転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん

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第二章 ユニークスキル

44. レオン捜索 4

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 階段をしばらく下ったところで、ようやく平らな地面が見える。思ったよりも階段が長かった。三十段はあったんじゃないかな。
 六歳児にはそこそこ長いのと、もうここに来るまでかなり歩いたのもあって、僕はもうへとへとになっていた。

 でも、レオンを探すために、ここで立ち止まるわけにはいかない。その思いだけが僕の歩みを進める核となった。

「ずいぶんと広いですね」
「元々あったものではないだろう」

 つまり、誰かが何らかの目的を持って作ったわけね。
 それがあの黒いフードの集団なのか、それともその前からあって黒いフードの集団が利用しているだけなのかはわからないけど、人工的に作られたものであることは変わらない。罠がある可能性もあるから、慎重に進まないと。

「当主さま、魔力反応があります」

 突然、ロニーさんが声をあげる。名指しされた当主さまはもちろんのこと、僕もロニーさんに視線を向けた。

「何人いそうだ?」
「四人だと思います。あまり強い反応ではないので、平民だと思いますが」
「方角は?」

 ロニーさんの平民という言葉に、僕は無意識のうちにそう尋ねていた。ロニーさんは虚をつかれたような顔をするものの、質問に答えてくれる。

「右斜め前のほうからだ。おそらく、この通路を行けば右手側に部屋があるのだろう」
「わかりました、行きましょう」

 僕が歩きだそうとすると、「待て」という声と同時にガシッと肩を掴まれる。
 僕はくるりと後ろを振り返った。

「私たちより前に出るな」
「はい、ついていきます」

 置いていくのは絶対に許さんということを伝えると、それでいいとばかりに手をひらひらと振る。
 僕が素直に当主さまの後ろまで下がると、ようやく行軍を再開した。

 そのまま五分くらい歩くと、また穴のようなものが見える。大きさも入口にあったものと同じだ。

「当主さま、ここにまた入口と同じような穴があります」
「ま、魔力反応もこちらのほうから……」
「そうか……」

 当主さまは僕が指差したところをじっと見るが、多分穴の場所はわかっていない。
 当主さまは僕に視線を向けて言う。

「中に入って確かめてくれ」
「はい!」

 僕が意気揚々と中に入ろうとすると、背後から「確認するだけだからな」と念押しする声が聞こえた。
 言われなくてもそうしますよ……多分。
 僕は穴をくぐって中に入る。暗くてよく見えないので、僕は赤魔法を唱える。

「『ワール レドム』」

 僕がコードを唱え終わると、ぼおっと炎が燃え上がる。父さんいわく、本来ならろうそくくらいの小さな火らしいんだけど、『魔力強化』がある僕はガスバーナーくらいに激しく燃える。
 まぁ、灯りとしては使えるよね、うん。気にしないでおこう。

 僕は壁づたいに歩きながら部屋の大きさを確認する。右手を壁にくっつけておけば、入口がわからなくなることはない。
 壁づたいに歩いた感じでは、部屋の広さはそこまでではない。六畳くらいかな?
 しばらく歩くと、土の壁とは違う感触を感じて足を止める。土の壁よりも冷たくて、無機質な感じだ。

 僕がそちらのほうに視線を向けると、黒い棒のようなものがある。僕が触れていたところだけでなく、一面に広がっているように見えて、棒の奥には空間があるようだった。それは、前世ではゲームでたびたび見たもの。

(鉄格子……?)

 中の様子が見られないかと僕は格子の隙間から手を入れて、赤魔法で照らす。
 でも、そこそこの広さがあるのか、あまり奥は見えない。これでは中が空なのか奥のほうにいるだけなのかわからない。
『スリル』のコードを使えばもう少し火を大きくできるんだけど、『魔力強化』のスキルを持っている僕は少しどころじゃないレベルで火が強くなりそうだからなぁ……

 当主さまに判断を仰いだほうがいいかと思い始めたとき、何か黒い影のようなものが見えた。
 僕が精一杯腕を伸ばすと、それが人の形をしていることに気づく。でも、暗いせいで顔は見えない。

 とりあえず、当主さまのとこに行くか。僕は踵を返し、入り口のほうに戻る。どの位置にあるかわからないので、先ほど通ってきた道を辿るようにした。
 見逃さないように慎重に歩いていたので、行きよりも時間がかかったと思うけど、どうにか穴の位置までたどり着き、穴をくぐった。
 穴をくぐった先には当主さまが待機しており、僕の顔を見るなり状況を尋ねてくる。

「どうだった?」
「鉄格子らしきものがありました。中に人らしき影も」
「わかった。入ってみよう」

 罠や見張りらしきものはないと判断したのか、当主さまを先頭に穴に潜っていく。
 僕は当主さまが通れるように穴を引き返して、再び部屋の中に入った。

 当主さまについてくるようにして捜索隊も入ってくると、当主さまは火球を生み出した。

「わっ!」

 急に火球が現れたことに僕は目を見開くも、当主さまが『詠唱破棄』のスキルを持っていたことを思い出して、すぐに納得した。
 今まで突然現れることなんてなかったからね、仕方ない仕方ない。

 でも、熱さを感じてもおかしくない距離なのに熱さを感じないのはなんでだろう?当主さまが気を遣ったのかな?

 当主さまは僕の驚きなど意にも介さずに奥に足を進めていく。
 僕も少し駆け足で当主さまの後を追うと、先ほどの鉄格子がすぐに姿を現した。今は光源が大きいのもあり、奥のほうまでしっかりと見える。

 そこには、僕が探し求めていた存在もいた。

「レオン!」

 僕はその者の名を呼ぶ。鉄格子の中には、静かに横たわっているレオンの姿があった。
 他にも人がいたけど、僕にはレオンしか目に入らない。

「ここで待っていなさい」

 いやだ、と言いたかったけど、僕がついていったところで足手まといにしかならないのは僕が一番わかっている。
 自分の無力さを痛感しながらも、僕がその場で待機していると、当主さまは捜索隊にテキパキと指示を飛ばし出した。

 レオンを心配する気持ちが強くて、その内容はあまり聞いていなかったけど、捜索隊の一人があっという間に牢屋の鍵を破り、中の人を運び出していく。
 その中で、僕はレオンのほうに駆け寄った。

「レオンは……!」
「眠らされているだけだ。白魔法を使えばすぐによくなるだろう」
「わかりました」

 僕は、体の力が急激に抜けていくのを感じた。他に助けられた人のことが気にならなくなるくらいには、レオンの無事に安心した。

「ここの調査は私たちが行う。ルイはレオンと一緒に戻りなさい」
「はい、当主さま」

 気を遣ってくれたであろう当主さまに感謝しながら、僕は捜索隊とともに屋敷に帰還した。
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