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永禄十年・秋
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家康と万が結ばれて──
築山御前の目を盗んで、家康は幾度も万のもとへ通ってきた。万は、格別器量よしでは無い。けれども万の若くて健康な四肢は、家康にとって堪らないものだったらしい。
万は、男のなすがままに任せた。疲れるだけの交わり。身体が、悲鳴を上げる。その一方で、心は弾む。
(この男は、奥方様の夫)
家康に征服されつつ、万は己が築山御前を征服しているような錯覚に陥った。ただの侍女である自分が、この上も無く高貴な女性である奥方様を――
それは例えようも無いほどに、甘美で刺激的な感覚であった。
♢
秋の深まる、空が高い日。
澄んだ空気に抵抗するかのように、築山御殿の庭に植えられた桜が狂い咲くのと時を同じくして。
万と家康の密通が、築山御前に露見した。
御前は、激怒した。夫である家康の不貞には慣れていたものの、よりにもよって、己が可愛がっていた侍女に手をつけるとは。
家康に裏切られ、万にも裏切られた。
御前から見ての、家康と万──傾けている心の形は違えど、大事に思ってきた二人が同時に自分へ背を向ける。陰で秘かに笑い合っているのに相違なく──許せるはずもない。
夕暮れ時、築山御前は万を自室へと呼び出した。脇息にもたれかかりながら、物憂げに万へ話しかける。音程が低い。
「万よ。こなた、殿よりご寵愛を賜ったそうじゃな」
「は、はい……」
万は喉がひりつき、声を出せない。恐怖のためではない。愉悦のためだ。
これまでは、奥方様にとって万は単なる侍女に過ぎなかった。〝目を掛けてくれている、大事にしてくれている〟とは言っても、所詮は大勢の中の一人。普段は気にも留めない。よしんば不意に万が失踪したとしても、御前はわざわざ探したりはしないだろう。幾らでも、替わりの者は居る。
万にとっては御前はただ一人だが、御前にとって万は特別ではない。
しかし、今は違う。万は、一個の明瞭な人間――生身の女として、御前の瞳に映っている。
────嬉しい。
「こなた、しがない下女の分際で、殿へ色目を使うとは……許せぬ」
脇息を転がし、御前はヨロヨロと立ち上がった。平素の嫋やかな姿は、見る影も無い。憤怒のあまり、その形相は歪んでいた。顔面は蒼白で、目は血走っている。
にもかかわらず、万は
(ああ。奥方様は、怒りの表情もお美しい)
と胸中の鼓動を早めた。
万へ近寄る、御前。その手には竹製の笞が握られていた。
「万、こなたは!」
御前は万の着物を剥がすや、むき出しとなった背中へ渾身の力で笞を振るった。
ピシリ、ピシリと。
万の白い背に赤い筋が幾本もできる。立て続けに走る、鋭い痛み。万は必死に歯を食いしばった。気を抜けば、思わず苦痛では無く、歓喜の声を漏らしてしまいそうで。
「この! 小娘のくせに、淫らな!」
笞の音が鳴り響き、万の背の皮は無残に破れた。鮮血が流れ落ち、布子が赤く染まる。
(奥方様のお部屋を、私の血で汚しては申し訳ない)
ぼんやりと、万はそんなことを考える。
ついに御前の手が止まる。怒りは未だ収まらないものの、腕が疲れてしまったようだ。万の無反応ぶりに、戸惑いを覚えているのかもしれない。
御前が叫ぶ。
「誰か、来やれ!」
築山御前の部屋へ集まってきた侍女たちは、凄惨な光景を目の当たりにし、揃って立ちすくむ。
荒い息を吐きつつ、笞を固く握りしめている夫人。血まみれの状態で床に突っ伏している、若い側仕えの女──彼女は、夫人のお気に入りだったはずなのに。
何故万がこのような仕置きを受けているのか、少なからぬ数の侍女は事情を察し――けれど、取るべき行動が分からない。万の手当てをするべきなのか? だが、それで築山御前の怒りの矛先が自分たちへ向いてしまったら……。
岡崎城下で孤立しているとは言え、御殿の中では築山御前は万能の主なのだ。
「この浮かれ女、如何にしてくれようか? ……そうじゃ! あの、桜が良い。庭の桜に、この女を縛り付けよ!」
御前の命に従い、侍女たちは万を桜の樹に細縄でくくりつけた。
季節外れに狂い咲いている桜の花が、ヒラヒラと舞い落ちる。ある花弁は万の乱れきった黒髪に貼り付き、別の花弁は万の血を吸ってその色を濃くした。
狂った桜に、狂った女性。狂っているのは築山御前か、それとも万か?
