どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

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336 シャドウエルフ

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ハーブティらしきものを作ってくれているようだ。

俺はカウンターに座りながら、いい匂いがするなぁと思った。

しばらくすると、きれいな白いカップにうっすらと紅茶の色のような透明感のある飲み物が出てきた。

「テツ、それは精神的に安定させる効果があるの。 それに後これ!」

そういうと、ザッハトルテを出してくれた。

「テツ、そのチョコケーキ好きでしょ?」

フレイアも一緒に食べるみたいだ。

「いただきます!」

俺はそう言って、飲み物を一口飲む。



これは・・・俺はフレイアの顔をみた。

「フレイア、これって見た目の透明感と違って、すごく深い味がするね。 濃い・・でも、嫌な味じゃない」

俺がそういうと、フレイアがにっこりとした。

そして、ザッハトルテを一口食べると、入り口が開いた。

カラン、カランと音を立てながら入って来る人が2人。

ルナとシルビアだった。



「おや、テツではないか」

ルナが言う。

「おはようございます、ルナさん」

俺は席を立ち、挨拶をした。

ルナはゆっくりと歩いて近寄って来る。

フレイアは慣れた手つきで、ルナに出すものを作っている。

ルナは俺の横に来て座った。

俺も座る。 シルビアはルナの向こう側に座っている。



「フレイア、常連ってルナさんのことだったのか」

俺は聞いてみた。

カウンター越しに、そうよという返事がある。

「テツはどうしてここにいるのだ?」

ルナが聞く。

俺はガルムのおやじの内容を話した。

・・・・

・・

「なるほどな・・。 まぁ、魔石を集めるのならダンジョンが効率が良いだろう。 私はダンジョンを作るだけだから、どんなものがあるのか知らないがな。 

そうだ、シルビア。 お前、テツについて行ってやれ!」

ルナが軽く言う。

一瞬、フレイアが止まったような気がしたが、すぐにルナにハーブティーとチーズケーキを出している。

「わ、私がですか?」

シルビアが答える。

「うむ。 テツと初対面でもあるまい。 お前もレベルを上げた方が良いだろう」

ルナはチーズケーキを食べながら言う。 これがやめれないな・・などとつぶやきながら食べていた。



シルビアが少しして、

「わかりました、ルナ様。 では、テツについて行ってきます」

「うむ」

ルナは食べるのに忙しそうだ。

俺も残りのザッハトルテを食べる。

しかし、簡単に決まったな。

ただ、フレイアが少し不機嫌な気がするのは気のせいではないな。

フレイアの目をチラっと見る。

俺を凝視している。

俺は目線を外して、また見てみる。

凝視している・・・あの、バジリスクじゃないですよね、あなた?



「フ、フレイア、ごちそうさま。 えっと、いくらになるのかな?」

俺は意味なく焦り、聞いてみた。

フレイアがジッと見ている。

「・・テツ。 別にお金は必要ないわよ。 このカフェも提供してくれたんだし、あなたは特別扱いよ」

無事に嵐にならずに済んだのか?

俺はホッとした。

俺の横にシルビアが来て、

「テツ、よろしく頼む」

そういって、俺の腕に絡んできた。

!!

胸のボリュームは相変わらず強烈です! ハイエルフのフレイアよりも凄いです。

そんなことが頭に浮かんだ。

チラっとフレイアを見る。

・・ダメだ。 目が合わせられない。

万事休すとはこのことか!!



!!



「そうだ! シルビア、フレイアにも聞きたい。 ダークエルフもレベルアップすればハイエルフになったりするのか?」

この質問は良かったようだ。

フレイアもシルビアとのやり取りのことなど、どこかへ消えた雰囲気だ。

二人とも考え込んでいる。

・・・シルビア、自分のことだろ? 考えてどうする!

やっぱりバカなのか?

