どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

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397 アムブロシアの秘薬

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アニム王が意図してかどうかわからないが、帝都を築いた。

その場所の近くに、剣山つるぎさんという山がある。

周辺の地名にも神を冠する地名が多数存在する。

この星の住人が知ってか知らずか、とにかく霊的なものを感じたのかもしれない。

その山に大きな魔素だまりがあることが判明した。

この星を調べていたのだが、いろんなところに魔素だまりがある。

その魔素が使われることなくよどんでいた。



魔素の流れを丁寧に見ると、いろんな魔素だまりに向かって流れている。

そして、その中でも大きな魔素の流れを発見。

どうも帝都方面向かって流れているというか、集まっているような感じだった。

その流れの中心が剣山と呼ばれる山だった。



まるで滝が流れて落ち込んでいく感じだ。

これほど膨大な魔素が集まっている場所はめったにない。

ただ、少しの不安もあった。



その魔素が負のエネルギーだけを集めているのではなく、単に流れているということだ。

邪神は負のエネルギーのみを媒体とする。

魔素のエネルギーに負のエネルギーが混じり集まり流れている。

だからこそこの場所を選んだのだが、負のエネルギーだけを見ても凄まじいものだ。

家畜も役立つだろう。

そしてこのハイエルフ。



すべてがまるでこの瞬間のためにあるかのような感じさえする。

だが、邪神王の完全復活の時間まで、邪魔が入らないようにしたい。

アサシンたちに武装ロイドを利用させて、時間を稼いでもらえればいい。

あの数の魔核を利用すれば、誰も対処はできまい。

アサシンが最後に残っても、結局は邪神王の糧になればいい。

モレクの頭の中のシナリオは完成していた。



モレクはフレイアに向かって話す。

「ハイエルフ殿、私は少々長く生きていましてね。 あなた方エルフと同じくらいでしょうか、800年は超えていると思います」

フレイアはその言葉を聞きつつ、ジッとモレクを見ていた。

・・・!

フレイアは目を見開き、ハッとした表情でモレクを見る。

「・・あなた、まさか・・」

モレクはうれしそうに微笑み答える。

「気づきましたか。 そうです、アムブロシアの秘薬を使っております」

「な、なんてことを・・・」

フレイアは口に手を当ててつぶやき、震えていた。

モレクは平然とした顔で言う。

「ハイエルフ殿、何をおびえているのです。 負のエネルギーを得るためには効率が良いではありませんか。 むしろ、邪神王の復活に役立つのです。 名誉なことですよ」

「・・ひどい・・」

フレイアは言葉がでない。



アムブロシアの秘薬:人の生命エネルギーを集めて結晶化する。 

それを繰り返し純度を高めていく。 

禁忌中の禁忌。 

誰も恐ろして試したものはいない。 

お話にある程度だった。 

中途半端なものとしては、賢者の石などと呼ばれているものがある。 

10万人ほどの命を犠牲にして、小石程度のものしかできないとされている。 

見たものはいない。

その小石をさらに結晶化して純度を高めて作られる秘薬。

飲むと不老不死が得られると言われていた。



「そうですねぇ、私がいただいたのは、これくらいの完成したアムブロシアの液体でしたが、不死は得られないようです。 不老は得られたようですがね」

モレクがそう言いながら両手でおにぎりくらいの大きさの形を作っていた。

フレイアが驚いた顔をして言葉を出す。

「・・それって、もしかしてあのお話にあるザナドゥの虐殺・・」

それほどの大量の人の命が削られたのなら、大虐殺の歴史があっても不思議ではない。

そして、そんな物語もあった。



モレクは少し驚いたようだ。

「ほう、よくご存知ですな。 さすがハイエルフです」

モレクがそういうとフレイアがつぶやく。

「・・誰でも知っているおとぎ話よ・・」

フレイアのその言葉を聞き、モレクが笑いだす。

「・・クックックック・・アッハハハッハ・・。 おとぎ話ですか・・いやいや、これは失礼。 実話なのですけれどね」

モレクの言葉を聞き、フレイアは驚きが大きすぎて、すぐに言葉が出てこない。



「・・実話ってあなた、まさか・・・」

モレクは大きくうなずき、言う。

「そのザナドゥの人間ですよ」

「・・そんな・・」

フレイアは動くことを忘れていた。



「ザナドゥは、物語にあるような理想郷ではありません。 魔法と機械技術の融合した超高度文明社会だったのですよ。 まぁ、ハイエルフのあなたに死の手向けとしてお聞かせしますか・・」

モレクは深く座り直し、話し出す。

自分でも珍しく饒舌になっていると思うが、邪神王の復活は確実だ。

それが気分を高揚させているのだろう。



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