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296 大統領の決断
しおりを挟む「あら、大統領という方ではないのですね。 取り次いでもらえるかしら。
急がなければ国を失うことになっても知らなくってよ・・」
レアがそういうと、キースがレアたちの後ろから出てきた。
「自分はニューヨーク市警のキースであります。 ニューヨークも正体不明の怪物に襲われて壊滅状態になっております。 そんな中、この方たちに助けていただいたのですが・・・・」
キースはそう話しながら、ジェームスと会話し、レアの要件をとりなした。
・・・・・
・・・
レアたちは監視されながらも、奥の部屋へと案内される。
ジェームズは考えていた。
いきなり地下施設に現れて、扉を作る能力を持っているようなバケモノだ。
できるだけ刺激をしてはいけない。
それに、相手が危害を加える気なら、すでに全滅しているだろう。
そう考え、思い切って大統領に合わせてみようと思った。
ジェームズに連れられて、レアたちはさらに奥の部屋に案内された。
途中、軽快な服を身にまとった美人たちが歩くので注目を浴びる。
レアは気にもしない。 他の連中も相手にしなかった。
時間は6時前になっている。
行き止まりの部屋の前まで来ると、ジェームズは暗証番号を押し、扉を開ける。
重い扉をゆっくりと開いて、
「ジェームズです、入ります」
そういって、ジェームズが入っていった。
中で大統領にジェームズが説明している。
・・・・・
・・・
「どうぞ」
ジェームズがそういって、レアたちを中へ招き入れる。
中には大統領と補佐官。 ほかに20人ほどの人が集まっていた。
当然軍人もいた。
レアたちが入って来ると、全員がレアたちを見つめる。
レアがそのまま歩いて行き、迷うことなく大統領の方を見る。
「あなたが大統領という方ですわね。 私、レイドルド帝国皇女、レアと申します。 あなた方でいうところの異世界の人間ですわね」
レアがそういうと、皆が驚いて言葉を失っていた。
大統領が無言でジェームズを見る。
ジェームズもまた大統領を見た。
・・・異世界人・・・。
まさか、そんなことが・・・。
だが、そう考えれば納得できる。
最後の審判でもなんでもない。 いや、それに近い現象か。
ただ、受け入れるには時間がかかるようだが。
「大統領というと、この国のトップの方ですわね。 それでは・・・」
レアがそういうと、セレネーがレアの方を見てうなずく。
私が説明いたします、といって話し始めた。
今、この状態がどういうものなのか。
レアたちの転移。
魔物がどういったものか。
レベルや魔法というものが存在することなどなど・・・・・。
・・・・・・
・・・・
・・
時間は9時を過ぎていた。
結構な時間が経過したようだ。
ジェームズ達は下を向いて無言でいた。
大統領が先に言葉を発する。
「国務長官、彼女等の言葉は信用に値する。 そうでなくては、この状況が説明できない」
「大統領、私もそう思います。 にわかには信じられませんが、それ以外に考えられません」
ジェームズがそういうと、一人手を挙げているものがいた。
国防長官のトーマスだった。
大統領が発言を許可する。
「レア殿に伺いたいのですが、我々地球人もそれなりの文明はもっております。 その中で、魔物対しては武器や軍事兵器が使えなくなりました。 どういうことかおわかりでしょうか?」
トーマスは恐る恐る聞いていた。
レアではなく、フローラが答える。
「私が代わりに答えましょう。 それは貴国の建造物などに魔素を含んでいないからですよ」
「魔素?」
トーマスは聞き返す。
「魔素というのは、存在するすべての物質に備わっているエネルギーみたいなものです。 それを利用せずに技術力だけで行っているのですから、脆弱になるのは当たり前です。 そして我々が転移してきたということ、魔物の出現などを考えれば、今までの自然システムが改変されたと理解できるでしょう」
フローラは当たり前のことを丁寧に説明したつもりだ。
理解できたかどうかはわからない。
トーマス達はお互いの顔を見合わせてオロオロしている。
レアが言葉を発する。
「大統領、とにかく今すぐに対処しなければ、あなたたちの国民は死に絶えるでしょう。 魔物とのレベルが違いすぎます。 生き残っている人を集めて魔素を含んだ城壁で区切らないといけませんわ」
!!!
レアがそういうと、大統領と国務長官や周りの人たちは顔を見合わせてうなずいていた。
決まれば行動は早い。
大統領が決断し、レアの言う通りに指示を出していく。
街を作るにしても、最大でも20万人単位で区切らないと、強い魔物が現れるとも付け加える。 今はそんな心配は無用だが。
早速、それぞれのステータスボードを確認し、施設内の全員に魔法やレベルのことを伝えていった。
当初は驚き、うろたえていたが、そこは現代人。
ゲームなどで慣れていたようだ。
すぐに順応していく。
・・・・・・・
・・・・
・・
時間は14時を過ぎていた。
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