「優しいところは、マリエンヌさまの美徳ではありますけどね」
マリエンヌが落ち込む様子を見せたからか、周りからは次々と励ましの言葉が送られる。
少しやりすぎたかと思ったが、無事に友人思いの優しい令嬢という体で乗りきれたようだった。
「ありがとうございます。皆さんにそう言っていただけたので、心が軽くなりました」
これくらい滲み出ても気づかれないのであれば、マリエンヌも動きやすい。
だが、しばらくはリネアたちに手を出すつもりはない。
こんなやり方は、何度も通じるものではない。そろそろ根回しをしておかなければ、勘のいい者には、マリエンヌの本性が気づかれる恐れがある。
(さて、リネアさまも、さすがに動きを変えるかしらね……)
リネアがどう動いてくれるのかと高揚する気分を抑えながら、マリエンヌは、ライオネルに謝罪をすると伝え、教室を出ていった。
授業の合間の休憩時間。マリエンヌが次の授業の準備をしていた時、教室にその怒号が響く。
周りの生徒たちは怯えていたり、何事かと野次馬根性を見せているが、当のマリエンヌは涼しい顔をしている。
「手紙以外の何に見えるのですか?ライオネルさま」
なるべく、優しい令嬢という仮面を外さないように接したつもりだったが、煽り言葉のようになってしまう。
この状況を楽しんでいる自分がいて、感情を隠しきれなかった。
「……そうではなく、内容の話です!」
マリエンヌの言葉に、一瞬だけたじろぐが、さすがは侯爵家嫡男というべきか、すぐに持ち直す。
(アレクシスさまとは大違いね)
アレクシスの場合は、マリエンヌの本性を知っていたからこそのあの反応だったわけだが……マリエンヌに、そんな考えは浮かぶことはなかった。
そんなことに思考を飛ばすよりも、目の前の男を片づけるほうが優先されたためだ。
「内容が、どうかしましたか」
「どうかしましたかではありません!誰の目に触れるかわからない学園内で書く内容ではないでしょう!」
「わたくし、そんなにおかしなことを書いた覚えはないのですけど……。皆さまに、公正に判断していただきますか?」
やれるものならねと、マリエンヌは不敵な笑みを浮かべる。
周りは、突然、諍いに巻き込まれたことに驚きを隠せていないが、マリエンヌは涼しい顔だ。
マリエンヌは、手紙の内容を公開されない自信があった。されたとしても、自分に不利になることはないと。
手紙の内容は、リネアとの関係を改善を促すというもののためだ。
この内容を公開しようものなら、リネアとの関係を周囲に知らしめることになるし、公開しなかったら、何か不都合なことでもあるのかと勘ぐられることになる。
どちらに転んだとしても、マリエンヌの優位は揺るがない。
だが、少しは迷うかと思われたがーー
「いいでしょう!ならば、お見せしますが、よいのですね!?」
迷いもなく、公開するほうを選んだことに、マリエンヌは思わず呆然としてしまう。
言葉遣いからして、自分に非がないことに、絶対の自信を持っているのは明らかだった。
(この人、本物の馬鹿なの?本当に侯爵家の子息?反省している演技を見せてたリネアさまのほうが、まだ賢いわよ)
マリエンヌが何も言えなくなっているのを、焦りと捉えたのか、ライオネルは、さらに勝ち誇る。
「どうなのですか?マリエンヌさま」
「……ええ、あなたが望むのなら、わたくしはかまいません」
マリエンヌがそう言うと、今度は逆にライオネルが呆然とする。
まさか、見せないでくださいと懇願するとでも思われたのか。そんなことを言うくらいなら、そもそも公開しますかなんてたずねないというのに。
「……わかりました。では、お見せします!」
ライオネルは、意を決するように、手紙を広げて見せる。
周りの生徒たちは、どうするべきなのかとおろおろしていたが、公爵家の公正な判断をしろという命令には逆らえず、一体何が書かれているのかと、手紙の内容を読み取るためにライオネルに近づいていく。
その中の一人が、おずおずと声をあげた。
(あら、シェリーナさま)
それは、いつもマリエンヌの隣の席で授業を受けている女子生徒のシェリーナだった。
「あの……これって、そんなに怒ることですか?手紙を読む限りでは、ライオネルさまのほうに非があるように見受けられますが……」
「なっ、なんだと!」
ライオネルはシェリーナを睨み付ける。
シェリーナはびくっと体を震わせた。
それに気づいてかいないか、ライオネルは女子生徒を責め立てる。
「私は、リネアとはただ友人として交流していただけに過ぎない!婚約者のいる身で、他の女に邪念を抱くわけないだろう!」
「す、すみません……」
女子生徒は、俯いたまま、何も話さなくなってしまう。
(シェリーナさまのほうが身分が低いのだから、もっと言い方を考えなさいよ)
身分が上の、しかも男性から怒鳴られれば、誰でも萎縮してしまうだろう。
あまり表情はよく見えないが、言わなければよかったと後悔しているのは感じ取れた。
マリエンヌは、今にも殴りかかりそうなライオネルを、周りを巻き込んだ自分のことは、完全に棚にあげて呆れている。
ライオネルの言っていることは、普段なら正論だ。言い返す余地はないように見える。
