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第三章 休みくらい好きにさせて
第7話 緑鷺 1
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適当に理由作りに協力させられた。お兄様が来ることは予想していなかっただろうが、それを利用して、私が教えに行けない口実を作ったのだ。
あのスパルタは、教えるのが大好きだからね。その場にいるやつは全員巻き込むから、私も行ったらやらされそうだな。
私は、休憩の意味合いも込めて、ベッドでうつぶせにゴロゴロしていると、誰かが入ってくる。悪意も感じなかったし、廊下を歩く音も聞こえなかったので、ドアの音がしなければ、私は入ってきたのに気がつかなかっただろう。
でも、ドアの方を見ても誰もいない。ドアが開いているので。誰かが入ってきたのは間違いないんだけど。
「ごーしゅーじん!」
そんな声とともに、何かが私の背中に乗ってくる。いや、落下してくるという方が正しいかもしれない。
誰なのか予想はできるけど、ゴロゴロと寝ていたので、反応が送れてしまった。
「ぐふっ!」
見事、私は下敷きになる。柔らかいベッドじゃなければ、冗談抜きで骨がポキッと鳴ったかもしれない。ベッドがクッションのようになり、衝撃を吸収してくれた。
「……レア。重いからどいて」
私を下敷きにしてきたのは、レアだ。声と、私の呼び方と、こんな登場でわかりきっていたことだけど。
「ご主人!女の子に重いはしつれーじゃない!?」
「私よりも年上のやつが何を言ってるのよ」
女の子という言葉は、本当に幼い子どもにだけ使っていい言葉なのだ。こんな、見た目だけは子どもな存在に使う言葉ではない。
私が冷たくそう言ったら、レアはほっぺを膨らませる。
「レアだって、好きで長生きしてるわけじゃないもん!死なないからしかたないじゃん!」
「……えっ?」
今、何て言った?死なない?……もしかして、レアが幼いけど年上なのは、不老不死とかそんな理由?でも、いくら魔法があるファンタジーな世界だからって、簡単に不老不死とかなれるものなの?
レアの年齢から不老不死が始まったなら、10歳くらいのころにその能力を手に入れたことになるけど、そんなことが可能なの?
「それってどういうーー」
「お、奥様からお菓子を貰ってきたから一緒に食べない?」
私が何か聞こうとすると、それをシャットアウトしてきた。
そして、ぐいぐいと私に何かを押しつけてくる。両手で抱えられるくらいの大きさの袋で、そこにはクッキーと思われるものが入っている。
あんな突撃みたいなのがあったのに、よく割れずにいられたなと感心した。それを一口食べると、サクサクしていて結構おいしい。
「……それで、わざわざ姿を現したのはなんでなの?」
メイアやアイリスは、姿から使用人に扮することが可能だろうけど、子どもの容姿のレアには絶対に無理だ。
私がそう思って聞いてみると、レアは真剣な表情になった。
「これこれ。サリーから渡してくれって頼まれたの。ご主人がお願いしてたやつだって」
レアがそう言って、どこに隠し持っていたのだろうという量の紙を渡してきた。
それは、5枚あり、しかも、しわとかもあまりないので、本当にあのベッドダイブでよく無事だったなと感心するばかりだ。
それにしても、サリアかメイアが直接来ることはできなかったのだろうか。二人が来れなかったとしても、一般隊員も来れないような状況なのだろうか。
そう思いながら読んでみると、その理由がわかった。
あの宇宙人ヒロインのことだけど、どうやら転生者ではなさそうだ。母親の言動による洗脳状態みたいになっているとのこと。つまりは、母親が転生者である可能性が高い。可能性でしかないのは、当然だけど、白梟のみんなは転生のことなんて知らないから。転生ということを知らなければ、その人がおかしな言動をしているだけにしか見えないだろう。
そこまでは、まぁ普通かな、という感じだ。あの宇宙人の言動にも納得できた。
