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259 本物の職人ってこういう人を言うんだろうな
しおりを挟む「・・じいちゃん、銃の能力に魔力吸収っていうのがあるんだが・・何?」
俺は聞いてみた。
「知らん!」
じいちゃんが素っ気なく答える。
「え? ・・・じいちゃん、知らんって」
俺の方が驚いた。
「テツ、銃を撃つときに魔法力で撃つのだろう? だからそう思いながら打っただけだ。 どんな能力が付与されているのかは、わからん」
じいちゃんは落ち着いて言う。
「・・・・・・」
・・じいちゃん、職人だな、全く。
俺は言葉を失った。
つまり、銃を作ることに集中して、雑念がない。
どういった能力をつけてやろうかなんて考えて打ってないのだろう。
ただ、初めのイメージはあるのだろうが、それを思ったら、後はひたすら打つだけみたいだな。
だからこそ、すごいものができるのだろう。
「じいちゃん・・ありがとう」
俺は本当に感謝した。
じいちゃんはお茶を飲みながら、うなずいている。
・・・フレイアが横にいると、ニコニコしてるな・・・。
しかし、本当に、凄いものを作ってるな、じいちゃんは・・。
防具にしても、これのおかげでどれだけ救われたか、わからない。
刀にしてもそうだ。
そして、これからこの銃にも助けられるのだろう。
俺はそう思いつつ、銃を眺めていた。
あれ? 弾倉がないぞ・・どうやって弾を込めるんだ?
そんなことを考えていた。
じいちゃんはお茶を飲み終わると、俺のところへ来て魔石を出せという。
じいちゃんの言われるままに魔石を手渡すと、今度はフレイアの弓や防具なんかも打つという。
フレイアが恐縮していたが、構わずに作業室へ連れて行った。
・・・・・
・・・
・・
しばらくして出てくると、フレイアがとてもうれしそうな顔で出てきた。
「テツ!! 見てくれ、私の弓、それからレイピアと防具・・・これほどのものは、一生手に入らないぞ!!」
フレイアが今にも飛び上がりそうな感じで話しかけてきた。
後ろからじいちゃんが出てきた。
やや疲れている感じがする。
・・・そりゃ、2つセットを連続で打ったからな・・・
いや、違う。
じいちゃんのほっぺにキスマークがある。
・・・じいちゃん、良かったな。
銃の弾倉のことは俺も忘れていた。
時間は17時過ぎになっている。
ばあちゃんが食べていくかい?と聞いてくれたので、お言葉に甘えて・・と、食べさせてもらった。
ありがとう、ばあちゃん。
おいしく夕食をいただき、ばあちゃんの家を後にする。
気を付けて行ってこいと、声をかけてもらった。
行ってきます!
時間は18時少し前だ。
「ふぅ・・お腹いっぱい。 フレイア・・今から地上へ行って、出発する?」
俺はフレイアに聞いてみた。
「そうね・・デザートにチーズケーキは外せないわね」
フレイアがそういいながら、地上へ行こうとなった。
・・・まだ食べるのか・・。
まずはスーパーエイトだな。
俺たちはギルドへ向かい、定期船の発着場へ向かう。
ギルドは相変わらず賑わっている。
その中を通って、発着場への昇降装置に乗った。
毎回思うが、本当に振動がなく運んでくれるよな。
すぐに発着場へ到着。
出発寸前の地上行きの船があった。
俺たちは急いで乗り込んだ。
「間もなく扉が閉まります。 ご注意ください」
定期船のアナウンスが流れて、ドアが閉まった。
振動もなく定期船が移動する。
すぐに地上へと到着し、俺たちはスーパーエイトへと向かう。
時間は19時前だ。
スーパーエイトに到着してみると、人の出入りが結構ある。
街も安定してきているので、人が目立つな・・。
俺は、いいことだと思いながら、中へ入っていった。
フレイアが迷わずスイーツコーナーに向かって行く。
金色の髪をなびかせて、グングンと歩いて行く。
・・・目立つよな・・。
しかも、他のエリアは全く興味がないようだ。
俺も遅れながら、ゆっくりと後を追った。
あ、ついでに調味料でも買っておこう。
そう思って調味料などを置いている列に入っていった。
手軽にできるものを選ぶ。
ホイコーローの元や野菜炒めの元など・・・。
さて、フレイアの方へ行ってみよう。
・・・・
あのアホ・・・。
スイーツコーナーに、まるで置物のように突っ立っている。
お客さんが、置物かと思って近づいたりしてるようだ。
子どもが近寄って行くと、お母さんだろうか・・
見ちゃいけません、なんて言ってるのが聞こえる。
・・・微動だにしないな・・・。
俺も近づいて行き、声をかける。
「フレイア・・・」
俺の声が聞こえたのか、聞こえないのかわからない。
・・・フレイアが黙って指を差した。
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