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第三章 休みくらい好きにさせて
第15話 街中デート!?
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ソフィアから冷たい視線を浴びせられはしたが、とりあえず砂糖の購入は完了した。
このお出かけの目的は、砂糖の購入だったので、もう屋敷に戻ろうかというときに、服の裾が引っ張られる。
「ご主人。もうちょっと見て回ろうよ~!」
いや、私は帰りたいんだけど。帰って、ベッドでゴロゴロしながら、本を読みたいんだけど。
見た目が子どもなので、ちょっと良心が痛むが、私はレアの言葉は無視して、お屋敷の方に足を進める。
いくら希少魔法の使い手で身体能力などが上がっているからといって、体格で私の方が力としては有利だ。結果的に、レアは引きずられるようになっている。
やけに静かだなと思ってレアの方を見てみると、少し涙目になっている。うん、やっぱり子どもだよな?これでお父様より年上なんて嘘だよな?
精神魔法で自分の精神も子どもにしたとか?いや、さすがにそれはないか。それなら、これは素ってことだよね?
「ソフィア、他に欲しいものある?」
ちょっと良心が痛んでしまった私は、ソフィアにそうたずねる。
ソフィアは、一瞬きょとんとしたが、すぐに察してくれて、ソフィアは少し考えるような素振りをする。
「じゃあ、リンゴももうちょっと買って、タルトタタンも一緒に作ることにしようか」
「だって。リンゴが売っている場所はどこにあるの?」
私がレアにそう聞くと、とたんにレアの顔に笑顔が浮かぶ。
「それはね……ーーっ!」
レアが説明しようとすると、何かに気づいたように振り返る。
レアの視線の先には、何もない。一体どうしたのだろうと思っていると、レアがソフィアの方に向かう。そして、ソフィアに何か囁いている。
それを聞いたソフィアの目が見開いた。
「そんなわけだから、ソフィア様は帰ってくれない?」
「そうね。わかったわ」
何が?と思っていると、ソフィアは、購入した砂糖はしっかりと持って、すぐにお屋敷の方に向かっていった。
本当に何なんだろうかと思っていると、レアが肩に乗ってくる。
そして、私にも耳打ちしてきた。
「ご主人。見張りがいる。多分二人だけど、もしかしたらそれ以上にいるかもしれない」
「大丈夫なの?」
「レアが狙いならいいんだけど、じゅっちゅーはっく、ご主人も狙いだと思うから、一人にならないようにね」
ソフィアを帰したのは、ソフィアが危険なためかと納得しつつも、表情は変えない。不審に思われるといけないからだ。
「でもねぇ、レアはこれから会議があるんだよね~」
「……会議?なんの?」
「そりゃあ、白梟の会議に決まってるじゃん」
「ええっ!!?」
思わず、大きな声が出てしまう。レアに慌てて口を塞がれた。
いや、仕方ないと思う。だって、そんな会議をやっているなんて知らなかったし、レアがそんなものに出席しているとは思わなかったし。
それを聞いたとき、そういえば隊長だったなと思い出したくらいだから。
「だから、嫌なんだけど、あの人と一緒にいなよ」
レアが指を指した方を見ると、そこには広場の賑やかさには似合わない男がぽつんと一人でいた。その男に、私は見覚えがある。それどころか、幼い頃からの知り合いだ。
「……こっちの事情に巻き込んでいいの?それに、私もあんまり関わりたくはないんだけど……」
破滅とかは怖くないのだが、後に自分を断罪するとわかっている存在と、関わりたいと思う人は少数派だろう。
私はまったく思わない。もちろん、こっちが有責にならないように、義務とかはちゃんとこなすつもりでいる。でも、それ以外の私的なことは全部無視したい。