だが、それは手紙がなければの話だ。手紙を読んだのは、当然ながら、発言したシェリーナだけではない。
先ほどまでライオネルの大声にかき消されていたが、ライオネルの勢いが収まると、そこかしこからこそこそと話す声がする。
ライオネルが騒いでいるのが気になったのか、廊下のほうからもそれは聞こえていた。
その声の主たちは、皆が、ライオネルのほうを向いていた。
ライオネルも、やっとのこと、その視線と声に気づいたようだった。
「なんだ!言いたいことがあるなら堂々と言え!」
こそこそするのは卑怯だと感じるのは、騎士の家系らしいと言えるが、ライオネルの発言は理不尽だ。
そもそも、侯爵家であるライオネルに面と向かって話せる存在など、ほとんどいない。
公爵令嬢であるマリエンヌが、公正に判断してもらうと発言したために、なんとか動いただけのことだ。
たった今、女子生徒に怒鳴り散らしたばかりなのに、同じように正面切って意見を言う者は、よほどの命知らずだ。
できるとするならば、公爵家であるマリエンヌくらいだろう。
「ライオネルさま。そのように威圧されますと、下級貴族は萎縮してしまいますわ。まともに会話な応じることなどできませんよ」
「他人事みたいに……!」
いや、あなたが勝手に周りを巻き込んでいるだけでしょう?こっちは付き合ってあげてるのよ。
危うくその言葉が口から飛び出すところだったが、なんとか堪えられた。
「他人事にしたいですよ。余計に面倒なことになったのですから」
だが、本音が少しばかり漏れてしまった。
それを聞き流してくれるほど、ライオネルも馬鹿ではない。
「面倒だと!?」
こんな手紙を送りつけておきながらよくそんなことが言えるものだ。
きっと、そんな風に思いながら睨み付けている目に、マリエンヌは静かに自分の目を合わせる。
「そもそもこの件は、わたくしとライオネルさまだけで解決ができたと思いますよ。手紙の内容に納得がいかないのであれば、わたくしにお伺いを立ててくだされば、わたくしのほうから出向きましたわ。納得のいくまで話し合いもしましたのに」
こんな騒ぎを起こしてるのは、感情のままに問いただしにきたあなたでしょう?
そう言外に込めてにっこりと笑うと、その意味が理解できたのか、はたまた口に出した言葉だけで腹が立ったのか、悔しそうに唇を噛み締めている。
マリエンヌは、さらに追い討ちをかけていく。
「まぁ、今さら話し合いなどしなくても、あなたに賛同するような方は、この教室には見当たらないようですね」
そう言って笑ってやると、ライオネルは周りを睨み付けるように見回す。
だが、目があった生徒たちは、皆が、一様に目をそらすか、体を震わせるだけだった。
ようやく自分の味方が一人もいないことに気づいたのか、先ほどまでとは別人のように呆然とする。
「わたくしは、リネアさまとの関係を咎めたのではありません。友人と仰るのならば、それ相応の節度を持って接したほうがよいと助言させていただいただけです。わたくしの友人が、婚約者に邪険にされているように思ってしまい、悲しんでおられたので、放っておけませんでした」
とどめとばかりに、悲しそうな顔でマリエンヌがそう言うと、ライオネルに向けられる周囲の視線は厳しくなり、マリエンヌのほうに同情が集まる。
「確かに、リネアさまとライオネルさまの関係は、普通の友人関係のようには見えませんよね……」
「リネアさまなんて、他にも関係を持っている男性がいると聞いていますわよ」
「わたくしの友人も申しておりましたわ。本人は反省する素振りがまったくないと……」
周囲の責める視線と声に、耐えられなくなったのか、ライオネルはそのまま逃げ出してしまった。
(あら、情けない男)
内心はほくそ笑むが、周囲からの評判を崩さないためにも、まだ優しい令嬢の仮面は外さない。
あまりにも本性丸出しで動きすぎると、人の心は簡単に離れていく。
あの優しいマリエンヌでも厳しくするしかなかったと思わせることが重要だ。
「わたくし、友人のためと思っておりましたけど、余計なことをしてしまったのかしら……」
「いえ、そんなことはありません!責任はライオネルさまとリネアさまにありますよ!」
「そうです!むしろ、マリエンヌさまはもっと怒ってもよかったと思いますよ」
「優しいところは、マリエンヌさまの美徳ではありますけどね」
マリエンヌが落ち込む様子を見せたからか、周りからは次々と励ましの言葉が送られる。
少しやりすぎたかと思ったが、無事に友人思いの優しい令嬢という体で乗りきれたようだった。
「ありがとうございます。皆さんにそう言っていただけたので、心が軽くなりました」
これくらい滲み出ても気づかれないのであれば、マリエンヌも動きやすい。
だが、しばらくはリネアたちに手を出すつもりはない。
こんなやり方は、何度も通じるものではない。そろそろ根回しをしておかなければ、勘のいい者には、マリエンヌの本性が気づかれる恐れがある。
(さて、リネアさまも、さすがに動きを変えるかしらね……)
リネアがどう動いてくれるのかと高揚する気分を抑えながら、マリエンヌは、ライオネルに謝罪をすると伝え、教室を出ていった。
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