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Chapter 1
#2
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「一体…ここは…」
目の前に広がるのはただひたすら、荒れた世界が広がっていたのだった。
吹き荒れる風
舞う砂埃
倒壊した鉄柱
葉が無い樹木
かつてはこの世界に人が住んでいたのであろう形跡は見られた。が、誰一人として人は見当たらなかった。
「おっ?」
よく目を凝らしてみると遠くの方にビルのような建物を見つけた。
しかしそれは遠すぎてどのような状態までは分からなかった。
「というかなんで私はこのよくわからない場所にいるんだろ?」
考えれば考えるほど分からないが溜まっていく。
しばらく考え込んでしまった。
「ア゛ァ゛ァ゛…」
「ん?」
前方の起伏の先から人のような動物のような声が聞こえた。
「誰かいるのかな?」
その起伏の先に向かって進んでいく。
地面は砂だらけだったので思いの外歩きにくかった。
その先にはボロボロの服を着た人がいた。
「あのー」
声を掛けた。もし言葉が通じる人ならここがどこか教えてもらえるかもしれないと思ったから。
しかしそれは人ですらなかった。
「ア゛ァ゛?」
「ひっ!?」
振り返ったその人らしきものはゾンビだった。
体中を寒気がめぐる。
足に力が入らず逃げ出すこともできなかった。
「ア゛ァ゛ァ゛…」
ゾンビが近づいてくる。
「展開っ!展開っ!展開ぃーーー!」
思わず叫んだ。
両手にずっしりとした大鎌が現れる。
「うっ!」
大鎌を使ってゾンビを殴ろうとした。が、鎌は重すぎて構えることすら出来なかった。
そうこうしている内にゾンビが迫ってくる。
「うわぁぁぁー!」
鎌を放り捨てシェルターへ全速力で逃げ帰る。
幸いゾンビは足が遅く追いつかれることはなかった。
シェルターに着き鉄の重いドアを勢いよく閉める。
部屋の隅で丸くなる。
「なんで…なんで私がこんな目に…!」
吐き捨てられた言葉は虚しく部屋消えていった。
そしてしばらく震えていたがゾンビは部屋には入ってこなかった。
「……?」
恐る恐る歩いてそっとドアを開けてみる。
「ひっ!」
そこにはまだゾンビがいた。が、様子がおかしい。
シェルターからある程度の距離を開けた位置にゾンビはいた。こちらにも気づいている様子だがそれ以上は近づいてこなかった。
「どういうこと?」
しばらく悩んでいると、ふとスキルのことを思い出した。
「シェルター……安全地帯……もしかして!」
安全地帯は敵が入ってこれないエリアの事で、その中にシェルターが設置されるのかもしれない。確信は持てないが、恐らくそうだろう。
恐る恐るゾンビに近づく。しかしどんなに近づいてもゾンビが歩いて来ることはなかった。
ゾンビの目の前に立つ。
血まみれのボロボロの服
一部骨が見える肌
片方がない眼球
見れば見るほど吐き気を催す見た目だった。
「ここからなら…展開」
さっき起伏の向こうに捨ててきた大鎌だったがもう一回呼び出すとちゃんと呼び出された。
テレポートでもしてきたのだろうか。
「よいしょっ…」
相変わらずの重さだったがようやく両手で構えられた。
真上に持ち上げて渾身の力を込めゾンビの頭上めがけて振りかざす。
「えいっ!」
「ア゛ッ!」
ゾンビは一歩も動かなかったので容易に倒せた。
頭上から振り下ろされた大鎌の質量によって頭は完全に潰れていた。
「ふぅ…」
ゾンビ1体を倒すのにかなりの体力を持っていかれた。
倒されたゾンビはかなりグロいことになっていた。
自分がグロいのに弱かったら嘔吐していただろう。
「これ、どうしよう……」
しばらく見つめていると死体に異変が現れた。
「えっ!?」
死体は黒い煙を上げて消えていく。
そこに残されたのは…
「黒い…結晶?」
煙の中から現れたのは正八面体の黒い結晶だった。
黒光りしていてさっきまでいたゾンビの血などは全くついていない。乾いた結晶だ。
大鎌を放り投げ拾い上げてみる。しかし手にとって見てもそれはただの結晶だった。
とりあえず結晶をポケットにしまった。
「一体この世界は………」
考えても無駄だと言うことは分かっていた。