問題はここからだ。
その母親が、『青の月』と交流がある可能性があるという。普通に『青の月』の一員としてなのか、ただの交流相手なのかまでは書かれてはいなかったけど、二人が来ないのは、少し詳しく調べているのだろう。
あの二人のことだから、へまをしてやられることはないだろうけど、ちょっと心配になってしまう。サリアはそこまで交流があったわけではないけど、メイアは最初に会った白梟なので、情のようなものはある。例えるなら、友人のような存在だ。まぁ、ソフィアたちやマナと比べればそうでもないけど。
「レアはこの内容を知ってるの?」
私がそう聞くと、レアはもちろんという笑顔でうなずいた。
「読むなって言われたけど、それは読めって意味だからね!」
ちげぇよ。どこぞの押すなよの芸人じゃないんだから。あの真面目なサリアが、そんなお笑いみたいなことをするわけがないでしょ。まぁ、メイアとかならやってもおかしくないかもしれないけど……
「そんなわけで、レアもちょっと離れるから!」
「そうなの?」
「サリーとルーくんとお話することがあるんだよね」
サリーとルーくんというのは、サリアとルクトのことだよね。隊長同士なら、何か話すことがあるのかもしれない。そんなわけでという言い方がちょっと気になるけど。
「ご主人の護衛にはアイちゃんが来るから安心してね~」
「安心できないんだけど?」
命の危機からは守ってくれるかもしれないけど、心のケアができないのよ。人の心を勝手に読んで、勝手に通訳するんだもの。
「アイちゃんが何かしたの?レアから叱っておこうか?」
……その叱っておくというのが、私の想像をはるかに越えそうなのは、私の考えすぎだろうか?
そう思って、私は「別にいいわ」と言った。
「どうしても嫌なら、リーちゃんとルーちゃんでもいいよ?」
「……誰?」
「緑鷺にいるんだけどねぇ~。潜入活動以外もいろいろできるんだよね~」
「へぇ~……ちょっと気になるわね」
緑鷺は、どこかで聞いたことがあるような気がするけど……。今までいろいろありすぎたせいで、どこで聞いたかはっきりと覚えていない。
「それじゃあ、ちょっと呼んでみるね!」
そうやって、レアは笑顔で出ていった。
あのスパルタは、教えるのが大好きだからね。その場にいるやつは全員巻き込むから、私も行ったらやらされそうだな。
私は、休憩の意味合いも込めて、ベッドでうつぶせにゴロゴロしていると、誰かが入ってくる。悪意も感じなかったし、廊下を歩く音も聞こえなかったので、ドアの音がしなければ、私は入ってきたのに気がつかなかっただろう。
でも、ドアの方を見ても誰もいない。ドアが開いているので。誰かが入ってきたのは間違いないんだけど。
「ごーしゅーじん!」
そんな声とともに、何かが私の背中に乗ってくる。いや、落下してくるという方が正しいかもしれない。
誰なのか予想はできるけど、ゴロゴロと寝ていたので、反応が送れてしまった。
「ぐふっ!」
見事、私は下敷きになる。柔らかいベッドじゃなければ、冗談抜きで骨がポキッと鳴ったかもしれない。ベッドがクッションのようになり、衝撃を吸収してくれた。
「……レア。重いからどいて」
私を下敷きにしてきたのは、レアだ。声と、私の呼び方と、こんな登場でわかりきっていたことだけど。
「ご主人!女の子に重いはしつれーじゃない!?」
「私よりも年上のやつが何を言ってるのよ」
女の子という言葉は、本当に幼い子どもにだけ使っていい言葉なのだ。こんな、見た目だけは子どもな存在に使う言葉ではない。
私が冷たくそう言ったら、レアはほっぺを膨らませる。
「レアだって、好きで長生きしてるわけじゃないもん!死なないからしかたないじゃん!」
「……えっ?」
今、何て言った?死なない?……もしかして、レアが幼いけど年上なのは、不老不死とかそんな理由?でも、いくら魔法があるファンタジーな世界だからって、簡単に不老不死とかなれるものなの?
レアの年齢から不老不死が始まったなら、10歳くらいのころにその能力を手に入れたことになるけど、そんなことが可能なの?