乙女ゲームの悪役令嬢とはいえ、せっかく公爵家に生まれたのだから、好きに生きてみたい。まぁ、破滅で平民になったとしても、魔法でなんとかするだけだから、絶対に公爵令嬢じゃないと嫌だというわけでもないのだが。
「一人で闇討ちされるか、私情は飲み込んで、あいつを肉壁……護衛として一緒にいるか、どっちがいいの?」
うん。今、さりげなくとんでもない発言をしたな。ソフィアもそこまでは考えないと思うぞ。……あの双子の悪魔なら考えるかもしれないけど。
それで、その二択の答えは、決まっている。
「……一緒にいましょうか」
私情を飲み込む一択だ。レアたちもそれなりに警戒するような人物なのだから、私が一人になれば、間違いなく刺される。刺殺ではないかもしれないけど、刺される。
それなら、あいつと一緒の方がいい。なんであいつがここにいるのかは知らないけど、一人なら利用させてもらうとしよう。
私はレアと別れてから、その場にいる男に声をかける。
「カイン様。今、よろしいですか?」
「……えっ、ああ。どうしたんだ?」
私から話しかけてきたことに驚いたのか、反応が少し遅れている。
まぁ、普段の私はとことん無視してるからなぁ。無視というよりかは、塩対応というのが近いかもしれないけど。無視したくても、向こうがしつこいから無視しきれないのよ。もう無視するには、そもそも会話をしないという強引な方法しかない。
「少々事情がございまして、今は一人なのです。なので、共にいてくださらないかと」
ここで嘘をついても意味はない。すべて正直に言うべきだ。なぜ一緒にいようとしているかの理由は話していないだけだ。嘘をついているわけではない。
私が声をかけた理由を説明すると、カインは少し頬を染めて、「そうか」と呟いた。
なぜ頬を染める?とツッコミをいれてはいけない。これは無視するべきだ。
「ところで、カイン様はなぜこちらに?」
ちょうどいい機会だと思って、カインに聞いてみる。だって、ゲームでは学園にいたのだ。気にならないわけがない。
「……アレンに追い出されてな。『お前は部屋にいると仕事をしてしまうのだから!』と……」
従者にお前呼ばわりされる次期公爵はここです。
ヘタレなのは知っているけど、もう少ししっかりしてくれないかな。
私には難しいことはよくわからないが、公爵がこんな性格だと、いろいろと問題はあるのではと勘ぐってしまう。
まぁ、今の私にそんなことを心配している余裕はないけど。乙女ゲームの世界なのは間違いないのだろうが、悪役令嬢が命の危機に陥ることなんてなかったはずなのに、今はがっつりと狙われているのだから。
「それじゃあ、休息しますか」
「休息……?」
……この人、社畜の匂いがする。休息なんて言葉はこの人の辞書に載っていないような気がする。
さすがにそんなのは悲しすぎる。
「街を見て回りましょうか」
※タイトル、ゲーム開始直前を外してみました。すっきりしたと思います。ちょくちょく変更してすみません。
このお出かけの目的は、砂糖の購入だったので、もう屋敷に戻ろうかというときに、服の裾が引っ張られる。
「ご主人。もうちょっと見て回ろうよ~!」
いや、私は帰りたいんだけど。帰って、ベッドでゴロゴロしながら、本を読みたいんだけど。
見た目が子どもなので、ちょっと良心が痛むが、私はレアの言葉は無視して、お屋敷の方に足を進める。
いくら希少魔法の使い手で身体能力などが上がっているからといって、体格で私の方が力としては有利だ。結果的に、レアは引きずられるようになっている。
やけに静かだなと思ってレアの方を見てみると、少し涙目になっている。うん、やっぱり子どもだよな?これでお父様より年上なんて嘘だよな?
精神魔法で自分の精神も子どもにしたとか?いや、さすがにそれはないか。それなら、これは素ってことだよね?
