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18. 代官邸
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お知らせとして乗せたままにしていたのですが、やっぱり引っかかったので、急遽短編を削除しました。なので、少し話の内容が変わるかもしれません。(大筋は変わりませんが)
一応、警告メールにも削除したことを返信しておきます。一時期、非公開になってすみません。
ーーーーーーーーーーーーーー
作業場の見学が終わり、一通り街は見終わったので、わたくしたちは代官邸へと向かうことになりました。
代官邸と作業場はそこまで離れてはいないらしく、五分程度で到着しました。
(領主邸とはだいぶ趣が違いますわね……)
領主邸は、きらびやかに飾り立てており、尊厳を全面に押し出しておりましたが、代官邸は、それなりの広さはあるものの、デザイン自体はありふれたもので、謙虚さを感じられます。
代官は、あくまでも領主の代わりに過ぎないということでしょうか?
周囲を確認しつつ、わたくしたちが建物の中へと入ると、一人の男性が出迎えます。
周りに立っている統一感のある服を着ているのが使用人だとすると、唯一高級な生地を身に纏っているこの男性が代官なのでしょう。
「ようこそおいでくださいました」
「ああ。少しの間世話になる。今日は息子たちも一緒でな」
養父さまに手で促されて、わたくしたちは少し前に出ます。
「エリスは初対面だろう。ルミニエの代官のロバートだ。ロバート、この子は先日に私の養女となったエリスだ」
お互いに紹介された後、わたくしたちは視線を合わせます。
先に頭を下げたのは、ロバート。
「初めまして、エリスお嬢さま。ロバート・クロークと申します」
「エリス・ルミナーラと申します。よろしくお願いしますね、ロバート」
わたくしは、軽く会釈する程度で済ませておきました。こちらのほうが身分が高いことを示すためです。
ライル王国と同じように、帝国でも通常は、初対面の相手と挨拶を交わすときは、身分が下の者から挨拶します。相手を紹介するときも同様で、身分が低い者から紹介します。
そのために、養父さまはロバートを先に紹介したわけです。
そして、身分が低い者は、相手よりも長く頭を下げることが求められます。そのため、身分が高いほうは、礼を短くする必要があるのです。
わたくしは養子ですので、実子のルークよりは立場が低い傾向にあります。そして、養子だからという理由で見下すような人間は、一定数存在するのも確かなので、わたくしは自分の存在を示す必要があるのです。
彼は、わたくしにもだいぶへりくだっているので、露骨すぎる必要はなさそうですが。
「エリス、ルーク。私はロバートから近況を聞いているから、二人は部屋で休んでいなさい。明日は少し早くに出発するからな」
「「はい」」
どうやら、本日は代官邸に泊まり、翌日にここを出るようですわね。
「では、お二人を手の空いている者に案内させましょう」
ロバートは、近くで待機している使用人に声をかけて、わたくしたちを案内するように伝えます。
わたくしには一人の侍女が、ルークには執事が案内につくこととなりました。
わたくしは、案内の道中で、内装を観察していると、その内部が領主邸と酷似していることに気づきます。
代官邸も、外観は粗末なものでしたが、内装にはそれなりに手間をかけているようです。特産品を購入することで、経済を回しているのかもしれませんわね。
わたくしも、もう少し購入しておくべきだったでしょうか。
「お嬢さまのお部屋は、こちらになります」
そう言って、侍女が開けてくれたドアを通ると、そこはきらびやかな空間が広がっていました。
ふんだんにレースを使って飾り立てたベッドや、金や銀で作られた装飾品の数々。
その装飾品が、レースカーテンを通して部屋へと入ってきた陽光に照らされ、一層眩しく輝いています。
この空間で、休まる気がしないのですけど……。部屋を用意してくれたロバートには申し訳ありませんが、少し装飾品を減らしたほうがよさそうですわね。
でも、部屋に入って早々に文句をつけると、間違いなくわたくしの印象は悪くなるでしょうし、養父さまかルークが一緒にいる場で、それとなく話しておくことにしましょう。
「晩餐の時間にお呼びしますので、ごゆっくりおくつろぎください」
「ええ」
晩餐の時間!