しかし、それでも考えてしまうほど、この世界は謎だらけだった。
目の前に広がるのはただひたすら、荒れた世界が広がっていたのだった。
吹き荒れる風
舞う砂埃
倒壊した鉄柱
葉が無い樹木
かつてはこの世界に人が住んでいたのであろう形跡は見られた。が、誰一人として人は見当たらなかった。
「おっ?」
よく目を凝らしてみると遠くの方にビルのような建物を見つけた。
しかしそれは遠すぎてどのような状態までは分からなかった。
「というかなんで私はこのよくわからない場所にいるんだろ?」
考えれば考えるほど分からないが溜まっていく。
しばらく考え込んでしまった。
「ア゛ァ゛ァ゛…」
「ん?」
前方の起伏の先から人のような動物のような声が聞こえた。
「誰かいるのかな?」
その起伏の先に向かって進んでいく。
地面は砂だらけだったので思いの外歩きにくかった。
その先にはボロボロの服を着た人がいた。
「あのー」
声を掛けた。もし言葉が通じる人ならここがどこか教えてもらえるかもしれないと思ったから。
しかしそれは人ですらなかった。
「ア゛ァ゛?」
「ひっ!?」
振り返ったその人らしきものはゾンビだった。
体中を寒気がめぐる。
足に力が入らず逃げ出すこともできなかった。
「ア゛ァ゛ァ゛…」
ゾンビが近づいてくる。
「展開っ!展開っ!展開ぃーーー!」
思わず叫んだ。
両手にずっしりとした大鎌が現れる。
「うっ!」
大鎌を使ってゾンビを殴ろうとした。が、鎌は重すぎて構えることすら出来なかった。
そうこうしている内にゾンビが迫ってくる。
「うわぁぁぁー!」
鎌を放り捨てシェルターへ全速力で逃げ帰る。
幸いゾンビは足が遅く追いつかれることはなかった。
シェルターに着き鉄の重いドアを勢いよく閉める。
部屋の隅で丸くなる。
「なんで…なんで私がこんな目に…!」
吐き捨てられた言葉は虚しく部屋消えていった。
そしてしばらく震えていたがゾンビは部屋には入ってこなかった。
「……?」
恐る恐る歩いてそっとドアを開けてみる。
「ひっ!」
そこにはまだゾンビがいた。が、様子がおかしい。
シェルターからある程度の距離を開けた位置にゾンビはいた。こちらにも気づいている様子だがそれ以上は近づいてこなかった。
「どういうこと?」
しばらく悩んでいると、ふとスキルのことを思い出した。
「シェルター……安全地帯……もしかして!」
安全地帯は敵が入ってこれないエリアの事で、その中にシェルターが設置されるのかもしれない。確信は持てないが、恐らくそうだろう。
恐る恐るゾンビに近づく。しかしどんなに近づいてもゾンビが歩いて来ることはなかった。
ゾンビの目の前に立つ。
血まみれのボロボロの服
一部骨が見える肌
片方がない眼球
見れば見るほど吐き気を催す見た目だった。
「ここからなら…展開」
さっき起伏の向こうに捨ててきた大鎌だったがもう一回呼び出すとちゃんと呼び出された。
テレポートでもしてきたのだろうか。
「よいしょっ…」
相変わらずの重さだったがようやく両手で構えられた。
真上に持ち上げて渾身の力を込めゾンビの頭上めがけて振りかざす。
「えいっ!」
「ア゛ッ!」
ゾンビは一歩も動かなかったので容易に倒せた。
頭上から振り下ろされた大鎌の質量によって頭は完全に潰れていた。
「ふぅ…」
ゾンビ1体を倒すのにかなりの体力を持っていかれた。
倒されたゾンビはかなりグロいことになっていた。
自分がグロいのに弱かったら嘔吐していただろう。
「これ、どうしよう……」
しばらく見つめていると死体に異変が現れた。
「えっ!?」
死体は黒い煙を上げて消えていく。
そこに残されたのは…
「黒い…結晶?」
煙の中から現れたのは正八面体の黒い結晶だった。
黒光りしていてさっきまでいたゾンビの血などは全くついていない。乾いた結晶だ。
大鎌を放り投げ拾い上げてみる。しかし手にとって見てもそれはただの結晶だった。
とりあえず結晶をポケットにしまった。
「一体この世界は………」
考えても無駄だと言うことは分かっていた。
しかし、それでも考えてしまうほど、この世界は謎だらけだった。
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