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第二章 ユニークスキル
24. 少年式 3
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名前を呼ばれたので、ひとまず立ち上がって神官の元に向かう。
まさか、間髪入れずに僕の番になるとは思わなかった。数分の休憩くらいは挟むかと思ってたから、そのときにマナーの復習をしておこうと思ったのに。
まぁ、僕が平民というのはこの場にいる全員が知っているだろうし、最低限のマナーさえ守っていれば問題ないとは思うけど。
数段の階段を登り、神官の前に立つ。
「ルイさま。こちらにお手を」
神官は、台の上にある円形の鏡を示す……けど、なぜか二つある。右側にあるほうが大きくて装飾も施されているけど、ただそれだけ。大した違いがあるようには思えない。
「あの……どっちに?」
「両方お願いいたします」
両方?これらが、貴族用の検査道具なんだろうか?リーリアさまの様子を見る限りじゃ、一つしかないように思えたけど……まぁ、いいか。
僕は鏡にそれぞれ手をかざす。でも何の反応もなかったので、ちょんと触れてみた。
すると、ガクンと一気に何かが抜けていく感覚があった。あまりにもどっと力が抜けてしまったので、僕はバランスを崩してしまう。でも、台を支えにして、どうにか立っていられた。
一体なんだったのかとその鏡を見ると、鏡はまばゆいほどの赤い閃光を放っていた。その光は、先ほどのリーリアさまよりも強く感じる。
「ルイさまの魔力は七等級、赤魔法にのみ適性があります」
さっきの光がリーリアさまよりも強く感じたのを考えると、等級の数字が大きいほど魔力が多いのかもしれない。
最高がどれくらいかわからないけど、平民にしては多いと言われて、リーリアさまが六等級なら、十等級が最高値かな?
「スキルは『魔力強化』『複製』ーー」
あらかじめおじいさんから聞いていたスキルが読み上げられていく。
うん、これで後は『複合』だけーー
「『愛嬌』『話術』になります」
スキルが増えてるんですけど!?『愛嬌』と『話術』ってなんですか!?いや、どっちも心当たりはあるけど!
というか『複合』は?『複合』はどこに消えたの?
「加えて、ユニークスキルに『複合』がございます」
ユニークスキルってなに……?もう驚きすぎて、思考が全然追いついてこない。
「こちらがルイさまのカードとなります」
スキルの衝撃がすごくて、神官に渡されたカードは無心で受けとる。でも、違和感に気づいてカードのほうに意識を向けた。
なぜか、カードが二枚あるのだ。色はどちらも赤色で、違いといえば、大きさと装飾の有無。小さいほうがクレジットカードくらいだとすれば、大きいほうはスマホくらいのサイズで、大きいほうに細やかな装飾が彫られている。
リーリアさまの儀式を見た感じでは、カードは一枚しか渡されていなかったように見えたのに、なぜ二枚?
「これ、どっちか違いませんか?」
「いえ、間違っておりません。どちらもルイさまのものです。黒のカードは平民用のもので、ルイさまが日常的に使うものです。銀のものは貴族用で、ルイさまが使うことはほとんどありません」
「じゃあ、黒だけでいいじゃないですか」
使わないカードをもらっても、持て余すだけだ。それなら、必要な黒いほうだけもらいたい。
「こちらは、領主さまの希望によりご用意させていただきました。スキルの詳細を表示することが可能となっております」
あっ、そういうこと。どうやって詳細を知るんだろうと思っていたけど、このカードで知ることができるのか。
「どうやってやるんですか?」
「先ほどのように、そのカードに触れて魔力を込めていただくだけです」
言われた通りに、カードに触れて念じてみる。すると、先ほどのように何かが抜けていくような感覚があった。でも、倒れるほどではない。
それと同時に、カードに何かが浮かび上がっていく。それは、文字のようだった。
**********
ルイ
魔法適性:赤
魔力強度:七
スキル
『魔力強化』:常時、魔力を強化状態にする。少ない魔力での魔法やスキルの行使が可能となる。
『複製』:生き物以外を魔力によって作り出す。詳細を知るほど少ない魔力での複製が可能であるが、時間が経つと消えてしまう。条件を満たせば【完全複製】が可能。【完全複製】は必ず所有魔力を半分消費する。
『愛嬌』:相手の気分を高揚させ、魅了する。本人の技量や魅力に依存する。
『話術』:言葉で相手を操る。本人の技量や魅力に依存する。
ユニークスキル
『複合』:生き物以外の複数の素材を魔力によって組み合わせる。元の素材の利用が可能。(ユニークスキルのため、ルイにのみ行使が可能)
**********
このような文面が、カードに浮かんだ。ちゃっかり、ユニークスキルの説明もあった。
どうやら、ユニークスキルは特定の人物しか使うことのできないスキルらしい。つまりは、他の四つのスキルは、他に持っている人がいてもおかしくないということだろう。
『愛嬌』と『話術』も予想通りの効果だけど、本人の力量に左右されるスキルのようだ。スキル任せなんて都合よくはいかないらしい。
母さんの『裁縫』も頭の中に模様を思い浮かべる必要があるし、一度縫ったことのある模様しかできないと言っていたから、スキルにもいろいろと制限があるのだろう。
そして、このカードのお陰で『複製』のこともわかった。僕は以前、リタちゃんのスキル『疾走』を複製したことがある。
でも、時間が経ったら『疾走』が使えなくなっていたのだ。その頃は、スキルの特性を知らなかったので、そんなものかと気にも止めていなかったけど、これのお陰でわかった。
どうやら、僕は不完全な形で『複製』をしてしまったらしい。不完全な形となったのは、僕が『疾走』について、レオンから聞いた大雑把な情報しかなかったのと、【完全複製】を使っていなかったからだろう。
そのため、時間が経ってスキルの効果が消えてしまったのだと考えられる。
【完全複製】をやったら無期限で複製したままにできるのかもしれないけど、魔力を半分消費してしまうなら、気軽に試すことはできない。
逆に、『複合』はそんなに魔力を使うことはないみたいだ。スキルの詳細も知れたし、今度試してみようかな?
「では、選定の儀はこれにて終了いたします」
ようやく終わったかと僕が出ていこうと振り向くと、リーリアさまが立ち上がってこちらに向かってくる。
えっ、どうしたの?
「リーリアさま、どうしたのですか?」
「どうしたのって……この後は魔法のお勉強があるでしょ?ほら、行こう」
えっ!?魔法の勉強すらぶっ続け!?ちょ、ちょっと休憩しましょうよ~!
まさか、間髪入れずに僕の番になるとは思わなかった。数分の休憩くらいは挟むかと思ってたから、そのときにマナーの復習をしておこうと思ったのに。
まぁ、僕が平民というのはこの場にいる全員が知っているだろうし、最低限のマナーさえ守っていれば問題ないとは思うけど。
数段の階段を登り、神官の前に立つ。
「ルイさま。こちらにお手を」
神官は、台の上にある円形の鏡を示す……けど、なぜか二つある。右側にあるほうが大きくて装飾も施されているけど、ただそれだけ。大した違いがあるようには思えない。
「あの……どっちに?」
「両方お願いいたします」
両方?これらが、貴族用の検査道具なんだろうか?リーリアさまの様子を見る限りじゃ、一つしかないように思えたけど……まぁ、いいか。
僕は鏡にそれぞれ手をかざす。でも何の反応もなかったので、ちょんと触れてみた。
すると、ガクンと一気に何かが抜けていく感覚があった。あまりにもどっと力が抜けてしまったので、僕はバランスを崩してしまう。でも、台を支えにして、どうにか立っていられた。
一体なんだったのかとその鏡を見ると、鏡はまばゆいほどの赤い閃光を放っていた。その光は、先ほどのリーリアさまよりも強く感じる。
「ルイさまの魔力は七等級、赤魔法にのみ適性があります」
さっきの光がリーリアさまよりも強く感じたのを考えると、等級の数字が大きいほど魔力が多いのかもしれない。
最高がどれくらいかわからないけど、平民にしては多いと言われて、リーリアさまが六等級なら、十等級が最高値かな?
「スキルは『魔力強化』『複製』ーー」
あらかじめおじいさんから聞いていたスキルが読み上げられていく。
うん、これで後は『複合』だけーー
「『愛嬌』『話術』になります」
スキルが増えてるんですけど!?『愛嬌』と『話術』ってなんですか!?いや、どっちも心当たりはあるけど!
というか『複合』は?『複合』はどこに消えたの?
