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389 邂逅(かいこう)
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泉たちはギルドを出て帝都の街を歩きながら、神殿へと向かっていた。
小野が街並みを見て、その活気のあるのに少々驚いていたようだ。
「泉さん、この街は賑やかですね。 いろんなものがあります。 それに人ではないものもいるようですし・・」
泉はニコニコしながら頷いている。
そんな中、泉たちの前から銀色の鎧をまとった3人組が歩いて来る。
帝都騎士団の隊員だ。
何やら警備の事で話し合っているようだ。
「・・で、あのところが弱いな・・」
「俺もそう思うよ。 カズヤはどう思う?」
「俺は、まだまだ見習いだからな・・・」
そう言いながら泉たちとすれ違う。
!!
カズヤは一瞬でわかった。
キョウジだ。
だが、なぜここにいる?
「・・すまない、先に行っててもらっていいかな。 ちょっと寄り道したいんだ」
カズヤが騎士団員たちに言っていた。
「あ、カズヤ。 また受付のロディーネさんに会いに行くんだな?」
「まぁ、あまり遅れるなよ」
銀色の鎧を着た騎士団たちにカズヤはからかわれながら、騎士団員たちは人の中へ消えて行った。
カズヤは覚悟を決めて、泉たちの後ろからキョウジに近づいて行った。
キョウジの背中が見え、3メートルくらいに近づいた時だ。
キョウジが立ち止まる。
泉と小野がどうしたんだ? という感じでキョウジを見る。
キョウジは背中越しに声を発した。
「カズヤか。 久しぶりだな」
そう言ってカズヤの方をゆっくりと振り向いた。
左の袖が風になびく。
カズヤは声が出せない。
キョウジはカズヤを見て笑う。
「アッハッハッハ・・カズヤ、何緊張してんだ」
キョウジのその声で、カズヤは少し緊張が緩んだ。
「キョウジさん、ご無事だったんですね」
「アハハ・・無事だったと言っていいのか」
キョウジはそう言って右腕で左腕のところをポンポンと叩く。
「見ての通りだ、左腕がない。 だが、この帝都では身体の欠損を治してくれるという。 本当かどうかわからないが、来てみた次第だ」
キョウジは普通に話してくる。
「・・そうですか。 確かに神殿なら身体欠損も回復できると思います」
カズヤがそう答えると、キョウジはうなずく。
「カズヤ、お前騎士になったんだな」
キョウジはそう言いながら、なるほど、なるほどとうなずいている。
キョウジの後ろから泉と小野が近づいてきて、小野が声をかける。
「キョウジさん、この方はいったい・・・」
「あぁ、昔の俺の後輩ですよ。 今はこの国の騎士になっているようですが・・」
キョウジがそう返答し、少しの間たわいない会話をした。
・・・・
・・
「じゃあなカズヤ。 しっかりやれよ」
キョウジがそういうと、カズヤが名残惜しそうな顔をして言う。
「キョウジさん・・・ありがとうございました」
そういって深々とお辞儀をしていた。
キョウジはその挨拶を背中に受けながら、泉たちとゆっくりと歩いて行く。
「今日は、本当に意外なことばかりねぇ・・キョウジさんがあれほど尊敬されているなんて・・」
小野がつぶやく。
「小野さんねぇ・・・俺はこれでも自衛官だった時は優秀な隊員だったんですよ」
キョウジは笑いながら言う。
小野は全く信用していない顔で泉を見た。
泉は微笑みながら歩いている。
◇◇
<元連合国本部>
戦後処理も進み、連合国を名乗っていた集団はロシア西部にまとめて集められていた。
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だが、強制労働や虐待はない。
各街にはギルドが設置されてはいたが、今までと変わらない生活が保障されていた。
シュナイダーやジェームズ、その他各国の主要な人たちは、いったい何のための戦争だったのかと思う時がたびたびあった。
あれほど大騒ぎしておきながら、今では普通の生活を送れている。
無理に戦争しなくても良かったのではないのか?
初めから話し合いできたかもしれない。
だが、それは終わってみてから言えることであって、戦争を始める前にはわかるはずもない。
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