俺は不安になる。



すると、ルナが口を開いた。

「テツ。 ダークエルフはハイエルフになどなったりはしない。 属性が違うのだ。 なれる可能性があるとすれば、シャドウエルフだろう」

「シャドウエルフ・・」

俺はその言葉をただ繰り返していた。

「なんか妙に響く言葉ですね」

俺は思ったままを言ってみる。

「ふむ。 そう感じるか、テツ。 ならば、シルビアもそうなるだろう」

ルナはそういいつつ残りのチーズケーキを食べていた。

「ま、シルビア、よろしくな」

俺はそう言うとシルビアとパーティを組んだ。


そんなドタバタを演じていると、後ろのテーブルに座っていた冒険者だろうか、話している内容が聞こえて来る。

「・・聞いたか。 ダンジョンで30階層に行っていたパーティのプローメスの話」

「あぁ、噂になってるな。 パーティメンバーを見捨てて逃げて帰って来たとか・・・」

俺は一瞬動きが止まってしまった。

「何せバジリスクに睨まれて石になったのだとか・・」

「そりゃ、仕方ないな。 でも、よくそれで無事に帰って来れたな」

「それがだ。 誰かがそのバジリスクたちを倒したみたいなんだ」

「ほんとか? あのバジリスクだろ? いったいどうやって・・って、誰だ、それ?」

「それがわからないらしい・・。 でも、あっという間に倒して消えたらしいぞ」

「そんなに強いのだったら、もっと早く助けてやれなかったのだろうか・・」

・・・

そんな無責任な会話が聞こえてくる。

俺は動けなかった。

するとルナが立ち上がって、その会話のところへ近寄っていく。

冒険者たちは驚いたようだ。

「「な、なんだお前は?」」

ルナは気にするでもなく言う。

「お前たち、その逃げ帰って来たパーティに同情しているのか?」

冒険者たちはうなずく。

「・・愚かな。 自身の力に見合わないことをすれば、当然の結果だ」

冒険者たちはその言葉に反応する。

「で、ですが、その近くにバジリスクを倒す力を持った人がいたという話です。 どうして助けられなかったのかなと思って・・・」

段々と小声になりながら言っていた。

「フッ、なぜ助ける必要がある」

ルナがそう言うと、冒険者たちは目を大きくしてルナを見つめた。 ルナは続ける。

「そのパーティを助けた者が強くなるのに、助けられた者は協力したのか? その者は、自分の命を削りながら強くなっていったのだろう。 何故、他の者を助ける必要がある」

冒険者たちは押し黙っている。 ルナはさらに言葉を被せる。

「自分たちが弱いからといって他をあてにするべきではない。 それに自分の力を顧かえりみないものは自分自身で滅びるのだ」

・・・ルナさん、俺の心が痛いです。

俺のレベルは、アニム王にいただいたギフトみたいなものなんです。

心の声です、はい。



ルナはそういうと冒険者に背中を向けて席に戻ろうとする。

冒険者がつぶやいた。

「あの、あなたはいったい?」

その言葉を聞くと立ち止まり、軽く後ろを見て、

「ルナだ」

そういうと席に戻った。

冒険者たちはその言葉を反芻はんすうしていた。

!!
黒髪の美女!

突然見つめ合うと、言葉をそろえて言った。

「「ヴァンパイアだ!!」」



時間は9時30分頃だろう。

俺は早速ダンジョンへ向かおうと思っていた。

フレイアもどうにか落ち着いている。

ルナとフレイアに挨拶し、俺とシルビアはダンジョンに向かって歩いていった。



そういえばシルビアの武器って、槍みたいなものを扱っていたはずだが・・。

そんなことを思いだして、聞いてみた。

「シルビア、初めて俺に会った時に使っていた武器だが、槍みたいなものを持っていたけど、それが扱いやすいのか?」

「いや、私はエルフ族だ。 弓などの飛び道具が得意なんだ。 あの槍はその場しのぎの武器だ。 今は、ドワーフの店で作ってもらった弓がある」

そういって、弓を見せてくれた。

アイテムボックスから取り出すと、黒いやや大きめの弓だ。

シルビアの背丈の7割くらいの大きさがあるんじゃないか?


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