どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

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295 NYからワシントン?

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時間は5時30分。



「おい男。 落ちるなよ」

アウラがそういうと、キースを軽く肩にかつぐ。

「レア様、こちらです」

フローラがそういうと、駆け出した。



キースは驚いた。

グッと身体が重くなったかと思うと、息がしづらい。

そこまで思ったら気絶していた。

フローラは、ハッとした表情をして、キースの身体に風魔法をかけていた。

移動速度は、テツやフレイアの速度と変わらないだろう。

もしかしたら、こちらの方が速いかもしれない。



ワシントンに到着したようだ。

街は壊滅状態。

到着と同時にレアたちは魔物を掃討していた。

レベルも30前後の魔物がいたが、大したこともなく軽く終了。



「アウラ、その男・・まだ寝ているのか。 気楽なものだな」

メリッサが言う。

「どうだろうか?」

アウラはそういうと、男を肩から降ろし、頬を軽くはじいてみた。



「・・うぅ・・あれ? ここは・・・」

男はボヤ~ッとしながらも、辺りを見渡していた。



!!!

ここは、ワシントンじゃないか?

あれ? さっきまでニューヨークにいたぞ。

・・・夢なのかな? 

頬をつねってみる。

!! 痛い。

夢じゃない。 だが、どうやって・・・。

男がそこまで考えていたら、レアが声をかけてきた。



「キースさん、さ、大統領のところへ案内してくださるかしら。 急がないと、皆さん死んでしまいますわよ」

!!

レアのその言葉に、キースは余計なことを考えるのをやめた。

そうだ。 人がいっぱい死んだ。 

今は、なんでもいい。 

一人でも多くの人が助かるなら・・・それに、この女の人達は魔物を撃退していた。

きっと力になってくれる。 

SF映画のようだが、そんなことはどうでもいい。

キースはそう思うと、ホワイトハウスへとレアたちを案内した。

フローラがキースの記憶から読み取り、すでにホワイトハウスの近くまで来ていたのだが。



ホワイトハウスも原型をとどめてはいなかった。

地上には人影はない。

レアたちが建物周辺をゆっくりと歩いていると、セレネーが声を出す。

「レア様、この辺りに人の魔素の反応を感じます」

そういって、ホワイトハウスのあったであろう場所を指さしていた。

キースはその指先を見ていて、そういえば地下施設もあったようなことを聞いたことがあることを思いだした。

入り口はわからなかったが。



セレネーが歩きながら、

「レア様、この辺りで魔素を強く感じます」

そういうと、フローラが近寄って来て、地面に手を付けた。

手の触れたところが光ったかと思うと、地面が盛り上がり扉が出来上がっていた。

フローラが扉を開けると、地下施設へつながっているようだった。



キースは目の前で起きていることが理解できなかった。

夢でもこんな不思議なことはないだろう。

400キロある距離を一瞬で移動し、一般には知られていない地下施設への入口を一瞬で作ったりしている。

・・・いったいなんだこの女の人たちは・・・

そればかりがキースの頭の中でこだましていた。



「フローラ、ご苦労様。 では行きますか」

レアがそういうと、エリスが先行して入っていく。

腰まである濃く蒼い髪をなびかせて、ゆっくりと歩いて行く。

ファッションモデルでも真似できないような、優雅な足取り。

ブーツを履いているが、ヒールの音が聞こえてきそうな感じだ。

ドアをくぐり、階段を降りていくと、中にいた人たちが驚いてこちら見る。



皆、言葉を出せないようだ。

いきなりドアと階段が出来たかと思うと、そのドアが開き、見たこともない美人が歩いて入って来る。

皆、硬直していた。

初めに入ってきた女の人に続き、続々と美女が入ってきた。

その中の黒髪の美女が声をかける。



「ごきげんよう。 この中に大統領という方はおられますか?」

レアがよく透る声で聞く。

その場にいる者たち全員が、何が起こっているのか理解できない。

女たちの後について、男が入ってきた。



セレネーが一歩踏み出して、声を震わせながら言う。

「・・このクズどもが・・レア様が声をかけてくださっているのに・・・」

そこまで言うと、レアが言葉をさえぎる。

「もう一度、うかがいますわ。 大統領という方はおられるのでしょうか?」

レアがそういうと、男の集団の中から一人の男が出てきた。



「失礼しました。 私はこの国の国務長官をしているジェームズというものです。 あなた方はどういった方々でしょうか」

さすが大国の長官だけのことはある。

現状の理解は難しいが、状況にはとりあえず対処できるようだ。



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