転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん

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第一章 優しい家族

10. お店の開店準備

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 フェラグの翌日、僕は部屋遊びをしていた。母さんから大説教を喰らい、外遊びを禁止させられてしまったためである。
 レオンが、僕が転んで顔に土がついてしまった理由を事細かに説明したので、母さんにスキルを使ったことがバレてしまったのだ。

 三歳児がどうやってスキルを使ったのかとか言及されることはなかったけど、多分怪しまれてるんだろうなぁ……
 いや、まさか一発で成功してあんな風になるとは思わなかったんだよ。ほんの軽い気持ちでやらかしてしまったのだ。
 今回は倒れずに済んだけど、あんなに気軽に使えてしまうなら、なおさら気をつけないといけないな。

「ルイ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「はひ!?」

 母さんが入ってきて、僕は体をびくりと震わせる。
 な、何を聞かれるんだ……?

「どうやってスキルを使ったのかしら?」

 やっぱりそれですよねー!わかってましたよ。

「あのね、つかまりたくなくてがんばったの!」

 何もわからない子どもを演じてみる。この言い訳はレオンたちにも使ったから、たとえ聞いていたとしても大丈夫なはず。

「スキルは、常時発動以外は使おうと思わないと使えないはずよ?」
「かーさんがやってたもん」

 見よう見まねということでごまかされてはくれないだろうか。
 この際、僕が普通の子どもだと思われないことはいい。でも、転生者としてではなく、天才と思われるほうがまだましだと思う。
 見て真似すること自体は、普通の子どもでもやることだと思うし。

「……そう。でも、もうやったらダメよ?」
「はーい」

 どうやら、とりあえずは納得してくれたらしい。よかったよかった。
 これからは、今まで以上に気をつけないと。

◇◇◇

 その三日後、僕は父さんが経営している食堂へとやってきた。
 部屋にいるのが暇すぎて、「とーさんと一緒にいた~い」と甘えたら、父さんは二つ返事で了承してくれたのだ。
 でも母さんが、火を使ったりもするのにいきなり連れていくのは危険すぎるとして、準備期間を設けていたのだ。
 準備といっても、側に椅子を置いておくだけで、ここに座ってなさいというものである。

 じっとしてるのは性に合わないけど、一人寂しく部屋遊びをするよりは遥かにましだし。

 そこで僕は、今日は少し早起きをして、両親が準備している横で椅子に座りながら水を飲んでいるのである。

 座りながらだと視線が低いので、少し見にくいけど、今は食材を切っているところみたいだ。調理は頼まれてからやるんだろうけど、できる下準備は終わらせておくつもりらしい。
 お肉も塩をかけて臭み取りしている。料理屋をやっているだけはあって、ある程度の調理の知識はあるみたいだ。

「かーさん。ルイ、いらないやつたべた~い」

 料理屋を営んでいるのなら当然、まかないがあるはず。今日のお昼ごはんはそれがいい。

「じゃあ、お昼はこのお肉の切れ端でも食べる?」
「たべるー!」

 おお、切れ端とな。こういうのが案外美味しかったりするんだよね。
 母さんも食材を捨てずに済むから一石二鳥。

「ルイ、この野菜も食うか~?」
「……うん」

 僕は、誰が見てもわかるほどにテンションが下がる。この体が子どもだからか、僕はどうも野菜が苦手だ。
 この世界には、地球と似たような野菜がたくさんあるけど、そのほとんどを受け付けない。味はほとんど同じなのに、ものすごくまずく感じてしまう。
 子ども舌は恐ろしい。

「野菜もちゃんと食えよ」
「わかってるもん!」

 詳しい経済事情は知らないけど、今の暮らしは決して裕福というわけではない。母さんが領主のお嬢さまお抱えの針子のお陰で他の家よりは裕福だけど、それだけ。
 フルーツとかは贅沢品だから滅多に買ってもらえないし、ご飯を残すなど言語道断。母さんたちも、僕が食べ終わるまでずっと監視してくるので、もそもそと食べているのだ。
 お陰で、食わず嫌いは今のところ存在していない。

(でも、まずいものはまずいんだよ~)

 どうにか、野菜を美味しく食べることはできないだろうか。前世のでは嫌いなものは残すか、どうしても食べないといけないときは他の食べ物と一緒に食べたりしてたけど、うーん……あっ、そうだ!

「かーさん。やってみたいことあるから、あとでいっしょにやろー」
「いいけど……お仕事終わってからね」
「はーい」

 始まってもないのに、早く仕事が終わらないかと待ち焦がれながら、準備は進み、お店は営業を開始した。
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