「そこで、一夜を明かすが良いわ! さぞや、頭も冷えるじゃろうて」
築山御前は高笑いしつつ、部屋の奥へと姿を隠した。侍女たちも、無言で去っていく。
静寂の中、万は一人になった。
西方に日が没する。辺り一面は闇に包まれた。
(暗い。月は……月は、出ている──?)
見えない。
秋の夜は冷える。
血を流しすぎたせいか、万の身体は次第に小刻みに震えはじめた。痛みは、もう感じない。知覚が、麻痺しているためか。
ここで、自分は死ぬのだろうか――
薄れゆく意識の中で、陶酔まじりに万は思う。
それも良い、と。
奥方様に殺される。
それは、とても素敵なことなのではあるまいか?
(奥方様は、間違いなく、私を憎んでいる)
一介の侍女である自分を。
奥方様が自分を愛してくれることは、あり得ない。しかし、憎ませることは可能だったのだ。尊貴で、美しく、手が届かない存在であった奥方様の心に傷を付けることが出来た。
それは、矮小な自分にとって、この上も無き僥倖。身に余る栄誉。
万の口角が上がる。満ち足りた気分で、死ねそうだ。
(朝方、死体となった私を最初に見付けるのは、奥方様であって欲しい)
奥方様が、自分の亡骸を目にする。驚くだろうか? 喜ぶだろうか? ひょっとして……少しは嘆いてくれるだろうか?
この狂い咲きの桜の樹の根元に埋めて欲しいと望むのは、身の程知らずな我がままか。
万の思考が混濁しはじめた頃。何者かが、万の縄を解く。
「……どなた様?」
夢うつつのまま、万は呟く。
「喋るな。いま、助けてやる」
「いえ。ご無用に願いまする」
「……度しがたい娘だ。この期に及んで、御前へ忠義立てか?」
「忠義では、ありません」
主人である奥方様の夫に通じたのだ。これ以上の不忠は、あり得まい。
「けれど、お詫びしなければ。叶うならこのまま死んで、奥方様の心を僅かにでもお慰めしたく……」
虚言だ。遺体となって、奥方様の心に更なる爪痕を残したい――願うのは、それのみ。
そうなれば、あの方の記憶の中に自分は長く留まっていられる。素晴らしい。
万の告白を聞いて、男が吐き捨てる。
「それで、そなたの御前への義理は果たされるやもしれぬ。じゃが、殿への忠誠はどうなる?」
「殿?」
誰だ、それは? ……ああ、あの狸か。そう言えば、そんな男も居た。築山御前の夫であるという他には、価値の無い男。
「そなた、殿に手をつけられたのであろう? まんいち、殿のお種を宿していたら如何するのだ?」
種……子供?
万は、混乱した。男と女が交われば、子が出来る。知ってはいたが、今の今まで、子をはらむ可能性を考えたことはなかった。
自分の中に、あの狸の子がいたりするのだろうか? おぞましくは――無い。だって、奥方様も、あの狸の子を生んだのだから。
もしも生まれれば、その子は竹千代様と亀姫様の異母兄弟。
自分が生んだ子を、竹千代様と亀姫様が兄弟として慈しみ、仲良く遊んでくれる。
そんな幻を見ながら、万の意識は暗闇の底へと落ちていった。
万を救い出した男の名は、本多作左衛門重次。岡崎三奉行の一人で頑固一徹、鬼作左との異名を持つ。気に食わないことがあれば、家康にさえ平気で悪態を吐く三河武士だ。
彼にとっては、築山御前の怒りなど屁でもないらしい。
作左は知人の家へと万を担ぎ込んだ。家人による看護の甲斐あって、万は一命を取り留めた。
作左より報告があったのであろう。療養中の万のもとへ、家康がやって来た。
家康は痛々しげに万を見つめつつ、ポツリと呟いた。
「万、無事で良かった」
万は意外に思った。この男は、自分を気に掛けていたのか? そんな暇があるのなら、もっと奥方様に心を遣えば良いのに。間が抜けているにも、程がある。
続けて、家康は述べる。
「御前を恨んでくれるな」
何を当たり前のことを。こんな男に言われるまでも無い。
万は深く、頷いた。
御前に嫌われてしまった万は、もう築山御殿へは戻れない。実家とは、そもそも縁が薄い。流されるまま、家康の側室になるしか無かった。
自分を正式な妻として迎えるとは――それでも、万の中で家康の評価はあまり上がらなかった。狸が、人間になったくらいだ。
