どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

文字の大きさ
上 下
402 / 426

402 完成型武装ロイドとの対峙

しおりを挟む



<帝都広場>



アサシンの言葉を聞き、少し安心したアニム王だが、確実に邪神王の復活は近いのだろう。

だが、どこで復活をさせるのだろうか。

それが知りたいとアニム王は思っていた。



アニム王は少し迷ったが、直球で聞いてみることにした。

「君はその邪神王の復活に立ち会わなくていいのかね?」

「・・私もあなたたちを片づけたら向かう予定です」

アサシンは答える。



なるほど、この帝都で復活というわけでないようだ。

それに、この場所からそれほど離れているわけでもないということか。

そのうちに連絡も入るだろう。

だが、まずはこの目の前の怪物を何とかしなければならない。

そう思いながら、アニム王は口を開く。

「なるほど・・ということは、君は捨て駒というわけですね」

アニム王も、これくらいの辛口はいつでも言える。



アサシンはその言葉を聞き、少しピクッとなったが無視。

「王様、いさぎよく邪神王の糧になるのであれば、痛み無く送って差し上げますが、いかがいたしますか?」

アサシンがそう言うと、アニム王の横を高速で何かが飛んで行った。



ビュン!!



アサシンは思わず左腕で受ける。

ガン!!

受けた直後、自分の左腕がなくなった映像、ウルダの時の戦闘が浮かんだ。

武装ロイドの左手首から先が吹き飛ばされる。



左腕に当たり、突き抜けていく物体はウルダの斧だった。

武装ロイドの左手首を吹き飛ばしてなお、斧は飛んでいき遠くの地上に突き刺さったようだ。

アニム王はゆっくり後ろを振り返ると、ルナが立っていた。

「貴様にやられたウルダの斧だ。 受け取れなかったようだな」

ルナは微笑みつつ、言葉を発していた。



武装ロイドの左手首の部分を黒い霧が覆い、再生していた。

アサシンの手首が飛んだわけではない。

ルナの方を見て言う。

「クックック・・なるほど、サキュバスの飼い主というわけですな。 ですがお分かりと思いますが、あなたでは私は倒せない」

アサシンの言葉を聞きながらルナは無言で見つめている。



ルナもそんなことはわかっている。

だからこそ物理武器の斧を投げつけたのだ。

だが、少し意外だった。

斧が弾かれるのかと思っていたら、あの武装ロイドの左手首を吹き飛ばしていた。 

すぐに回復したようだが。

まさかウルダが戦ったわけではあるまいが、全然倒せない敵というわけでもないようだ。

ルナがそう思ったように、アニム王もそう考えていた。

絶望ではない。

とにかく、ダメージは与えれるようだ。

だが、それがどれほど与えれるのかがわからない。

そして、ルナに頼ることもできない。

ルナが戦えば、最悪相手を強化するかもしれない。



この場で戦えるのは、アニム王を含めレアたち数名といったところだろう。

その先行きを考えると気が重くなる。

そして、モタモタしていると本当に邪神王が復活してしまう。

何としても、それだけは阻止しなければいけないと思っていた。

だが、この場を離れるわけにはいかない。

しかし、邪神王に備えて魔力も無駄遣いするわけにはいかない。

アニム王がそう考えていると、念話が入る。

『王様、お待たせいたしました。 邪神教団の動きですが・・』

アニム王は武装ロイドを見ながら会話している。

『うむ』

『魔素を隠すスキルなのでしょうか、わかりにくく移動しておりましたが、どうやら帝都から西、少し移動した場所に山があるのです。 我々調査団も調べたのですが、魔素がその山へ滝のように流れています。 おそらくその場所が一番怪しいところと思われます。 お急ぎを』

調査団からの念話を聞いていた。

『ご苦労様でした、ありがとう。 引き続き監視をよろしく頼みます。 くれぐれも無理をしないように』

『了解しました』

念話を切り、武装ロイドに向かって歩き出す。



武装ロイドに搭乗しているアサシンがアニム王を見つめる。

「王様、この武装ロイドと戦うおつもりですか? はたしてできますかな?」

アサシンはそういうと、魔力を解放していた。

「イリュージョン!」

アサシンの武装ロイドから濃い紫色のような黒色のような影が一気に広がって消える。

騎士団員の中の一人がつぶやいていた。

「・・か、母さん・・」

それに続いて、いろんな言葉があふれてくる。

「・・あれは・・」

「まさか、レア様が・・」

・・・・

・・

どうやら自分の親近者や心にある人などが見えているようだ。

アニム王はレイソードや聖属性の武具で身体を覆っているために影響を受けないでいられたみたいだ。



騎士団員も聖属性の武具は持っているが、攻撃用だけだ。

レアのロイヤルガードたちでさえも揺さぶられていた。

聖属性武具を防具として備えているものは、個人的な趣味のあるもの以外にはいない。

相手の幻影に惑わされていないものは片手で数えるほどもいないだろう。



しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

処理中です...