「加えて、ユニークスキルに『複合』がございます」
ユニークスキルってなに……?もう驚きすぎて、思考が全然追いついてこない。
「こちらがルイさまのカードとなります」
スキルの衝撃がすごくて、神官に渡されたカードは無心で受けとる。でも、違和感に気づいてカードのほうに意識を向けた。
なぜか、カードが二枚あるのだ。色はどちらも赤色で、違いといえば、大きさと装飾の有無。小さいほうがクレジットカードくらいだとすれば、大きいほうはスマホくらいのサイズで、大きいほうに細やかな装飾が彫られている。
リーリアさまの儀式を見た感じでは、カードは一枚しか渡されていなかったように見えたのに、なぜ二枚?
「これ、どっちか違いませんか?」
「いえ、間違っておりません。どちらもルイさまのものです。黒のカードは平民用のもので、ルイさまが日常的に使うものです。銀のものは貴族用で、ルイさまが使うことはほとんどありません」
「じゃあ、黒だけでいいじゃないですか」
使わないカードをもらっても、持て余すだけだ。それなら、必要な黒いほうだけもらいたい。
「こちらは、領主さまの希望によりご用意させていただきました。スキルの詳細を表示することが可能となっております」
あっ、そういうこと。どうやって詳細を知るんだろうと思っていたけど、このカードで知ることができるのか。
「どうやってやるんですか?」
「先ほどのように、そのカードに触れて魔力を込めていただくだけです」
言われた通りに、カードに触れて念じてみる。すると、先ほどのように何かが抜けていくような感覚があった。でも、倒れるほどではない。
それと同時に、カードに何かが浮かび上がっていく。それは、文字のようだった。
**********
ルイ
魔法適性:赤
魔力強度:七
スキル
『魔力強化』:常時、魔力を強化状態にする。少ない魔力での魔法やスキルの行使が可能となる。
『複製』:生き物以外を魔力によって作り出す。詳細を知るほど少ない魔力での複製が可能であるが、時間が経つと消えてしまう。条件を満たせば【完全複製】が可能。【完全複製】は必ず所有魔力を半分消費する。
『愛嬌』:相手の気分を高揚させ、魅了する。本人の技量や魅力に依存する。
『話術』:言葉で相手を操る。本人の技量や魅力に依存する。
ユニークスキル
『複合』:生き物以外の複数の素材を魔力によって組み合わせる。元の素材の利用が可能。(ユニークスキルのため、ルイにのみ行使が可能)
**********
このような文面が、カードに浮かんだ。ちゃっかり、ユニークスキルの説明もあった。
どうやら、ユニークスキルは特定の人物しか使うことのできないスキルらしい。つまりは、他の四つのスキルは、他に持っている人がいてもおかしくないということだろう。
『愛嬌』と『話術』も予想通りの効果だけど、本人の力量に左右されるスキルのようだ。スキル任せなんて都合よくはいかないらしい。
母さんの『裁縫』も頭の中に模様を思い浮かべる必要があるし、一度縫ったことのある模様しかできないと言っていたから、スキルにもいろいろと制限があるのだろう。
そして、このカードのお陰で『複製』のこともわかった。僕は以前、リタちゃんのスキル『疾走』を複製したことがある。
でも、時間が経ったら『疾走』が使えなくなっていたのだ。その頃は、スキルの特性を知らなかったので、そんなものかと気にも止めていなかったけど、これのお陰でわかった。
どうやら、僕は不完全な形で『複製』をしてしまったらしい。不完全な形となったのは、僕が『疾走』について、レオンから聞いた大雑把な情報しかなかったのと、【完全複製】を使っていなかったからだろう。
そのため、時間が経ってスキルの効果が消えてしまったのだと考えられる。
【完全複製】をやったら無期限で複製したままにできるのかもしれないけど、魔力を半分消費してしまうなら、気軽に試すことはできない。
逆に、『複合』はそんなに魔力を使うことはないみたいだ。スキルの詳細も知れたし、今度試してみようかな?
「では、選定の儀はこれにて終了いたします」
ようやく終わったかと僕が出ていこうと振り向くと、リーリアさまが立ち上がってこちらに向かってくる。
えっ、どうしたの?
「リーリアさま、どうしたのですか?」
「どうしたのって……この後は魔法のお勉強があるでしょ?ほら、行こう」
えっ!?魔法の勉強すらぶっ続け!?ちょ、ちょっと休憩しましょうよ~!
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