築山御前の目を盗んで、家康は幾度も万のもとへ通ってきた。万は、格別器量よしでは無い。けれども万の若くて健康な四肢は、家康にとって堪らないものだったらしい。
万は、男のなすがままに任せた。疲れるだけの交わり。身体が、悲鳴を上げる。その一方で、心は弾む。
(この男は、奥方様の夫)
家康に征服されつつ、万は己が築山御前を征服しているような錯覚に陥った。ただの侍女である自分が、この上も無く高貴な女性である奥方様を――
それは例えようも無いほどに、甘美で刺激的な感覚であった。
♢
秋の深まる、空が高い日。
澄んだ空気に抵抗するかのように、築山御殿の庭に植えられた桜が狂い咲くのと時を同じくして。
万と家康の密通が、築山御前に露見した。
御前は、激怒した。夫である家康の不貞には慣れていたものの、よりにもよって、己が可愛がっていた侍女に手をつけるとは。
家康に裏切られ、万にも裏切られた。
御前から見ての、家康と万──傾けている心の形は違えど、大事に思ってきた二人が同時に自分へ背を向ける。陰で秘かに笑い合っているのに相違なく──許せるはずもない。
夕暮れ時、築山御前は万を自室へと呼び出した。脇息にもたれかかりながら、物憂げに万へ話しかける。音程が低い。
「万よ。こなた、殿よりご寵愛を賜ったそうじゃな」
「は、はい……」
万は喉がひりつき、声を出せない。恐怖のためではない。愉悦のためだ。
これまでは、奥方様にとって万は単なる侍女に過ぎなかった。〝目を掛けてくれている、大事にしてくれている〟とは言っても、所詮は大勢の中の一人。普段は気にも留めない。よしんば不意に万が失踪したとしても、御前はわざわざ探したりはしないだろう。幾らでも、替わりの者は居る。
万にとっては御前はただ一人だが、御前にとって万は特別ではない。
しかし、今は違う。万は、一個の明瞭な人間――生身の女として、御前の瞳に映っている。
────嬉しい。
「こなた、しがない下女の分際で、殿へ色目を使うとは……許せぬ」
脇息を転がし、御前はヨロヨロと立ち上がった。平素の嫋やかな姿は、見る影も無い。憤怒のあまり、その形相は歪んでいた。顔面は蒼白で、目は血走っている。
にもかかわらず、万は
(ああ。奥方様は、怒りの表情もお美しい)
と胸中の鼓動を早めた。
万へ近寄る、御前。その手には竹製の笞が握られていた。
「万、こなたは!」
御前は万の着物を剥がすや、むき出しとなった背中へ渾身の力で笞を振るった。
ピシリ、ピシリと。
万の白い背に赤い筋が幾本もできる。立て続けに走る、鋭い痛み。万は必死に歯を食いしばった。気を抜けば、思わず苦痛では無く、歓喜の声を漏らしてしまいそうで。
「この! 小娘のくせに、淫らな!」
笞の音が鳴り響き、万の背の皮は無残に破れた。鮮血が流れ落ち、布子が赤く染まる。
(奥方様のお部屋を、私の血で汚しては申し訳ない)
ぼんやりと、万はそんなことを考える。
ついに御前の手が止まる。怒りは未だ収まらないものの、腕が疲れてしまったようだ。万の無反応ぶりに、戸惑いを覚えているのかもしれない。
御前が叫ぶ。
「誰か、来やれ!」
築山御前の部屋へ集まってきた侍女たちは、凄惨な光景を目の当たりにし、揃って立ちすくむ。
荒い息を吐きつつ、笞を固く握りしめている夫人。血まみれの状態で床に突っ伏している、若い側仕えの女──彼女は、夫人のお気に入りだったはずなのに。
何故万がこのような仕置きを受けているのか、少なからぬ数の侍女は事情を察し――けれど、取るべき行動が分からない。万の手当てをするべきなのか? だが、それで築山御前の怒りの矛先が自分たちへ向いてしまったら……。
岡崎城下で孤立しているとは言え、御殿の中では築山御前は万能の主なのだ。
「この浮かれ女、如何にしてくれようか? ……そうじゃ! あの、桜が良い。庭の桜に、この女を縛り付けよ!」
御前の命に従い、侍女たちは万を桜の樹に細縄でくくりつけた。
季節外れに狂い咲いている桜の花が、ヒラヒラと舞い落ちる。ある花弁は万の乱れきった黒髪に貼り付き、別の花弁は万の血を吸ってその色を濃くした。
狂った桜に、狂った女性。狂っているのは築山御前か、それとも万か?
