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黒猫ツバキは黒鳥――ブラックスワンになり、令嬢は白鳥になる……という極限状況に魔女が直面する話
だって、空が青いから
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黒猫ツバキは、魔女コンデッサの使い魔である。
コンデッサはとっても有能な魔女。加えて、20代の美人さんだ。
ここは、ボロノナーレ王国の端っこにある村。……の外れにある、コンデッサのお家。
お昼時、家の戸が外からいきなり開かれる。入ってきたのは――
「コンデッサお姉様~! 貴方のチリーナが、参上いたしました! お邪魔しても宜しいでしょうか?」
「そう言いつつ、チリーニャさんはもう家の中へ入ってるニャン」
「あら? 駄猫。お姉様は、どこにいらっしゃるの?」
ツバキの前に姿を現したのは、高校生魔女のチリーナであった。学校の制服を着ている。
チリーナは伯爵家のご令嬢。チリーナが幼少の頃、彼女の家庭教師を務めたのがコンデッサ(当時、高校生)だったのである。
それ以来、チリーナはコンデッサを『お姉様』として慕っているのだ。
そう。
慕っているのだ。
非常に、慕っているのだ。
非常識に、慕っているのだ。
「ご主人様は、お仕事で出掛けてるニャ。帰ってくるのは、明日の夜ニャン」
「そんな! 私はお姉様に会いたくて、飛んで参りましたのに……」
「アタシはお留守番にゃ」
「駄猫の顔を見に来たわけではありません」
チリーナが住んでいる伯爵家のお屋敷は、王都にある。チリーナは文字通り、箒に乗って空を飛んできたのだ。
「チリーニャさんはご主人様から合鍵を貰ったにょを良いことにして、連絡なしで突然やってくる……その悪いクセを直すべきだと、アタシは思うニャン」
「うふふふふ。合鍵、合鍵、愛の鍵~」
聞いちゃいねぇ。
いくらチリーナが欲しがったからと言って、コンデッサは自宅の合鍵を渡すべきでは無かった。あれより以降、チリーナの浮かれ調子はだんだんと酷くなってきている。
ツバキは溜息をついた。
「チリーニャさんは今日はどうして、訪ねてきたニョ?」
用事など、無かったはずだが。
「だって、空が青かったから」
「ニャ?」
「通っている魔女高等学校が本日、臨時休校でしたの。朝方に知らせが入り、それで時間が空いてしまって……なんとなく青い空を見上げていたら、私、急にお姉様に会いたくなって」
「……チリーニャさん、凄いニャ」
「そうでしょう」
「ちなみにチリーニャさん。世界は何のためにあると思うニャン?」
「もちろん、『私とお姉様のために』――ですわ! それ以外に、世界に存在理由などあり得ません」
「……チリーニャさん、凄いニャ」
コンデッサはとっても有能な魔女。加えて、20代の美人さんだ。
ここは、ボロノナーレ王国の端っこにある村。……の外れにある、コンデッサのお家。
お昼時、家の戸が外からいきなり開かれる。入ってきたのは――
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「そう言いつつ、チリーニャさんはもう家の中へ入ってるニャン」
「あら? 駄猫。お姉様は、どこにいらっしゃるの?」
ツバキの前に姿を現したのは、高校生魔女のチリーナであった。学校の制服を着ている。
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そう。
慕っているのだ。
非常に、慕っているのだ。
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「そんな! 私はお姉様に会いたくて、飛んで参りましたのに……」
「アタシはお留守番にゃ」
「駄猫の顔を見に来たわけではありません」
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「チリーニャさんはご主人様から合鍵を貰ったにょを良いことにして、連絡なしで突然やってくる……その悪いクセを直すべきだと、アタシは思うニャン」
「うふふふふ。合鍵、合鍵、愛の鍵~」
聞いちゃいねぇ。
いくらチリーナが欲しがったからと言って、コンデッサは自宅の合鍵を渡すべきでは無かった。あれより以降、チリーナの浮かれ調子はだんだんと酷くなってきている。
ツバキは溜息をついた。
「チリーニャさんは今日はどうして、訪ねてきたニョ?」
用事など、無かったはずだが。
「だって、空が青かったから」
「ニャ?」
「通っている魔女高等学校が本日、臨時休校でしたの。朝方に知らせが入り、それで時間が空いてしまって……なんとなく青い空を見上げていたら、私、急にお姉様に会いたくなって」
「……チリーニャさん、凄いニャ」
「そうでしょう」
「ちなみにチリーニャさん。世界は何のためにあると思うニャン?」
「もちろん、『私とお姉様のために』――ですわ! それ以外に、世界に存在理由などあり得ません」
「……チリーニャさん、凄いニャ」
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