どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

文字の大きさ
上 下
309 / 426

309 ドワーフ、ガルムのおやじ

しおりを挟む





そんなことをしていると、子供たちが起きてきた。

「おはよう・・あれ、パパ! おはよう!」

凛が元気よく挨拶してくれた。

「おはよう、凛」

「どうしたのパパ。 ここで朝ご飯食べるの?」

・・・

凛が無邪気に聞いてくる。

「・・いや、ちょっとご挨拶に来ただけ・・・」

俺が苦しまぎれに答える。



「ふ~ん・・・」

「凛、朝ご飯食べて、学校へ行く準備しなきゃ」

嫁がそういうと、凛は席についた。

「パパさん、今忙しいから、また今度聞くわ!」

嫁がそういうと、皿を並べていた。

そりゃ、忙しいよな。 完全に邪魔をしたようだ。

颯はまだ起きてこない。



俺は、よろしくお願いしますというと、嫁の家を後にした。

いったい、本当に何しに行ったんだろう。

愚痴ぐちを言うにしても今じゃなくてもいいだろうに。 

タイミングが悪すぎるな。



ゆっくりと歩きながら、フレイアのところを目指す。

しかし、妙なものだ。 あれほど嫁にムカついていたのに、おかしいな・・・。

俺自身の変化は、お金ができて、自分のレベルが上がる。

それだけだ。

・・・・・

俺の心に余裕ができたのか?

よくわからない。

ただ、そういった感情はどこかに消えた・・・とまではいかないが、小さくなったのは事実だ。

変なものだな。



フレイアのカフェ? の前に来た。

ドアをノックしてみる。

奥の方から声がした。

しばらくすると、ドアが開かれて、金髪のきれいな髪がフサァと揺れる。

!!

俺は一瞬目を見張った。

「おはよう、テツ。 どうしたの?」

フレイアが聞いてくる。

「あ、あぁ、おはようフレイア。 いや、ちょっと立ち寄ってみただけ・・・」

俺がそういうと、まぁ中に入ってと言われて、そのまま入っていく。



中に入ると、リビングがカフェ風になっていた。

テーブルが2つ置いてあり、後はカウンターになっている。

どことなく森のイメージが浮かぶ空間だ。

いろんな薬草なんだろう、壁際の棚にいっぱい並んでいた。

鉢植えになって、育てているものもある。



「フレイア、すっかりイメージが変わったな、ここ・・・」

俺がそうつぶやくと、

「そう思う? これでも、まだまだと思っているのだけれど・・・」

フレイアはそういいつつ、俺に卵焼きを出してくれた。

「テツ、卵焼き好きだったでしょ。 どうぞ」



・・・やっぱ、料理スキルを上げようね、フレイア。

そう思いつつも、いただいた。

味はいいんだよ。 ただ、見た目だな。



「おいしいよ。 ありがとう」

俺はそういうと、フレイアにこれからどうするのか聞いてみた。

「私は学校へ通ってみるけど、テツはどうするの? もし外の世界に行くのなら一緒に行きたいのだけれど・・・」

フレイアが言いにくそうに話している。

「いや、いいんだ、フレイア。 俺も迷っているんだ。 少し考えてみるよ」

俺はそういうとフレイアに卵焼きのお礼を言い、席を立つ。

入り口まで見送ってくれる。



「テツ・・・」

フレイアが握手を求めてくる。

俺は微笑みながら握手を返す。

すると、グイッと軽く引き寄せられた。

俺の頭を軽く両手で抱え込み、俺のほほにキスをしてくれた。

「テツ、あまり無理をしないでね」

ゆっくりと俺から離れる。

・・・・

俺はその瞬間に、フレイアの胸を見てしまった。

確かに、俺の身体にボリュームを感じさせていた。

胸を見て、フレイアを見る。

もう一度胸を見て、フレイアを見ようとしたら、ボディを殴られた。



ボコッ!



「・・ったく。 せっかくの雰囲気が台無しよ!!」

フレイアは両腕を組み、俺をにらむ。

「ごめん、フレイア・・つい・・・」

これは男のさがなのかもしれない。

それに今の俺には、どんな女の人に対しても、その好意に応えることができそうにない。



昔からそうだった。 

特定の彼女というのがいなかったが、だからといって遊び人というわけでもない。

人を好きになるってよくわからない。

そういえば、彼氏がいる女の子がいて、彼氏が浮気したから私もするとか言って俺と1年近く遊んだ奴もいたな。

結局、その男のところへ戻ったが。

何となく、こちらの方を振り向かせようとして無理だったので、疑似失恋みたいなのを感じたこともあった。

人のものが欲しいわけじゃない。

う~ん・・なんだろうな。



嫁さんにしてもそうだ。 

なんとなくタイミングで結婚したような気がする。

人が大切・大事というのはわかる。 命を懸けて子供たちを守ることもできるだろう。

ただ、好きっていう感覚がどうもしっくりこない。

俺は頭の隅でそんなことを考えながら、フレイアのところを後にする。

また、今度きちんと考えよう。

長いことフレイアが見送ってくれていた。



特にあてもないが、これからのことを考えながらギルドへ向かっている。

・・・・

やっぱり学校に通って、基礎を学ぶのもいいかもしれない。

基本なんて全然学んでないしな。

それからダンジョンもアリだよな。

う~ん・・・。



ギルドへ向かう途中で、ドワーフ、ガルムのおやじの店が目に入った。

少しのぞいてみよう。



時間は7時30分前だ。



ドワーフの店の前、少し目線を上にしてみると、書いてある。

レベル25未満お断り。

初めは見えてなかったからな。

そんなことを考えつつ、扉を開く。

「いらっしゃい」

おやじの声が聞こえて、すぐに明るい声に変わった。



「おはようございます。 テツさんじゃありませんか。 これは都合がいい」

ガルムのおやじはカウンターから立ち上がって、俺の方へ歩いて来る。

「すみません、都合がいいって言葉が悪いですが、テツさんにお願いしたいことがあるんです」

ガルムのおやじは続ける。

「実は、魔石が欲しいのですよ。 ギルドにも依頼を出しているんですが、さっぱりでして・・・。 レベル35くらいの魔石が欲しいのです」

ガルムのおやじは真剣な顔で俺を見ている。

「おやじさん、どうしたんだ?」

俺も聞いてみた。

「詳しくは言えませんが、個人的な依頼でどうしても高レベルの魔石がいくつか必要なのです。 ですが、ギルドではせいぜいレベル20前後くらいの魔石しか集まってないのです。 どうしようかと迷っていたところに、ちょうどテツさんが来てくださって・・・まさかワシの思いが伝わったのですかね?」

ガルムのおやじが、ガハハ・・と笑っていた。

おやじ、笑い事じゃないぞ。 変な想像してしまったじゃないか。

気持ち悪いぞ。



しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

処理中です...