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238 ギルマスの思い付きで仕事がパッと進むんですけど・・・
しおりを挟む「テツ君、大活躍だね」
ギルマスがニコニコしながら俺に席を勧めてくれた。
俺は席につきながら、
「・・ギルドマスター・・私は、本当にそんなに活躍してるんですか?」
「あはは・・・何を言ってるんだ。
ドワーフ王国を助けて、その後の調整までしたそうじゃないか。
大功績だよ」
・・・・
俺には言葉がない。
「・・・ギルドマスター・・・私は、単にその場その場をしのいでいるだけなのですが・・・。
活躍って言われても、何かいい気分にはなれないですね」
俺は正直な気持ちを打ち明けた。
なんか、このギルドマスターには何でも話せそうな感じがある。
「そうか・・君はあまり欲がないね。
普通なら、皆、自分をアピールするんだがね・・・
それとも、地球人の特性なのかな?」
ギルマスは真剣に考えてくれている。
「・・・いや、私の性格だと思います。
後、アニム王からいただいている報酬も・・
私の感覚では、莫大なものですが・・・」
俺はゆっくりとギルマスを見る。
「う~ん・・王様から出る報酬は、決して多すぎることはないと思うんだが・・・
ま、遠慮なく受け取っておくことだな。
邪魔になるわけじゃないし・・」
ギルマスは軽く言ってくれる。
「・・・それと、テツ君。
君のランクだが、Aランクになってもらうよ。
無論、フレイアさんも同じだ」
あれ?
そういえば、フレイアってライセンスカードって・・・。
そうか!
もともとこちらの住人だ。
持っていて当然だろう。
・・なるほど。
「・・それはありがたくいただきます」
俺はそう答えた。
ランクが上がるのは問題ないだろう。
誰に迷惑をかけるわけでもない。
「・・なるほど。
テツ君、充実してるようでなによりだ。
それと、ランクA以上はライセンスカードにはBとしか表示されないようになっているから」
ギルマスがそう言って、ライセンスカードを見てみろと顎で合図する。
見ると、確かにライセンスカードにはBと表示されている。
そのカードをギルマスが持っているパネルに置くと、カードのBの表示がAに変化した。
「あ・・・」
俺は思わず言葉が出た。
「テツ君、なんでこんな面倒なことをやっているのかっていう顔だな」
ギルマスは続けて言う。
「ランクが高いと、良い面もあるが、不都合な面も出てくる。
B表示なら、そこそこの冒険者だろうとみてくれる。
無理な仕事も押し付けられなければ、舐められることも少ない。
まぁ、今までの経験から我々のギルドネットワークではそうしているんだ。
だから、カードの表示がBだからといって、その人の実力はわからない」
ギルマスはそういって軽く背中を叩いてきた。
「なかなかおもしろいシステムだろう?」
ギルマスがニヤッとしながら言う。
・・・・
俺もうなずいた。
確かに、高ランクなら敬遠されたり、名声などのために狙われたりする可能性がある。
でも、Bランク表示なら、もしかしてAランクかも・・・なんて思ったら、変なちょっかいを出せないし、Bランクになりたてでも、余計なトラブルが減るだろうな・・。
そんなことを思ったりした。
「ところで、テツ君はこれからどうするんだい?」
ギルマスが聞いてくる。
「はい、地上へ買い出しに行って来ようと思っています」
「なるほど・・地球の食材を調達だね」
「はい」
「・・ふむ、そのうちにこの街にも同じような店を出してもらうとしようかな・・」
ギルマスが顎に手を当てながら、つぶやいている。
「え?
帝都にスーパーを持ってくるのですか?」
俺は思わず聞いた。
「そうだな・・テツ君が必要ということは、他の人たちも必要になるだろう。
それに、我々も同じようなものを食べているんだし、問題ないだろう」
「・・・・」
俺は言葉がない。
・・・パッと決めて実行に移そうとする。
仕事が早い。
「そうだ、テツ君。
地上へ行くなら、ついでにそのお店、スーパーだったかな?
帝都にも作れるかどうか聞いてきてくれないか?」
ギルマスがいきなり聞いてきた。
・・・なんか軽いけど、重要な仕事のような気もする。
その時にフレイアが口を挟んできた。
「ミラン、そうなのよ。
そのお店でとってもおいしそうなスイーツがあるみたいなの。
私、食べれなかったんだけど・・・」
俺をジロッと見てくる。
「だったら、なおさらだね。
頼んだよ」
ギルマスはそういうと席を立った。
俺たちも席を立ちギルマスに挨拶をする。
そして、ギルドの定期船の発着場へ向かった。
ギルドの受付のフロアからエレベーターみたいな昇降装置に乗って発着場へ移動する。
音もなく運んでくれる。
発着場についてみると、結構人がいる。
みんな、すでに地上と行き来しているじゃないか。
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