あきらめて!! 第2話

しずな

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第六章 季節の節目

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「ふぅ。あついなぁ。」
もう桜がちり、
桜の木には葉がしげりはじめた。
そして。
この蒸し暑い季節。
私は嫌いだ。なんだか。
なにかが変わっていってしまいそうで。私が知っているものとは変わってしまうようで。なんだか嫌だ。私は今と変わって欲しくないだけなのかもしれない。今のまま、みんなと一緒にいたい。
それだけなのかもしれない。
けど
「まきな?どうした?」
今だけの。
今限定の
この楽しい時間を。
私はこれからも大切にしたい。
みんなといられる、
この楽しい毎日を。
「ううん!なんでもないっ!続けよ!」
ん?今私たちが何をしているかって?それはね!
新しく来る悪魔の卵のベッドの準備なの!
いやー。可愛い子来るかなー。年下がいいな~。年下大好き!!年上は・・・ふつう?だってかわいんだもん!可愛い子大好き~♡♡だって、キーとか、ミューとか、超っっっ可愛いじゃん!私の癒し。っていいながら、ケイとか優しい人も好き。ニューみたいな、ちょっと面倒だけど、かわいくて。頼れる人も好き。
・・・えーっと。なんの話だっけ?
まぁ、今回は何個卵来るんだろう。
この前の一番多かったので・・・んーと。・・・・・・・11個?位?来たんだよねー。でも、今はみ~んな仲良し!
そして
     感情的。
別の意味で。
     感情的。
ちょっと怖い。可愛いのもいるけど。
「ねぇーまぁきなぁ~」
ほら来た。
「かまって~」
「・・・・えっ・・・と??」
「さみしぃい~」
「う~ん」
「赤ちゃんなんてどーでもいいから~」
「えー!?それはね・・・ちょっと。」
「なにぃ~」
「えーっと・・・」
反応に困る・・・。
でも。
今日の夜が楽しみ!
そんなことを思いながら、ベッドにねっころがり・・・
「すぅーすぅー」
準備に疲れて・・・
   寝てしまった!!!!!
『まきなー!!!まきなー!!!』
コノハ?何?
『卵!来るんだろう?』
あっ!そうだった!!忘れてた~。
ありがとうコノハ~!
「キー!!そろそろお兄ちゃんになれるんだから!弟?妹?まぁ、知らないけど下の子達をお出迎えしてあげて!」
「ん・・・俺、お兄ちゃんになんて、なりたくない・・」
ん??今、キーが自分のことを、俺って言った!!!?
かっこいい・・・!
じゃなくてっ!
「え?なんで?この前、レイ兄ちゃんみたいな、お兄ちゃんになりたい、って言ってたじゃん」
「それは、もっとまきなにがんばってる姿見せて、カッコつけようとしてたから。」
「か、カッコつけようとしてたんだ・・・」
「でも、」
「?」
「俺、まきな以外何もいらないから。」
「!!」
「まきなが欲しい。まきな以外何もいらない。」
「えっ?じゃあ、ごはんも飲み物も住む場所もいらないの??」
「えっ・・・・いります・・・」
「でしょ!」
「・・・」
「じゃあ、行ってるね」
「うん・・・」
〝タタタッ〟
「そういうことじゃないんだけどな。まきなが、好きなんだ・・・」
ーそして夜ー
「うわぁ!!これ、なんかいつものやつじゃないね~。ニューが入ってたやつにそっくり!!」
「えっ?俺が入ってた卵覚えてるの?」
「・・・」
ん~。覚えてるんだけど・・・!!覚えてるんだけど!!
そんな可愛い顔で言われたら、なんも言えないじゃないっ!バカっ!
『・・・』
「あれ?でも、ニューの入ってたやつと一緒ってことは、ニューと同じ種族。って言うことは!!!」
〝パカッ〟
「ミューだ!!」
〝ぎゅぅっ〟
「まきなまきなまきなまきなまきなまきなっ!!!!!」
やばいやばい!私の名前が呪文みたいになっちゃってるよ!これ以上言うと何かが起こりそうで怖い・・・
「ミュー??」
「まきなっ?」
「ん~~!!ミュ~!!」
「まきな~~~!!!」
 〝ぎゅ~っっ!!〟
〝すりすり・・・〟
この感じ久しぶり~・・・。
「俺もっ」
「じゃあ、おれも」
キーとニューまで抱きついてきた。
「ふふっ!」
〝パカッ〟 
あれ?
「うぁ!」
何?赤ちゃん??
「ん???」
「僕はミズキ。よろしくね!!」
ん???二重人格?
さっきまで赤ちゃんぽかった気がするんだけど!?
まぁ、
「よろしく、ミズキ!」
「わぁ!!うん!まぁきな!」
・・・やっぱり、二重人格かも・・・。
でも、かわいい!
これからが楽しみだな!

