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9. 義弟との初対面
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他作品との区別のため、義弟の名前をカイン→ルークに変更します。
ーーーーーーーーーーー
本日は、公爵家の跡継ぎである、わたくしの義弟との初対面となります。
初日のうちに、学園から帰ったら挨拶をするはずだったのですが、わたくしが疲れて早々に眠ってしまい、翌日以降もいろいろと忙しくしていたのと、なぜか本人がわたくしに会いたがらなかったそうです。
それを、養父母の説得でやっと会ってくれることになったのだとか。
なぜわたくしのことがそんなに気に入らないのかわかりませんが、第一印象は大切にしておきましょう。
初の顔合わせは、養父さまの執務室で行われることとなりました。
「エリス。息子のルークだ」
そう紹介された青年は、わたくしよりも少々低く見える程度で、背丈はあまりわたくしと変わらず、紺色の瞳に青紫の容姿をしていました。
「エリス・ルミナーラですわ。あなたがルークさんでしたか」
なるべく接しやすいように挨拶してみましたが、ルークはわたくしを少し睨んでいるようにも見えます。
養父さまが、ルークに自己紹介するように促すと、やっと「ルークだ」というわずかな声が聞こえました。
えっ?それだけですの?
「父上。挨拶はもういいでしょう。私は予習しなければなりませんので、これにて」
「ルーク!エリスに失礼だろう!」
養父さまの注意に、ルークはくるりと振り返って、わたくしのほうに視線を向けます。
「本来ならば、僕は初日に挨拶するはずでしたよね?……そこの養子が眠りこけたりしなければ」
どうやら、疲れから寝てしまったことで、わたくしの印象は悪くなってしまったようです。
ルークは、再び出ていってしまいました。
これは……仲良くするのは厳しいでしょうか……?
◇◇◇
わたくしは、とりあえず見かけたら挨拶はするようにしました。
「ごきげんよう、ルーク」
「…………」
ルークは、わたくしなんて見えていないかのように無視しています。
一瞬、わたくしと目があっているので、見えていることは間違いありません。
ここまで来ると、わたくしも以前の発言が、ただの建前でしかないことにはすぐに気づきました。
確かに、養子はあまりそこの家族とは良い関係は築きにくいです。末端の分家から引き取ることが多く、あまり血は繋がっておりませんからね。ですが、わたくしたちは従兄弟ですので、そこまで血が離れているわけではありません。
つまりは、わたくしが他人だから気に入らないというわけではないのでしょう。
他に理由があるということでしょうが、わたくしには特に思いつきません。
わたくしは、自分の専属侍女に聞いてみることにいたしました。
わたくしの専属侍女はロザリー。この屋敷に来たときに案内してくれた侍女です。
「ルークはわたくしをあそこまで敵視するのはなぜなのかしら?」
嫌われているというよりは、憎まれているといったように感じました。
ロザリーは、うつむきながら口をつぐんでいます。
これは、心当たりはあるものの、話したくないということでしょう。ルークに口止めされているのかもしれませんし、支えている家の人間の陰口のようなものなど、元は部外者であるわたくしには語るのは難しいのかもしれません。
それを防ぐために専属侍女に尋ねたのですけど、あまり意味がなかったかしら?
「……話しにくいのなら、話さなくてもいいわ。わたくしがなんとか探ってみましょう」
同じ屋敷に住んでいる以上、まったく関わりを持たないというのは不可能です。むしろ、今までよく見かけなかったのが奇跡のようなもの。
ルークと関わっていけば、いずれわかることもあるでしょう。大事なのは、わたくしが諦めないことです。
残念でしたわね、ルーク。わたくしは諦めは悪いのです。いくらあなたが無視しようと、邪険にしようと、関わるのを止めるつもりはありませんわ。
だって、わたくしの家族なのですから。
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本日は、公爵家の跡継ぎである、わたくしの義弟との初対面となります。
初日のうちに、学園から帰ったら挨拶をするはずだったのですが、わたくしが疲れて早々に眠ってしまい、翌日以降もいろいろと忙しくしていたのと、なぜか本人がわたくしに会いたがらなかったそうです。
それを、養父母の説得でやっと会ってくれることになったのだとか。
なぜわたくしのことがそんなに気に入らないのかわかりませんが、第一印象は大切にしておきましょう。
初の顔合わせは、養父さまの執務室で行われることとなりました。
「エリス。息子のルークだ」
そう紹介された青年は、わたくしよりも少々低く見える程度で、背丈はあまりわたくしと変わらず、紺色の瞳に青紫の容姿をしていました。
「エリス・ルミナーラですわ。あなたがルークさんでしたか」
なるべく接しやすいように挨拶してみましたが、ルークはわたくしを少し睨んでいるようにも見えます。
養父さまが、ルークに自己紹介するように促すと、やっと「ルークだ」というわずかな声が聞こえました。
えっ?それだけですの?
「父上。挨拶はもういいでしょう。私は予習しなければなりませんので、これにて」
「ルーク!エリスに失礼だろう!」
養父さまの注意に、ルークはくるりと振り返って、わたくしのほうに視線を向けます。
「本来ならば、僕は初日に挨拶するはずでしたよね?……そこの養子が眠りこけたりしなければ」
どうやら、疲れから寝てしまったことで、わたくしの印象は悪くなってしまったようです。
ルークは、再び出ていってしまいました。
これは……仲良くするのは厳しいでしょうか……?
◇◇◇
わたくしは、とりあえず見かけたら挨拶はするようにしました。
「ごきげんよう、ルーク」
「…………」
ルークは、わたくしなんて見えていないかのように無視しています。
一瞬、わたくしと目があっているので、見えていることは間違いありません。
ここまで来ると、わたくしも以前の発言が、ただの建前でしかないことにはすぐに気づきました。
確かに、養子はあまりそこの家族とは良い関係は築きにくいです。末端の分家から引き取ることが多く、あまり血は繋がっておりませんからね。ですが、わたくしたちは従兄弟ですので、そこまで血が離れているわけではありません。
つまりは、わたくしが他人だから気に入らないというわけではないのでしょう。
他に理由があるということでしょうが、わたくしには特に思いつきません。
わたくしは、自分の専属侍女に聞いてみることにいたしました。
わたくしの専属侍女はロザリー。この屋敷に来たときに案内してくれた侍女です。
「ルークはわたくしをあそこまで敵視するのはなぜなのかしら?」
嫌われているというよりは、憎まれているといったように感じました。
ロザリーは、うつむきながら口をつぐんでいます。
これは、心当たりはあるものの、話したくないということでしょう。ルークに口止めされているのかもしれませんし、支えている家の人間の陰口のようなものなど、元は部外者であるわたくしには語るのは難しいのかもしれません。
それを防ぐために専属侍女に尋ねたのですけど、あまり意味がなかったかしら?
「……話しにくいのなら、話さなくてもいいわ。わたくしがなんとか探ってみましょう」
同じ屋敷に住んでいる以上、まったく関わりを持たないというのは不可能です。むしろ、今までよく見かけなかったのが奇跡のようなもの。
ルークと関わっていけば、いずれわかることもあるでしょう。大事なのは、わたくしが諦めないことです。
残念でしたわね、ルーク。わたくしは諦めは悪いのです。いくらあなたが無視しようと、邪険にしようと、関わるのを止めるつもりはありませんわ。
だって、わたくしの家族なのですから。
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