262 / 426
262 狙撃だと?・・・いったい、誰だ?
しおりを挟むこんな単純な戦術なんだが、一般人ができるものでもないだろう。
誰だ?
泉か?
いや、しかし、あいつは横須賀方面で街を作っていたはずだ。
それに迷わず攻撃してきた。
・・・やっかいだな。
◇◇
「おい、何かあったのか?」
城壁の上にいる狙撃手に声をかける男がいた。
「あ、小隊長。 今、堀のところで金色の長い髪が見えたので撃ったところです」
狙撃手が答える。
その回答を聞きながら呆れた顔でいう。
「お前なぁ、いきなり撃ってどうするんだ。 金色の髪って・・・何だろうな?」
小隊長と呼ばれる男は、狙撃手に近寄って双眼鏡で眺めていた。
「・・・・・・」
双眼鏡で見ながら、
「おい、土煙とくぼ地が見えるだけで、何もいないぞ」
「・・・すみません」
「・・・まぁ、魔法と銃の融合で、小銃が戦車の銃砲くらいの威力になっているからな。 それに、お前の狙撃手の職種も合わさって・・・とにかく、隊長に報告しておくよ。 警戒を怠るなよ」
「はい」
微笑みながら、狙撃手に声をかけていた。
二人とも夜だが、スキルでよく見えるようだ。
小隊長はそういうと、城壁を降りて行った。
狙撃手は小銃を立てて、抱え込むようにして座って土埃がおさまるのを見つめている。
小隊長は歩いて、隊長のところへ向かって行く。
城壁の中は、小さな町になっていた。
とりあえず、人が生活するのがギリギリのような町というか村だ。
それほど広くはない。
城壁の中で生き残っているのは、20人ほどだろうか。
建物がいくつか建っている中心部に、3階建ての建物がある。
そこを目指して歩いていたが、ヨロヨロと歩いている女の人がいた。
小隊長が近づいて行くと、ビクッとして後ずさる。
「どうしたんだ?」
小隊長は声をかけるが、相手は震えながら言葉にならない言葉をつぶやきながら、腰が抜けたようにその場にしゃがみこんだ。
「・・・ふぅ・・またか・・・」
小隊長はもはや言葉にすらならなかった。
女は異世界人だ。
当初はいろいろ知識を共有して、街づくりを一緒に行ってくれていた。
・・・・
だが、隊長の悪い趣味の犠牲になっていた。
毎日、女を抱く。
それだけならいいが、普通じゃないようだ。
自分にはそんな趣味はないのでわからないが、日を重ねるごとに女たちが疲弊していく。
小隊長は現役陸上自衛官、練馬の普通科連隊の隊員だった。
魔物が現れ、治安出動したが、何の役にも立たなかった。
そのうち、連隊は魔物襲撃を受け、横の連携がなくなった。
小隊長は自分を含め3名だけを確認し、言葉を悪く言えば逃げてきた。
どう考えても、戦車を持ち上げて振り回す魔物と肉弾戦をする気にはなれない。
目の前に戦おうとする隊員がいたが、それだけでも助けなくてないけないと思った。
治安出動しているが、治安どころではない。
どうすることもできない。
嫌な気持ちになりながらも、現場から逃げた。
つまりは、一般市民を見捨ててしまったわけだ。
逃げるときにはそれほど罪の意識を感じなかったが、落ち着いてくると毎日悩んでしまう。
あの時に死んでおけばよかったのだろうかと・・・。
・・・いや、偽善だな。 俺は自分の命が惜しかったのだ。
そう思って頭を軽く振った。
また、逃げている途中で、元隊員の先輩に遭遇。
関東連合とかいう反社会組織に属しているという話は聞いていた。
組の構成員も3名いた。
非常事態ということもあって、一緒に行動することになったが、今となっては後悔の方が強くなっている。
先輩を隊長として、7名で名古屋方面に向かって移動していた。
名古屋市街地でも、戦車などの残骸を確認。
もっと都市部から離れた方がいいと思い、京都方面に移動していると、大きな城壁が見えてきた。
城壁に沿って歩いていると入り口が見える。
小隊長たちが入り口で助けを求めると、中の住人は快く受け入れてくれた。
住人は40人程だろうか、どの人もこちらを気遣ってよくしてくれた。
聞けば、異世界人という。
魔法なんかで建物なんかを一瞬で建てていた。
地球人はいなかったのかと聞いてみたが、いなかったようだ。
小隊長たちは魔法の知識と現状を確認しつつ、これからどうにかやって行こうと思っていた。
魔法の効果は絶大だった。
自分のイメージがそのまま身体能力に反映される。
自分の職を選び、城壁を出たり入ったりしながら魔物を倒し、レベリングを重ねていた。
10
お気に入りに追加
362
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる