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410 降臨
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<モレクのところ>
モレクはアニム王たちを入り口に入れて後は放置していた。
「さて、これで大丈夫ですね」
そういうと、両手をフレイアに向ける。
フレイアの周りに白いもやのようなものが漂い、渦巻いて行く。
そのもやが濃くなるに従って、モレクの身体がシワシワになっていく。
・・・
モレクは干からびたミイラのような感じになっていた。
「・・ふぅ・・・これで・・アリス・・」
そういうと、指にはめていた指輪が抜け落ちて、床に転がった。
モレクはそのまま床に倒れ、動くことができない。
意識はまだあるようだ。
フレイアを覆っていた白いモヤがフレイアの形を成していく。
バチバチと放電しているのだろうか。
フレイアの身体を形作って、モレクに問いかけているようだ。
『欲深き生き物よ。 何故、我を呼ぶ』
どうやらモレクの頭の中に直接呼びかけているようだ。
『・・おぉ、あなたが邪神様ですか』
モレクが頭の中で答える。
『何故、貴様の命を賭して我を呼ぶのだ。 我はただのエネルギーの集合体。 呼ばずとも必要な時が来れば現れる』
そのエネルギーの集合体は言う。
『・・すべての破壊を・・』
モレクはそう頭の中で思うと、ゆっくりと蒸発していく。
『愚かな生き物よ』
エネルギーの集合体はそうつぶやくと、山頂にいた飛行船団がすべて爆発した。
モレクの生命活動が停止すれば、爆発するように設定されていた。
魔石を使った極大魔法が発動。
炎の渦が山頂一帯を覆う。
ウベールたちは爆発を感じた直後、飛行船に戻った。
爆発は赤黒く渦巻き、山頂を吹き飛ばしていた。
・・・・・
・・
しばらくすると、山の上半分ほどの領域がなくなった景色が現れた。
フレイアのいる聖櫃とアニム王の下っている空間がむき出しになっている。
アニム王たちは異変を感じ、即座に防御魔法を展開。
とりあえずは難を逃れた。
上をみれば星空が輝いている。
だが、そんな星空を悠長に眺めている暇はない。
吹き飛んだ山の中心部に、アニム王の防御魔法を越えてビリビリと感じるエネルギーの波動。
アニム王の背中に冷たい汗が流れる。
アニム王と同行している神聖術師たちは、その波動を受けた瞬間に失神したようだ。
今、意識あるのはアニム王とアリアンロッドだけだ。
「王様・・あのエネルギー・・なんでしょうか」
アリアンロッドにもわかっていた。
だが、聞かずにはいられない。
「アリアンロッド・・おそらくあれが邪神王なのだろう」
アニム王はそのエネルギー体の方を見ながら答える。
青白く光る塊。
時折人のような姿も見えるが、青白い煙が周りを覆っている。
上空からも青白い煙が、ゆっくりと渦を描きエネルギーの中心に吸い込まれていく。
大爆発でモレクにより運ばれていた、刻印を施された人間はすべて消滅。
邪神教団員も消滅。
それらのエネルギーが青白い煙となって取り込まれていた。
アニム王にはわかっていた。
もはやどうしようもないだろうということが。
アリアンロッドはアニム王を見つめている。
「アリアンロッドよ・・私の認識が甘かったようだ。 もしかすれば、抑えることができると考えていた。 そのために魔力も温存してここまで来た。 だが・・」
アニム王はエネルギー体の方を見ながらつぶやく。
アリアンロッドにもわかる。
すべてが無駄であることが。
帝国の精鋭をすべて集めても無理だろうと思える。
肌に伝わる圧倒感。
どうしろというのだ。
何もできないではないか。
見ることしかできない。
おそらく私の持てる魔力をすべてぶつけても、あのエネルギーを削れるとは思えない。
聖属性の武器や防具をもってしても、ダメージを与えるどころではない。
防御すら不可能だろう。
理解を超えたエネルギー体だ。
アニム王はそう思って、その場で見つめていた。
!!
青白いエネルギー体の周りにで渦を作っていた煙のようなものがなくなっいく。
ゆっくりとエネルギー体が動く。
どうやら人のような形を成している。
しかし、どこかで見たような感じがする。
わからない。
アニム王はただ見つめていた。
エネルギー体:邪神王はゆっくりと上昇し、アニム王たちのいる方向へ近寄って来る。
アニム王の前面5メートルくらいのところにそっと舞い降りる。
青白く鈍く光る人型の塊。
その人型の塊を見て、言葉が出た。
アニム王は意識してのことではない。
「・・フレイア・・」
邪神王がピクっと動いたような気がした。
すぐに右腕がゆっくりと持ち上げられアニム王の目線のやや上で固定。
邪神王の腕がパッと白く光ったかと思うと、まるでレーザーのような光の筋が空中へ向けて放たれた。
アニム王は急いで振り返る。
◇
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