「ソフィア、他に欲しいものある?」
ちょっと良心が痛んでしまった私は、ソフィアにそうたずねる。
ソフィアは、一瞬きょとんとしたが、すぐに察してくれて、ソフィアは少し考えるような素振りをする。
「じゃあ、リンゴももうちょっと買って、タルトタタンも一緒に作ることにしようか」
「だって。リンゴが売っている場所はどこにあるの?」
私がレアにそう聞くと、とたんにレアの顔に笑顔が浮かぶ。
「それはね……ーーっ!」
レアが説明しようとすると、何かに気づいたように振り返る。
レアの視線の先には、何もない。一体どうしたのだろうと思っていると、レアがソフィアの方に向かう。そして、ソフィアに何か囁いている。
それを聞いたソフィアの目が見開いた。
「そんなわけだから、ソフィア様は帰ってくれない?」
「そうね。わかったわ」
何が?と思っていると、ソフィアは、購入した砂糖はしっかりと持って、すぐにお屋敷の方に向かっていった。
本当に何なんだろうかと思っていると、レアが肩に乗ってくる。
そして、私にも耳打ちしてきた。
「ご主人。見張りがいる。多分二人だけど、もしかしたらそれ以上にいるかもしれない」
「大丈夫なの?」
「レアが狙いならいいんだけど、じゅっちゅーはっく、ご主人も狙いだと思うから、一人にならないようにね」
ソフィアを帰したのは、ソフィアが危険なためかと納得しつつも、表情は変えない。不審に思われるといけないからだ。
「でもねぇ、レアはこれから会議があるんだよね~」
「……会議?なんの?」
「そりゃあ、白梟の会議に決まってるじゃん」
「ええっ!!?」
思わず、大きな声が出てしまう。レアに慌てて口を塞がれた。
いや、仕方ないと思う。だって、そんな会議をやっているなんて知らなかったし、レアがそんなものに出席しているとは思わなかったし。
それを聞いたとき、そういえば隊長だったなと思い出したくらいだから。
「だから、嫌なんだけど、あの人と一緒にいなよ」
レアが指を指した方を見ると、そこには広場の賑やかさには似合わない男がぽつんと一人でいた。その男に、私は見覚えがある。それどころか、幼い頃からの知り合いだ。
「……こっちの事情に巻き込んでいいの?それに、私もあんまり関わりたくはないんだけど……」
破滅とかは怖くないのだが、後に自分を断罪するとわかっている存在と、関わりたいと思う人は少数派だろう。
私はまったく思わない。もちろん、こっちが有責にならないように、義務とかはちゃんとこなすつもりでいる。でも、それ以外の私的なことは全部無視したい。
乙女ゲームの悪役令嬢とはいえ、せっかく公爵家に生まれたのだから、好きに生きてみたい。まぁ、破滅で平民になったとしても、魔法でなんとかするだけだから、絶対に公爵令嬢じゃないと嫌だというわけでもないのだが。
「一人で闇討ちされるか、私情は飲み込んで、あいつを肉壁……護衛として一緒にいるか、どっちがいいの?」
うん。今、さりげなくとんでもない発言をしたな。ソフィアもそこまでは考えないと思うぞ。……あの双子の悪魔なら考えるかもしれないけど。
それで、その二択の答えは、決まっている。
「……一緒にいましょうか」
私情を飲み込む一択だ。レアたちもそれなりに警戒するような人物なのだから、私が一人になれば、間違いなく刺される。刺殺ではないかもしれないけど、刺される。
それなら、あいつと一緒の方がいい。なんであいつがここにいるのかは知らないけど、一人なら利用させてもらうとしよう。
私はレアと別れてから、その場にいる男に声をかける。
「カイン様。今、よろしいですか?」
「……えっ、ああ。どうしたんだ?」
私から話しかけてきたことに驚いたのか、反応が少し遅れている。
まぁ、普段の私はとことん無視してるからなぁ。無視というよりかは、塩対応というのが近いかもしれないけど。無視したくても、向こうがしつこいから無視しきれないのよ。もう無視するには、そもそも会話をしないという強引な方法しかない。
「少々事情がございまして、今は一人なのです。なので、共にいてくださらないかと」
ここで嘘をついても意味はない。すべて正直に言うべきだ。なぜ一緒にいようとしているかの理由は話していないだけだ。嘘をついているわけではない。
私が声をかけた理由を説明すると、カインは少し頬を染めて、「そうか」と呟いた。
なぜ頬を染める?とツッコミをいれてはいけない。これは無視するべきだ。
「ところで、カイン様はなぜこちらに?」
ちょうどいい機会だと思って、カインに聞いてみる。だって、ゲームでは学園にいたのだ。気にならないわけがない。
「……アレンに追い出されてな。『お前は部屋にいると仕事をしてしまうのだから!』と……」
従者にお前呼ばわりされる次期公爵はここです。
ヘタレなのは知っているけど、もう少ししっかりしてくれないかな。
私には難しいことはよくわからないが、公爵がこんな性格だと、いろいろと問題はあるのではと勘ぐってしまう。
まぁ、今の私にそんなことを心配している余裕はないけど。乙女ゲームの世界なのは間違いないのだろうが、悪役令嬢が命の危機に陥ることなんてなかったはずなのに、今はがっつりと狙われているのだから。
「それじゃあ、休息しますか」
「休息……?」
……この人、社畜の匂いがする。休息なんて言葉はこの人の辞書に載っていないような気がする。
さすがにそんなのは悲しすぎる。
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