「それってどういうーー」
「お、奥様からお菓子を貰ってきたから一緒に食べない?」
私が何か聞こうとすると、それをシャットアウトしてきた。
そして、ぐいぐいと私に何かを押しつけてくる。両手で抱えられるくらいの大きさの袋で、そこにはクッキーと思われるものが入っている。
あんな突撃みたいなのがあったのに、よく割れずにいられたなと感心した。それを一口食べると、サクサクしていて結構おいしい。
「……それで、わざわざ姿を現したのはなんでなの?」
メイアやアイリスは、姿から使用人に扮することが可能だろうけど、子どもの容姿のレアには絶対に無理だ。
私がそう思って聞いてみると、レアは真剣な表情になった。
「これこれ。サリーから渡してくれって頼まれたの。ご主人がお願いしてたやつだって」
レアがそう言って、どこに隠し持っていたのだろうという量の紙を渡してきた。
それは、5枚あり、しかも、しわとかもあまりないので、本当にあのベッドダイブでよく無事だったなと感心するばかりだ。
それにしても、サリアかメイアが直接来ることはできなかったのだろうか。二人が来れなかったとしても、一般隊員も来れないような状況なのだろうか。
そう思いながら読んでみると、その理由がわかった。
あの宇宙人ヒロインのことだけど、どうやら転生者ではなさそうだ。母親の言動による洗脳状態みたいになっているとのこと。つまりは、母親が転生者である可能性が高い。可能性でしかないのは、当然だけど、白梟のみんなは転生のことなんて知らないから。転生ということを知らなければ、その人がおかしな言動をしているだけにしか見えないだろう。
そこまでは、まぁ普通かな、という感じだ。あの宇宙人の言動にも納得できた。
問題はここからだ。
その母親が、『青の月』と交流がある可能性があるという。普通に『青の月』の一員としてなのか、ただの交流相手なのかまでは書かれてはいなかったけど、二人が来ないのは、少し詳しく調べているのだろう。
あの二人のことだから、へまをしてやられることはないだろうけど、ちょっと心配になってしまう。サリアはそこまで交流があったわけではないけど、メイアは最初に会った白梟なので、情のようなものはある。例えるなら、友人のような存在だ。まぁ、ソフィアたちやマナと比べればそうでもないけど。
「レアはこの内容を知ってるの?」
私がそう聞くと、レアはもちろんという笑顔でうなずいた。
「読むなって言われたけど、それは読めって意味だからね!」
ちげぇよ。どこぞの押すなよの芸人じゃないんだから。あの真面目なサリアが、そんなお笑いみたいなことをするわけがないでしょ。まぁ、メイアとかならやってもおかしくないかもしれないけど……
「そんなわけで、レアもちょっと離れるから!」
「そうなの?」
「サリーとルーくんとお話することがあるんだよね」
サリーとルーくんというのは、サリアとルクトのことだよね。隊長同士なら、何か話すことがあるのかもしれない。そんなわけでという言い方がちょっと気になるけど。
「ご主人の護衛にはアイちゃんが来るから安心してね~」
「安心できないんだけど?」
命の危機からは守ってくれるかもしれないけど、心のケアができないのよ。人の心を勝手に読んで、勝手に通訳するんだもの。
「アイちゃんが何かしたの?レアから叱っておこうか?」
……その叱っておくというのが、私の想像をはるかに越えそうなのは、私の考えすぎだろうか?
そう思って、私は「別にいいわ」と言った。
「どうしても嫌なら、リーちゃんとルーちゃんでもいいよ?」
「……誰?」
「緑鷺にいるんだけどねぇ~。潜入活動以外もいろいろできるんだよね~」
「へぇ~……ちょっと気になるわね」
緑鷺は、どこかで聞いたことがあるような気がするけど……。今までいろいろありすぎたせいで、どこで聞いたかはっきりと覚えていない。
「それじゃあ、ちょっと呼んでみるね!」
そうやって、レアは笑顔で出ていった。
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