「そこで、一夜を明かすが良いわ! さぞや、頭も冷えるじゃろうて」
築山御前は高笑いしつつ、部屋の奥へと姿を隠した。侍女たちも、無言で去っていく。
静寂の中、万は一人になった。
西方に日が没する。辺り一面は闇に包まれた。
(暗い。月は……月は、出ている──?)
見えない。
秋の夜は冷える。
血を流しすぎたせいか、万の身体は次第に小刻みに震えはじめた。痛みは、もう感じない。知覚が、麻痺しているためか。
ここで、自分は死ぬのだろうか――
薄れゆく意識の中で、陶酔まじりに万は思う。
それも良い、と。
奥方様に殺される。
それは、とても素敵なことなのではあるまいか?
(奥方様は、間違いなく、私を憎んでいる)
一介の侍女である自分を。
奥方様が自分を愛してくれることは、あり得ない。しかし、憎ませることは可能だったのだ。尊貴で、美しく、手が届かない存在であった奥方様の心に傷を付けることが出来た。
それは、矮小な自分にとって、この上も無き僥倖。身に余る栄誉。
万の口角が上がる。満ち足りた気分で、死ねそうだ。
(朝方、死体となった私を最初に見付けるのは、奥方様であって欲しい)
奥方様が、自分の亡骸を目にする。驚くだろうか? 喜ぶだろうか? ひょっとして……少しは嘆いてくれるだろうか?
この狂い咲きの桜の樹の根元に埋めて欲しいと望むのは、身の程知らずな我がままか。
万の思考が混濁しはじめた頃。何者かが、万の縄を解く。
「……どなた様?」
夢うつつのまま、万は呟く。
「喋るな。いま、助けてやる」
「いえ。ご無用に願いまする」
「……度しがたい娘だ。この期に及んで、御前へ忠義立てか?」
「忠義では、ありません」
主人である奥方様の夫に通じたのだ。これ以上の不忠は、あり得まい。
「けれど、お詫びしなければ。叶うならこのまま死んで、奥方様の心を僅かにでもお慰めしたく……」
虚言だ。遺体となって、奥方様の心に更なる爪痕を残したい――願うのは、それのみ。
そうなれば、あの方の記憶の中に自分は長く留まっていられる。素晴らしい。
万の告白を聞いて、男が吐き捨てる。
「それで、そなたの御前への義理は果たされるやもしれぬ。じゃが、殿への忠誠はどうなる?」
「殿?」
誰だ、それは? ……ああ、あの狸か。そう言えば、そんな男も居た。築山御前の夫であるという他には、価値の無い男。
「そなた、殿に手をつけられたのであろう? まんいち、殿のお種を宿していたら如何するのだ?」
種……子供?
万は、混乱した。男と女が交われば、子が出来る。知ってはいたが、今の今まで、子をはらむ可能性を考えたことはなかった。
自分の中に、あの狸の子がいたりするのだろうか? おぞましくは――無い。だって、奥方様も、あの狸の子を生んだのだから。
もしも生まれれば、その子は竹千代様と亀姫様の異母兄弟。
自分が生んだ子を、竹千代様と亀姫様が兄弟として慈しみ、仲良く遊んでくれる。
そんな幻を見ながら、万の意識は暗闇の底へと落ちていった。
万を救い出した男の名は、本多作左衛門重次。岡崎三奉行の一人で頑固一徹、鬼作左との異名を持つ。気に食わないことがあれば、家康にさえ平気で悪態を吐く三河武士だ。
彼にとっては、築山御前の怒りなど屁でもないらしい。
作左は知人の家へと万を担ぎ込んだ。家人による看護の甲斐あって、万は一命を取り留めた。
作左より報告があったのであろう。療養中の万のもとへ、家康がやって来た。
家康は痛々しげに万を見つめつつ、ポツリと呟いた。
「万、無事で良かった」
万は意外に思った。この男は、自分を気に掛けていたのか? そんな暇があるのなら、もっと奥方様に心を遣えば良いのに。間が抜けているにも、程がある。
続けて、家康は述べる。
「御前を恨んでくれるな」
何を当たり前のことを。こんな男に言われるまでも無い。
万は深く、頷いた。
御前に嫌われてしまった万は、もう築山御殿へは戻れない。実家とは、そもそも縁が薄い。流されるまま、家康の側室になるしか無かった。
自分を正式な妻として迎えるとは――それでも、万の中で家康の評価はあまり上がらなかった。狸が、人間になったくらいだ。
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