この後で分かったことなんだけど、なんか、変な病気らしいんだよね。でも、人間の病気とは違うみたい。でも、中身の人がケンカする事はないみたい。なんか、不思議。でも、そのケンカが起こったとき、中身の人が出てくるらしい。ん~・・・やっぱなんか変。まぁ、ミューも来たし。これから楽しくなりそう。
今までいられなかった時間を、これで埋めていくの!
よし!なんか、やる気が沸いてきた!
宿題やっちゃおう!
えーっと?
「それは、こうで、こうなるの!xを基にして式をたててみて」
「うーんと、こう?」
「そうそう!」
「へへっ」
なんだか楽しくてすぐ宿題終わっちゃった!
「遊ぼっか!」
「何する~?」
「すごろく!」
「いいね!やろっか!」
その日はみんなで楽しくすごろくをやったの!楽しかったな~。
そういえば、私のココロにはコノハが住み着いてるけど、これも、あの病気なのかな。
『わかんないな~』
『どうした?』
『コノハ!あのね、』
『うん。』
ーそしてー
『あー。それだよ。まきなと俺の関係。』
『ていうことは・・・ケンカしたら、コノハ・・・どっか行っちゃうってこと?』
『まぁ、そんなもんかな。』
『帰ってきてくれる?私の家』
『そりゃもちろん!会えなくなるの・・・寂しいし・・・』
その言葉が少し嬉しかったり。
『そっ・・・か・・』
『ん?どうした?』
『ちょっと嬉しくて・・・』
『ん?何が?』
『え!えっと!!』
『?』
『帰ってきてくれる・・・って言ってくれたから』
『っ・・・!』
『?どうしたの?』
『なんか、照れた』
『はいっ?』
『ん~!もうなんでもないっ!』
『えー!なんで~!』
『ふんっ!』
『もー!』
照れたコノハ・・・初めて見た。
かわいい・・・っ!
「まきな?どうしたの?」
「ん?なんでもないよ。ありがとう。ミュー。」
「へへっ!僕、まきなの役に立った!」
「うん!そうだね。」
「へへ」
〝ぎゅ〟
「?ミュー?」
「やっぱ、僕、ずっとここにいたいな。パパが買ったホテルなんか行きたくない」
そう。ニューのお父さんに、私の家にいる悪魔が多すぎる、と相談すると、ホテル丸ごと買ってくれたのだ。
すごいな~。 
お金持ちは。  そして。
毎日2人ずつ来ることになっているのだ。まぁ、ヴァンパイアの2人は血を飲まないといけないため、年中無休でいるんだけどね。
ミューもヴァンパイア達と同じように過ごしたいということか。
ん~。どうしよう。
「ん~。一週間だけね」
「・・・分かった・・・」
「?」
「えと、もっと一緒に居たかったんだけどなって。」
〝ドキッ〟
なんか、ミューがすごく。いつもよりもかわいく見えた。
「そっか。」
「まだ、このままでいい?」
「!・・・いいよ。」
ミューはそのままぎゅっと私を抱きしめ、フワッとその黒い羽で私を包んでくれた。少し暑いけれど、安心して
・・・
寝てしまった。
そして、ミューの、少し小さくて、白い手に包まれた。眠っていた私が感じた少しの温もり。優しくて。ふわふわとした。これは、ミューのものだったんだ。やっぱりミューは優しいんだな。
「まきな!起きて!」
「ん・・・・」
「見て!!見て!!」
「ん?・・・・
わぁ~~~~~!!
なにこれ~!」
「ん~、新しい卵?かな」
「確かに!」
〝パカッ〟
「タイミング良すぎ!」
「まきな!会ったの初めてだから、初めまして?かな?」
「・・・!!!」
「?」
「もしかして!!コノハ!?」
「当ったり~!なんで分かったの?」
「分かんないわけ無いよ!なんとなく、コノハだなって。」
「そっ・・・か」
照れてる!?かわいい。
「ねぇ?僕の事、忘れてない?」
ミューが怒った顔で私のことを見つめる。
「あっ!ごめんね!」
そして私はミューの頭をなでなで。
「まぁ、良いんだけど。」
ミューは強がる。そして私はミューの頭から手を離す。すると、ミューは私の手を掴む。
「もう!」
「えっ?」
「もうちょっとやって欲しかった・・・な・・・?」
「う~ん、いいよ。」
するとミューの顔はぱぁっと明るくなる。
私はそれをかわいいなぁ、と思い、そして頭を撫でる。
「へへっ。やっぱまきなが1番だね。」
「ふふっ。ありがとう。」
なんか良く分かんないけどイチャイチャしてる風になってしまって、コノハが焼きもちをやいてしまったらしい。
「もー!俺は?」
「んーいい?ミュー?」
「うん!」
「おいで!」
「わーい!!」
〝ぎゅっ〟
「「「あははっ!!」」」
この時間が、とても早くたった気がした。
今は季節の節目。
新しい季節。
新しい出会い
そして、気持ちが芽生える。
新しい
いつかは終わる
この季節。
みんなもいつかはいなくなってしまうのだろう。
私を置いて。
それか、
私が先に死んでいくのかもしれない。
みんなを置いて。
でも私は忘れないだろう。
みんなと過ごしたこの楽しい日々を。
思い出を。
感情を。
だから、みんなも忘れないでね。
私のこと。
私との思い出を。
本当はね、
わたし、みんなのこと
大好き
なんだよ。
この気持ち私は一生忘れないだろう。
なんで私がみんなに気持ちを伝えないか、分かる?
私が死んだ時、
みんなが悲しまないように。
暴走しないように。
長生きする悪魔は人間を恋愛対象に選んではいけない。
なぜかって?
長生きする悪魔にとって人間の一生、つまり生きる年月ははるかに少ない。
そして人間が先に死んでいき、悪魔は残された時間、その人をおもって生きる。
一途な悪魔は本当にそうやって生きているのだ。
{一人のことを思えば思うほど
〝別れは辛いものだから〟}
悪魔の世界のことわざである。
へんなことわざだな、と思うものもいるだろう。でも、これは悪魔にとって、とても大切なことを述べているのだ。
みんなこのことわざを知っているのだろうか。
未来がこわくないのか。
私のことを好きになって後悔しないのか。そんなことが頭をよぎる。
私は
  私は
みんなに幸せになってほしい。
でも、この切実な願いは叶わないだろう。
でも。
きっと叶うと信じてる。
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