転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん

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第二章 ユニークスキル

45. 屋敷に帰還して

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 僕が屋敷に戻ると、屋敷の外で母さんが待っていた。母さんの頭には白い粉状のものがある。それは、この地域ではそろそろ降り始める雪だ。
 僕たちが建物の外に出たときには雪がちらついていた。もしそのときから待っていたのなら、三十分くらいはそこにいたんじゃないだろうか。

「母さん、ただいま!」
「ルイ!」

 僕が母さんのほうに駆け寄ると、母さんは力強く抱き締めてくれる。外はかなり寒いというのに、今はぽかぽかと暖かく感じた。

「レオン見つかったよ!」

 僕が捜索隊の人たちのほうをちらりと見ると、母さんはゆっくりとレオンのほうに近づいていく。

「レオン……レオン……!」

 母さんは、大粒の涙を流していた。捜索隊の人は、レオンを母さんに手渡す。力が抜けたのか、その場にへたりこんでしまったけど、いまだに眠ったままのレオンのことは、強く抱いたままだ。
 母さんを邪魔したくはないけど、これだけは言わなければと、僕も母さんに近づく。

「母さん、レオンは眠らせてるから、白魔法を使って起こさなきゃいけないんだって」
「そ、そうなの……?わかったわ」

 しゃくり声をあげながらも、母さんは涙を拭って立ち上がる。
 さすがに、この場で白魔法を使うわけにはいかなかったのだろう。

 母さんは、僕の手も強く握った。

「戻りましょうか、ルイ」
「うん。父さんにも教えてあげなきゃね!」

 僕がにこりと笑うと、母さんもにこりと微笑み返してきた。

 屋敷の中に戻ると、リーリアさまとディアナさま、父さんが出迎えてくれる。

「ルイ、大丈夫?」

 リーリアさまが駆け寄ってきて、僕を観察するようにキョロキョロとしながら尋ねる。

「はい。ご心配ありがとうございます、リーリアさま」

 僕が安心させるように笑うと、近くでクスリと笑う声が聞こえる。声が聞こえたほうを見ると、ディアナさまが小さな笑みを浮かべていた。

「その様子からすると、探し物は無事に見つかったようね」
「はい。当主さまは調査で残っておりますが、僕たちだけ先に戻らせてもらいました」

 ディアナさまには久しぶりに会ったけど、ずいぶんと大人びている。確か、リーリアさまの三つ上だから、今は九歳か十歳かな?

「ディアナさま、リーリアさま。レオンに白魔法を使わねばならないようですので、お部屋を使わせていただけないでしょうか」

 母さんの言葉にリーリアさまはそわそわとし始めたけど、ディアナさまは笑い顔から澄まし顔へと変わり、母さんと向き合う

「それなら、客室を使わせてあげるわ。メルゼン、案内して」
「かしこまりました」

 ディアナさまもきっと母さんがこんなことを言い出した理由が気になっているだろうに、テキパキと指示を飛ばす姿に当主さまの面影を重ねる。
 いつかは、リーリアさまもこういうことができるようになってくるのかな?
 ちらりとリーリアさまのほうを見ると、リーリアさまは突然のことに困惑しているようだった。

 リーリアさまがディアナさまのようにできるようになるのは、まだまだ先だな。

◇◇◇

 僕たちがメルゼンさんに客室へと案内されると、母さんはレオンをベッドに横にさせる。

「ルイ、離れていなさい」

 母さんの指示通りに僕が離れると、母さんはレオンに手をかざす。

「『スリル ワイム』」

 母さんがコードを唱えると、白くて淡い光がレオンを包む。

 これが白魔法……!

 僕が母さんの白魔法に見惚れていると、母さんは静かに手を引っ込める。

 し、失敗したとかじゃないよね……?

 不安に駆られている僕に気づいた母さんが、安心させるようににこりと微笑むと、それと同時にレオンの瞳がぴくりと動いた。

「レオン!」

 僕が名前を呼んで駆け寄ると、レオンはゆっくりとその目を開ける。

「レオン、大丈夫!?」
「ル、イ……?」

 意識が朦朧としていそうな様子ながら、僕のほうに視線を向けて僕の名前を呼んでくれる。
 それだけで僕の心は満たされる。今にも泣きそうなくらいに。

「母さん、僕は父さん呼んでくるね」
「ええ、お願い」

 レオンに泣き顔を見られないように、僕は最もな理由をつけて部屋を出ていく。後ろから、クスクスと母さんの笑う声が聞こえた。
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