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267 メサイア・・・
しおりを挟むメサイアがチラッと俺の方を見たが、そのままキョウジに向かい合う。
・・・あぁ、女の人たちか・・
この人たちが邪魔で全力を出せないのかもしれない。
俺はそう思うと、女の人たちに近づいて行った。
俺が近寄ると、ビクッとして身体を震わせている。
・・・こりゃ、ダメだな。 そう思って、フレイアを見た。
フレイアが気づき、近寄ってきてくれて女の人たちを移動してくれた。
メサイアが剣を抜きつつ、キョウジを見ている。
キョウジは周りの出来事はどうでもいいらしく、メサイアを見ていた。
「・・ねぇちゃん、手加減できねぇかもしれねぇぜ」
そういうと、両手で構えた。
「ほざけ!!」
メサイアも声を出す。
!!
徒手格闘か!
なるほど・・・あの動きはそうだったのか。
海上自衛隊では普通教えないが、陸上自衛隊では教えていたな。
キョウジが一歩踏み出したと思うと、一瞬でメサイアの位置にいた。
そして、メサイアの胸をなぞるように触っていく。
そのままメサイアの後ろへ移動。
あの野郎・・・うまいことやるな。 って、そんなことを考えてる場合か!
メサイアは驚いた感じだったが、かろうじてキョウジの動きを捕らえているようだった。
「き、貴様・・・」
メサイアが怒っている。
「ん~~。 いいねぇ・・ねえちゃん、柔らかいな・・上玉だ」
キョウジはそういうと、自分の手を舐めていた。
メサイアは剣を真正面で構えると、何かを詠唱しているようだった。
「はぁぁあ!!!」
炎を纏った剣だ。
あれは、俺がヒュドラを倒したときに使ったのと同じようなものか?
俺はそう思ってみていた。
メサイアが剣を振ると、剣戟と炎の魔法のダブル攻撃を繰り出してるような感じだ。
剣が当たらなくても、その軌道には炎の帯が出来ている。
触れれば、その魔法の餌食になるだろう。
だが、キョウジには当たらなかった。
キョウジはメサイアの剣を避けつつ、メサイアの身体を触りまくっている。
胸、おしり、背中など・・。
首筋などは、そのまま舌で舐めてもいた。
・・・それだけ力量の差があるということだ。
レベル差をもってしても、これだけ実力差があるということか・・。
この場で勝てる奴なんて、いないんじゃないか?
俺はそう思ってしまった。
キョウジもそれを直感的にわかって行動しているのだろうとも思った。
「・・すみません・・・あの性格さえなければ、素晴らしい人なんですが・・・・」
カズヤが俺の横でつぶやいていた。
俺はそのまま聞き流す。
何度やってもメサイアの剣はキョウジに当たる気配がない。
・・・・・
・・
メサイアの息が上がってきてるんじゃないのか?
そう思ってみていると、剣の炎が消えた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・貴様・・・」
メサイアは苦しそうに剣を構えている。
「そろそろかな・・」
キョウジはそういうと、メサイアの剣を持っている腕を迷わず折った。
剣はそのまま手から離れ、地面に刺さる。
「うぐっ!」
メサイアの顔が歪む。
「お、声を上げないのか? ますます気に入った」
キョウジはもう片方の腕も折る。
「ぐっ、がっは・・・」
メサイアは痛みを耐えているのだろう。 息もしづらそうだ。
キョウジがゆっくりとメサイアを抱きかかえて、メサイアの顔を舌で舐めあげた。
「ぐっ、き、きっさっまぁ~!!」
メサイアが叫んでいた。
・・・そろそろだな。
俺が一歩踏み出してキョウジのところへ近づこうとした。
カズヤが「あ!」といって、俺の方へ手を伸ばそうとしていたが、手をひっこめた。
俺は気にすることもなく、そのままキョウジへと向かって行く。
キョウジの近くまで来て一言。
「おっさん、それくらいで、死ね!」
・・俺も言うようになったな・・なんて思っていた。
「なんだてめぇ・・」
キョウジはそういうと、メサイアを地面に置いて、いきなり襲い掛かってきた。
迷わず俺の首を手刀で打ちつけてくる。
こいつ、躊躇ないな!
俺は感心した。
ただ、その動きは俺には余裕で見える。
それを躱して、キョウジの足を払ってみた。
キョウジは俺の足に引っかかりながらも、転ぶことなく態勢を整える。
キョウジの顔が変わっていた。
真剣な顔を俺に向ける。
・・・俺も瞬間的にわかった。 こいつはヤバい!
キョウジが拳をトントンと反対側の掌に打ちつけたかと思うと、突っ込んできた。
どうも、この男・・見えにくい感じがする。
感じが薄いというか・・・何かのスキルだろうとは思うが。
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