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368 メリッサ
しおりを挟む<アニムside>
メリッサの身体を金色が混じった白い光が覆う。
そのまま武装ロイドの中へ駆けだす。
連合国側は、いきなり前面に現れた白く光る人を見て驚いたようだが、武装ロイドが応対、殴りかかってくる。
メリッサはそれを軽く左手で受け止めると、手首を捻ってそのまま腕をもぎ取った。
右手で武装ロイドに正拳突きのような突きを繰り出す。
武装ロイドに当たった瞬間に、武装ロイドは消滅。
そのまま衝撃波が、メリッサの突きの延長線上を突き抜けていく。
その線上にいた武装ロイドは当然被害を被る。
消滅するもの、半壊するものなど。
メリッサの武装闘気、そのままで攻撃力となる。
弱い魔物など触れるだけで消し飛ぶ。
まして、レベル24くらいの魔石を使った道具など何の役にも立たなかった。
◇◇
<連合国side>
戦艦の艦橋内に写っているモニターを見て皆つぶやいていた。
武装ロイドの展開しているところで、ただ白く光ったかと思うと味方が消えている。
「・・いったい、何が起きているのだ」
「・・左翼に展開していた武装ロイドの方でも大きな光が見えたぞ」
「上空では金色の光が・・」
もはや、混乱という言葉以外にない。
それらの総指揮艦艇に搭乗しているジェームズは、眼前で起こっている事態をただ見つめていた。
金色の光の筋が地上から突き抜けたかと思うと、雲の間から金色の龍が暴れ出す。
左翼では白いカーテンのようなものが揺らめいたと思うと、爆発の光が見える。
「・・何が起こっているのだ」
小さな声でつぶやきながら、艦長を見やった。
艦長も前面の状況を見ながら震えている。
・・なんだこの状況は? わからない、いやわかっている。 我が方がやられている。
相手にこちらを攻撃するような物体はなかった。 ただ街と人が数人いただけだ。 なのに、なんだこれは・・・。
そう思っていると、オペレーターから声が飛ぶ。
「艦長! 前衛の戦艦群が消滅しました。 なお被害拡大中」
その報告を受け、艦長は一つの決断を下す。
ジェームズの方を見て、軽くうなずく。
ジェームズがゆっくりと艦長に近づいてきた。
艦長が耳打ちをして、ジェームズが驚いた顔をする。
「か、艦長・・しかし・・」
艦長はゆっくりと首を左右に振る。
「国務長官、いえ今は違いましたな。 ですが、それが現時点で最善の判断です。 3人の報告員と護衛を付けます。 今しかないのです。 よろしくお願いします」
手短に話すと、手元にある受話器を取り何かを伝えていた。
この艦長の動きを捉えたものは誰もいない。
皆、前面の戦闘状況に見入っている。
すぐに、艦長のところに1人の女性士官が現れ、艦長に挨拶すると、静かにジェームズと共に去っていった。
ジェームズは艦長の指示によって退去及び現状の報告を連合国本部へ頼まれた。
現在までの状況などは記録されている。
それを持ってジェームズ以下4人が戦闘機を改造した飛行艇で、現場から離脱した。
◇◇
<アニムside>
メリッサの武装闘気が完成したようだ。
全身を白い光が覆い、それが鎧のような形を成している。
メリッサが二周りくらい大きくなったように感じる。
武装ロイドよりもやや小さいが、そんな感じだ。
その白く光るメリッサが動く。
敵陣営をジグザグに動いて行く。 動くたびに武装ロイドが消える。
連合国側の攻撃は全く通用しない。
バルカンなども弾いているのかどうかもわからない。
とにかく白い光に向けて放つが、まるで手ごたえがない。
暖簾に腕押しという感じだ。
メリッサは武装ロイド群を抜けて、戦艦群の直下に来ていた。
「ビルレースト!」
そう叫ぶと、戦艦群に向けて右拳を振り上げる。
メリッサの周りに集まって来ていた武装ロイドが、ふわっと浮いたかと思うと、光の束と共に上空へ向かって行く。
白い光は虹色の輝きも伴いながら、戦艦群を空へ向かって突き抜けて行った。
メリッサの放った光は、戦艦群を6隻は完全に消滅させていた。
周りでは被害を受けた戦艦がゆっくりと地上へ落下し出している。
「あぁ・・私、もう我慢できませんわ」
レアが涙目になり、震えながら言う。
セレネーがレアを見て汗を流している。
「レア様・・」
「セレネー、私も参加してよろしいのですね? ね?」
レアの目が完全に陶酔している。
セレネーは冷静に言う。
「レア様、おやめください。 戦場が荒れてしまいます」
レアにセレネーの言葉が届いているのかどうかわからない。
レアは両腕で自分を思いっきり抱きしめて、ただ震えている。
「あぁ・・もう・・メリッサったら・・」
メリッサのビルレーストを横に見て、エリスがレイピアを抜き構えていた。
前方には武装ロイドが展開している。
◇◇
<連合国side>
エリスを前方に迎え、武装ロイドを展開していた艦隊群の最前列の戦艦の艦橋。
「観測員、左舷の爆発光や魔法と思われる光、どれくらいの被害が出ているのか?」
艦長が聞いていた。
「はい、今集計しておりますが現段階でわかっているところでは、前列の艦艇の数隻は消滅しております。 また、中央付近に位置しておりました艦艇も、先程の金色の光でかなりの規模で損害を受けた模様です。 そして、今左舷に光った白い光では6隻の戦艦が消滅しました・・」
観測員は冷静を装いつつ報告をした。
艦長はその報告を聞きながら前方を見つめる。
観測員の横にいた違う観測員が報告する。
「前方に人らしき影を確認。 モニターに表示させます」
そういうと、艦橋に設置されたパネルに映し出される。
ほっそりとスラッとした髪の長い女の人が写っていた。
その右腕には細い剣が握られいる。
まっすぐにモニターに向かい、にっこりと微笑むと画面から消えた。
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