362 / 426
362 次の行動に移るようだ
しおりを挟む<アニムside>
「ねぇ、テツ」
「ん?」
「こんな時になのだけれど、テツの子供たちの面倒を見ている女の人って、テツの奥さんなんでしょ?」
フレイアが微笑みながら聞いて来る。
「あぁ、そうだけど、どうしたんだ?」
「うん、テツたちのいた社会システムでは、つがいというか、奥さんは一人だけだったのでしょ・・」
「そうだが・・」
ぼんやりと俺も答える。
「そうか・・でも、もうその社会システムもなくなったんだよね?」
「う~ん・・そうなるよな」
フレイアが変なことを聞いて来る。
これってもしかして・・・。
「じゃあ、テツが今の奥さんの他に女の人がいてもいいわけね」
「・・・・・」
俺は黙ってフレイアを見つめる。 そして聞いてみた。
「フレイア・・それって・・」
「うん。 もし、よければ私も一緒にそのシステムに入れてもらってもいいかなって思って・・いや、シルビアが一緒でも私は一向に構わないけど・・」
フレイアがはにかみながら言っている。
言いにくかっただろうに・・ありがとう。
「フレイア・・ありがとう」
俺はまずそう声をかける。 フレイアの目が大きくなってとてもうれしそうな顔をしている。
「フレイア・・フレイアの気持ちはわかっている。 俺もフレイアがいつも横にいてくれるから安心していられる。 でも、それって夫婦っていう契約は必要なのかな? 気持ちがつながっているだけではダメかな?」
俺がそういうとフレイアが不思議そうな顔でこちらを見る。
俺は続けて、
「いや、フレイアと一緒になりたくないっていうんじゃないんだ。 今の嫁・・結婚当時に俺の眼力が不足していたといえばそれまでだが、その不足が今を得ていると思えば何とも言葉がない。 失敗とか成功とかそういうのじゃないと思う。 ただ、前のシステムで結婚という契約をした。 俺たちの意識では到達できない神という前での契約・・」
そういうと、フレイアが「神は何もしてくれないぞ」とつぶやく。
俺はそれを耳にして、笑いながら続ける。
「フレイアの気持ちはわかっている。 俺もフレイアに傍にいて欲しい。 今の嫁は子どもたちのためには、どうしても必要だと思う。 そして、俺みたいな男でも、居るというだけで子供たちもつながっている。 俺が変に道を踏み外さない限り、子供たちにも影響しないと思う。 フレイアを連れてきたときにも、子供たちは変に疑うことがなかった。 きれいなお客さんという感じだ。
まぁ、俺が甲斐性なしだから仕方なかったとも、今なら思える。 捨てるとか捨てないとかじゃない。 なんていうのかな・・うまく言葉にできないけど、フレイアはエルフだから長命種だ。 今の嫁が死んでからでも遅くはないし、それまでは今のままのパートナーじゃダメかな? あれ? そういえば、他種族と交配するとエルフの祝福がなくなるって言ってなかったっけ?」
俺はそんなことを言ってみた。
「ううん。 私は、ハイエルフになっているからエルフの拘束はないの。 今まではハイエルフになるには交配期が過ぎてしまっていたからね。 まぁ、交配期といっても人の寿命よりは長いと思うけど・・そうね・・そういった関係もアリなのかもね。 テツとはずっと一緒にいられるわけだし・・」
フレイアがそんな答えを返してくれた。
!!
フレイアがハッとしたような顔をしてこちらを向く。
「でもテツ! 奥さんが亡くなる寿命じゃテツも亡くなるんじゃない?」
「・・そうだよなぁ。 う~ん・・・まぁ、子供たちが全員優くらいの年齢になったら、その時にきちんと考えてみてもいいかな?」
俺はそう答えてみた。
「・・そう・・答えはまだおあずけね。 でも、ありがとうテツ」
フレイアがそういって俺を見る。
「いや、フレイア。 こちらこそ本当にありがとう・・」
俺はそう言うと、そっとフレイアに顔を近づけ、優しくキスをした。
俺たちはしばらくその場で顔を寄せて、優しい風に包まれながらいた。
俺の心の声。
ここで突っ込まれるだろう、既婚者だろうにと・・違うぞ。
キスくらいでは、握手と変わらないぞ!
舌を絡めたくらいでも、どうってことないぞ。
だが、これは俺だけの価値観だ。 社会的な価値観には合致しないのも知っている。
ただ、病気は怖いな・・。
時間は20時過ぎ。
スバーハ隊長がわざと足音を大きくして歩いて近寄って来る。
「お邪魔しますよ、テツ殿、フレイア殿。 時間があまりありませんので失礼します。 さて、こちらの方は何とか終わりました。 我々は次の行動に移行します」
フレイアが少し慌てていたようだ。
スバーハが説明してくれる。
捕虜や残った戦艦を連れて帝都に向かう部隊と、進行してミランのいる部隊との合流地点に向かう部隊に分かれるそうだ。
帝都まで行けば、捕虜から情報が完全に得られる。
まぁ、ルナさんもココもいるしな。
今の段階で得た情報によれば、異世界人は反アニム連合みたいな感じで結束しているそうだ。
邪神教団などはすべて自害して、存在がつかめない。
だが、確実にいるのは間違いない。
反アニム連合の連中は、隷属の首輪などを利用して、地球の兵器に魔核を埋め込まれた人をそのまま魔力の供給源としていたという。
だからこその攻撃力だったようだ。
・・・気分悪いな。
それを地球人が知っていたかどうかはわからないらしい。
まぁ、それらはすべて帝都へ行けば判明するだろうとも言ってくれた。
10
お気に入りに追加
362
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる