転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん

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第二章 ユニークスキル

41. レオン捜索 1

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 当主さまと僕とロナードさんはすでに待機していた捜索隊と合流する。
 ざっと数えただけでも二十人はいそうだ。
 いくらお抱えの針子の家族の危機の可能性があるとはいえ、平民を探すのにこんなに人手を割いてもいいのかと思わなくもないけど、今はありがたい。

「レオンのいる場所に心当たりは?」
「候補はいくつかある」
「では、僕は人数が多いところに行きます」

 行動する際は必ず捜索隊の者を二人以上連れることと約束しているので、なるべく人数が多いところに僕はくっついていくべきだろう。
 たとえ僕のお守りに二人の人員が割かれても問題のないように。

「いや、君は私と一緒に来てもらう」
「……わかりました」

 虚をつかれたものの、当主さまがそうおっしゃるのであれば、ヴァレンの民としては従わざるを得ない。

「理由を聞かないのか」
「当主さまがそう判断なさるだけの理由があるのでしょうから」

 『大英断』であろうと当主さま自身の判断であろうと、大した理由もなしに僕の同行を命じてくるはずがない。
 これでも三年間リーリアさまの話し相手として屋敷に通い、当主さまと交流してきているのだ。当主さまの性格などはある程度把握している。

「……本当に彼は六歳児ですか?」
「生まれてから六年しか経っていない」

 疑惑の目を向けてくるロナードさんに、僕はこどもらしい無邪気な笑顔で微笑んで見せた。

◇◇◇

 当主さまがいるということで、僕たちのチームは振り分けられた人数が多い。他は三人か四人だというのに、こちらは十人もいるのだ。
 結果的に大人数のところと一緒になった。ちなみにロナードさんも一緒だ。

「どこに向かうんですか?」
「貧民街だ。そこで子どもが黒いフードの集団と行動を共にしているのを何人か目撃しているそうだからな」

 僕は当主さまの言葉に違和感を覚える。その言い方では、子どもが自分の意志でその黒いフードの集団と行動しているような言い方なのだ。
 貧民街のことはよく知らないけど、少なくともレオンは見ず知らずの人間と行動を共にすることはないはず。

 だからこそ、可能性があるなら連れ去られたというものなんだけど、そうではないというのだろうか。

「当主さまは貧民街に何を?」
「継続的な支援は続けているが、それに留まっている。特産品がないこの領地は、余裕があるわけではないからな」

 たしかに、この領地の特産品とかの話は聞かないな。この街は北海道や東北に近い暮らしだから、工芸品とか作れば売れそうな気がするけど、そんな簡単な話でもないのだろう。
 僕が思いつくような対策など、この領主さまはとっくに思いついてるだろうしね。

「では、お金目当ての可能性がありますね」
「孤児も多いからな」

 孤児もいるのか。まぁ、医療もインフラも整っていないこの街じゃ、孤児は日本よりも溢れかえっていそうだけど。

「あの建物だ」

 話しているうちに目的の場所に着いてしまったらしく、当主さまが指差している。
 見張りはいないように見えるけど、本当にここなんだろうか。

「ルイと私はここで待機するから、タークスとロニーは残れ。ロナードを筆頭に探ってこい」

 当主さまの指示に従い捜索隊はテキパキと動き出す。
 ここで待機かぁ……

「僕も行ったらダメですか?」
「もぬけの殻と決まったわけではないからな」

 つまりは、誰かが隠れていたり罠がある可能性もあるからってことね。理屈はわかるし、当主としての判断はこれが正しいことはわかっている。
 そもそも足手まといになりかねない僕のような子どもは、屋敷で待機しているべきなのだ。
 そんな僕がこれ以上わがままを言うわけにはいかないことは頭ではわかってる。でも、何もしないことにもどかしさを感じてたまらない。

「……二人以上いればいいんですよね」
「行かせんぞ」

 さすがは当主さま。僕の遠回しの言葉に瞬時に気づかれた。兵士たちしかいなかったら絶対に騙されてくれたのに。

「できうる限り私とともに行動してもらうからな」
「子どもに枷をつけるものじゃないですよ」
「そういえば、君はまだ子どもだったな」
「ええ。生まれてからまだ六年なので、成人してませんから」

 僕たちの会話に側に残っている兵士たちはおかしなものでも見るような目で僕を見る。
 まぁ、こんな受け答えする六歳児なんて見たことないだろうから無理もない。
 でも、僕はレオンのために子どもの皮は破り捨てたのだ。無邪気にし続ける必要などない。

「当主さま、建物や入り口周辺に罠は見当たりません。入られますか」
「そうだな……この子狼も待てができなくなってきているようだから、入るとしよう」
「子狼じゃなくて子犬ですよ」

 当主さまの言葉を訂正しつつ、僕は当主さまの手を引く。

「ほら、行きましょう。ご主人さま?」
「私が悪かったからやめてくれ……」

 頭を抱える当主さまの手をパッと離し、僕はすたこらと建物のほうに向かう。その後を、当主さまとロナードさんが追ってきていた。
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