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406 武装ロイドとの死闘
しおりを挟むアサシンはテツを見つつ、気持ちを落ち着けて聞く。
「あなたは空から降ってきましたね。 そんな反応はなかったのですが・・何者なのです?」
「俺は地球人だが、お前こそ何者だ?」
俺が聞き返すと、アサシンは返答する。
「あなたのその感じ・・不思議です。 それに私のイリュージョンの効果がないようですし、わかりません。 ですが、私は戦うだけです」
アサシンはそういうと、ゆっくりとテツとの距離を保って移動する。
俺もその動きを見つつ、武装ロイドにまとわりついている黒い霧のようなものを見ていた。
!!
アサシンが一気にテツに迫ってくる。
武装ロイドの右腕のブレードが振り下ろされる。
俺は飛燕で受け流しつつ、左側に身体を躱す。
武装ロイドのブレードがそのまま地面を斬る。
その刹那、俺は右掌打を武装ロイドに放つ。
ドン!!
武装ロイドの黒い霧のようなものは、俺の神光気を受けると消えるようだ。
その黒い霧が消えた、武装ロイドの側面に俺の掌打の型が入り、そのまま武装ロイドが少し吹き飛ぶ。
アサシンは驚いていた。
まさかこの武装ロイドの中にいて、衝撃を感じるとは思ってもいなかった。
信じられない。
だが、事実だ。
すぐに現実を受け入れて警戒レベルを引き上げる。
俺は黒い霧に触れ、武装ロイドに触れてわかった。
これは凄まじいまでの人の命が使われているものだと。
吐き気がしそうだ。
・・・
サッサと終わらせよう。
飛燕を武装ロイドに向けて、自分の正面に構える。
「ハッ!」
飛燕に白金とでもいえばいいのだろうか、光が剣を覆っていた。
その直後、俺に声が届く。
「テツ、そのアサシンはウルダの仇だ!」
ルナの声が聞こえた。
・・・
俺の中から迷いが消える。
俺は武装ロイドをまっすぐに見つめ、言葉を出した。
「・・貴様がウルダさんの・・あんないい女、なかなかいないぞ!」
・・・
は? ルナがその言葉を聞き、怒気を削がれたようだ。
俺にしては真剣に答えたつもりなのだが。
俺は飛燕を構えつつ、言葉を続ける。
「それにしても、今触れてわかった。 いったいどれだけの人を喰ったんだ?」
その言葉が聞こえたものは一瞬硬直していたようだ。
いったい何を言っているのだあの人は。
みんなの共通認識だっただろう。
武装ロイドがかすかに震えたようだ。
「フフフ・・アハハハハ・・これはいい。 あなたいいですね。 むしろこの武装ロイドのために役立ったのです。 良いことではありませんか」
武装ロイドは右腕を顔に添えて、のけ反るようにして答える。
ただ、アサシンがその仕草を演出しているのだが。
「魔物も人も死ねば消滅する、自然に還るんだ。 だが、そんな呪いのようなものに喰われたらどうなる? 意思もなにもなくただエネルギーの媒体となっているのだろう・・地獄だ」
俺はそこまで言うと息を整える。
アサシンもその雰囲気を感じたのか警戒をし出した。
アニム王はどうやら邪神王の復活の方へ向かって出発したようだ。
「あなたは・・何かと目障りですね。 少しくらいこの武装ロイドと戦えるからと言って、いい気にならないでもらいたいものです。 私は神に選ばれたのです。 あなたみたいな下賤な生き物と会話すらすべきではないのです。 さて、言葉も飽きてきました。 あなたを取り込もうと思っていましたが、どうやらお腹を壊しそうなので処分いたします」
アサシンがそう言うと、武装ロイドにまとわりついていた黒い霧のようなものが渦を作り、武装ロイドの表面に吸い込まれていった。
俺の後ろからルナの声が聞こえる。
「・・暗黒闘衣か」
「フハハハハ・・さすがヴァンパイアですな、よくご存知で。 ですが、今の私は遥か上位のものですよ。 まぁいいでしょう、死になさい!」
武装ロイドが一段と黒くなり、光を吸収しているような感じだ。
その右手の黒いブレードを前に突き出し、テツに急接近してくる。
俺はその剣先を見つつ、少し左に避け光る飛燕で剣の軌道をずらした。
武装ロイドから針のようなものが飛び出してくる。
俺はバックステップをしつつ、息を吐きだす。
「ハッ!!」
俺の身体を金色の光が覆う。
飛び出してきた針のようなものは、俺の光るところに触れるとすべて消失していた。
アサシンは驚きつつも、そのまま身体を回転させてブレードを横薙ぎにテツに斬りつける。
俺も十字に切り結ぶ感じでアサシンのブレードを受ける。
ガン!!
金属音のような音がする。
俺は飛燕で切り結んだまま、武装ロイドに向けて一歩踏み出していく。
飛燕を武装ロイドの右腕に沿って横一文字に移動した。
「うぉぉぉおお!!」
唸りながら武装ロイドの背後へ俺は抜けていった。
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