おそらく、ロバートもその場にいるでしょうし、養父さまやルークも同席しているでしょうから、そのときに話に出してみましょう。
晩餐の時間まで暇なことですし、領地についての勉強でもしましょうか。
「あなた、領地についての資料はあるかしら?」
「はい、ございますよ。ご覧になりますか?」
「ええ、お願い」
「かしこまりました」
侍女は頭を下げて部屋から出ていきました。
さて、久々の勉強を頑張るとしましょうか。
一応、警告メールにも削除したことを返信しておきます。一時期、非公開になってすみません。
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作業場の見学が終わり、一通り街は見終わったので、わたくしたちは代官邸へと向かうことになりました。
代官邸と作業場はそこまで離れてはいないらしく、五分程度で到着しました。
(領主邸とはだいぶ趣が違いますわね……)
領主邸は、きらびやかに飾り立てており、尊厳を全面に押し出しておりましたが、代官邸は、それなりの広さはあるものの、デザイン自体はありふれたもので、謙虚さを感じられます。
代官は、あくまでも領主の代わりに過ぎないということでしょうか?
周囲を確認しつつ、わたくしたちが建物の中へと入ると、一人の男性が出迎えます。
周りに立っている統一感のある服を着ているのが使用人だとすると、唯一高級な生地を身に纏っているこの男性が代官なのでしょう。
「ようこそおいでくださいました」
「ああ。少しの間世話になる。今日は息子たちも一緒でな」
養父さまに手で促されて、わたくしたちは少し前に出ます。
「エリスは初対面だろう。ルミニエの代官のロバートだ。ロバート、この子は先日に私の養女となったエリスだ」
お互いに紹介された後、わたくしたちは視線を合わせます。
先に頭を下げたのは、ロバート。
「初めまして、エリスお嬢さま。ロバート・クロークと申します」
「エリス・ルミナーラと申します。よろしくお願いしますね、ロバート」
わたくしは、軽く会釈する程度で済ませておきました。こちらのほうが身分が高いことを示すためです。
ライル王国と同じように、帝国でも通常は、初対面の相手と挨拶を交わすときは、身分が下の者から挨拶します。相手を紹介するときも同様で、身分が低い者から紹介します。
そのために、養父さまはロバートを先に紹介したわけです。
そして、身分が低い者は、相手よりも長く頭を下げることが求められます。そのため、身分が高いほうは、礼を短くする必要があるのです。
わたくしは養子ですので、実子のルークよりは立場が低い傾向にあります。そして、養子だからという理由で見下すような人間は、一定数存在するのも確かなので、わたくしは自分の存在を示す必要があるのです。
彼は、わたくしにもだいぶへりくだっているので、露骨すぎる必要はなさそうですが。
「エリス、ルーク。私はロバートから近況を聞いているから、二人は部屋で休んでいなさい。明日は少し早くに出発するからな」
「「はい」」
どうやら、本日は代官邸に泊まり、翌日にここを出るようですわね。
「では、お二人を手の空いている者に案内させましょう」
ロバートは、近くで待機している使用人に声をかけて、わたくしたちを案内するように伝えます。
わたくしには一人の侍女が、ルークには執事が案内につくこととなりました。
わたくしは、案内の道中で、内装を観察していると、その内部が領主邸と酷似していることに気づきます。
代官邸も、外観は粗末なものでしたが、内装にはそれなりに手間をかけているようです。特産品を購入することで、経済を回しているのかもしれませんわね。
わたくしも、もう少し購入しておくべきだったでしょうか。
「お嬢さまのお部屋は、こちらになります」
そう言って、侍女が開けてくれたドアを通ると、そこはきらびやかな空間が広がっていました。
ふんだんにレースを使って飾り立てたベッドや、金や銀で作られた装飾品の数々。
その装飾品が、レースカーテンを通して部屋へと入ってきた陽光に照らされ、一層眩しく輝いています。
この空間で、休まる気がしないのですけど……。部屋を用意してくれたロバートには申し訳ありませんが、少し装飾品を減らしたほうがよさそうですわね。
でも、部屋に入って早々に文句をつけると、間違いなくわたくしの印象は悪くなるでしょうし、養父さまかルークが一緒にいる場で、それとなく話しておくことにしましょう。
「晩餐の時間にお呼びしますので、ごゆっくりおくつろぎください」
「ええ」
晩餐の時間!
おそらく、ロバートもその場にいるでしょうし、養父さまやルークも同席しているでしょうから、そのときに話に出してみましょう。
晩餐の時間まで暇なことですし、領地についての勉強でもしましょうか。
「あなた、領地についての資料はあるかしら?」
「はい、ございますよ。ご覧になりますか?」
「ええ、お願い」
「かしこまりました」
侍女は頭を下げて部屋から出ていきました。
さて、久々の勉強を頑張るとしましょうか。
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