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<連合国side>
連合国側の旗艦に搭乗している艦長によって、国務長官たちは退却をした。
それを確認すると前方を見つめ、決断を下す。
「全艦隊に指示。 状況を見つつ撤退、もしくは降伏せよと」
艦長の指示に皆一度艦長を見たが、無言で自分の仕事をこなしていく。
これは、戦いなどと呼べるものではない。
ワンサイドゲームだ。
まさかここまでの力の差があるとは思ってはいなかった。
相手の戦力は人間だけだった。
誰が想像できただろうか? 無理だろう。
もし、頭で理解したとしても、誰でも自分たちの戦力を考えれば同じ結果になったに違いない。
いや、そう考えること自体が間違いの始まりだったのかもしれない。
とにかく、今生き残っているものだけでも無事に帰還させてやりたい。
艦長はそう思い、機関の停止及び白旗の掲揚を命じていた。
ただ、少し遅い決断だったが。
・・・・・
・・・
結局残ったのは旗艦と数隻の戦艦。
武装ロイド10機ほどだった。
◇◇
<アニムside>
フローラの前に、1機の武装ロイドが出てきていた。
左腕が損傷しているようだ。
前方で停止すると、人が現れた。 セーラだ。
ゆっくりとフローラの方へ近寄って来て降伏の意思を伝える。
「フローラ殿、よろしくお願いします」
「はい、わかりました。 セーラさんもお疲れ様でした。 後はご安心を」
フローラがそう答える。
「フローラ殿、レア殿がおられないようだが・・・」
セーラが聞く。
「・・レア様は今、少し休んでおられます」
そういって、後方のセレネーの方を見る。
「そうですか・・ご面会したかったのですが・・」
セーラがそう言うと、
「そうですね、セーラさん。 レア様のところまでどうぞ行かれてください。 そろそろ目を覚ます頃だと思います」
フローラがそう告げると、セーラは驚いた顔を見せた。
まさか、こんな戦闘中に寝ていられるのか・・。
全く・・初めから戦闘ではなかったわけだ。
セーラは自嘲気味に笑うと、フローラに礼を言い、左腕を押さえつつレアのところへ向かって行く。
フローラはセーラの背中を見送ると、現場の処理を始めていた。
生き残った人を集め、負傷者の振り分け、武装解除などなど。
セレネーの前方からセーラが近づいて来る。
レアが目覚めたようだ。
「う、うぅん・・」
辺りを見渡し、セレネーを見て言う。
「セレネー・・戦闘は終わったようですわね」
「はい」
「セレネー、私また暴走しようとしてましたか?」
セレネーは無言でうなずく。
「そうですか・・おや? あれはセーラさんですわね」
レアがそういうと、セーラが左腕のところを右腕で押さえながら、レアの前に来た。
「レア殿、この度は・・何と言いますか、申し訳ございません・・」
レアを一度見つめ、下を向いてセーラが言う。
「セーラさん、もう済んでしまったことですわよ。 それよりも・・セレネー」
レアがそういうと、セレネーがセーラに回復魔法をかけた。
セーラの身体の傷はすぐに癒え、左腕が再生した。
!!
セーラは自分の身体を何度か確認して、レアに言う。
「レア殿・・これは・・」
「セーラさん、戦闘は終わりました。 後は同じ人ですわよ。 お戻りになってお伝えください。 負傷者がおられれば、今からエリアヒールで回復いたしますわ。 それに身体で欠損されている方がおられましたら、こちらへお連れくださいな」
レアがそう言いながらセレネーを見る。
セレネーもうなずいている。
セーラはすべてを理解できたわけではない。
だが、とりあえずレアたちにお礼を言って、部隊へと帰っていく。
セーラは帰路、思っていた。
我々とは次元が違う。
敵である自分の回復を、戦闘後即座に何の敵意もなく行う。
そして、同じ人だと言った。
それに比べて我々の種族はどうだろう?
そういったことができるのか。 できはしないだろう。
休戦、停戦してもすぐに約束を破る。
騙し合い、化かし合い、そんなことで小さな利益を得ようとする。
・・・・
いったい、何のための戦争だったのだ。
セーラの頬に自然と涙が流れていた。
我々の種族は、今もしかして、より高い次元への進化の過程に直面しているのではないだろうか?
それを受け入れれる種族との選別を受けているのではないのか?
そんなことを考えながら移動していた。
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