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201 優・・・やるな!
しおりを挟む家に入ると、フレイアがいた。
「あ、テツお帰り~」
「・・・ただいま」
・・・なんか違うよな。
フレイア、俺の嫁さんじゃないけど・・・ま、いっか。
「あれ、レイアは?」
俺がそうつぶやいてみると、フレイアが嬉しそうに飛んできた。
「ね、ね、聞いてくれる?」
言いたくて仕方ない感じだ。
「何かあったの?」
俺は生活魔法で身体をきれいにしながら聞いてみた。
「うふふ・・・。
あのね、優君と今デート中なのよ♡」
!!!!
俺は驚いた!
マジか?
あの優が・・・。
・・・行動力あるな。
しかし、レイアが誘ったのかもしれない・・
そんなことを考えて、フレイアに聞いてみる。
「どうなって、そうなった?」
「実はね・・・」
フレイアが説明してくれた。
俺が、ばあちゃん家から出た後のことらしい。
フレイアもレイアもお茶を満喫し、ばあちゃんの家を後にした。
優も一緒に出て来たという。
フレイア達が俺の家に向かってる時に、優がレイアに声をかけてきたそうだ。
「レイアさん、俺と一緒に冒険してくれませんか」って・・。
俺は優の度胸に感心した。
中学生だろ?
よく告白できたな。
・・・子供って、知らない間に、というより、大人が思ってる以上に成長が早いんだな。
親としては、うれしくもあり、驚きもある。
複雑な心境だ。
しかし、これからが楽しみだな。
・・・ここでからかったら、ダメだろうな。
優は、自分の冒険を作って行くのだろう。
俺が支援してたら、大人になれないし、ダメにしてしまう。
親の方が子離れしないといけないということか・・・。
なんか少し寂しいが、これからは少しずつ対等の人間として、付き合いが始まるだろうとも思った。
そして、レイアと一緒に成長してもらえれば、とてもいい感じになるんじゃないか?
「そっか・・そんなことがあったのか。
・・・なんか微笑ましいな」
俺がそうつぶやくと、フレイアも一緒になって喜んでくれた。
「でしょ!
あの二人お似合いよ」
「そっか・・・。
で、どこへ行ったんだろう?」
「さぁ、たぶん散歩か、月でも見ながらいっぱい話してるんでしょうね」
「・・なるほど・・・」
俺はそう答えつつも、心配なことが頭に浮かんだ。
「・・フレイア・・そういえば、あの・・その・・」
俺は口ごもりながら話している。
「テツ、何よ?
はっきりしないわね」
「・・うん。
何と言うか、あの二人、これから一緒に成長していくんだろ?
その・・何と言うか・・子供が出来たりしたら・・・」
俺はそれを心配した。
「あ、レイアに子供ができるってこと?
それは心配ないと思うわ。
まだ、あの子は交配期じゃないし・・・。
それにできても問題ないでしょ?」
・・・・・
フレイアは軽く、当たり前のように答えてくる。
「・・いや、しかしだなぁ・・・」
「テツ、優君は立派な冒険者よ。
前に一緒に魔物を討伐に行ったけど、戦闘センスには驚いたわよ。
一撃で魔物の急所を突くんだもの」
・・・フレイアさん、それは優のスキルです。
それは言わないことにしておこう。
「・・う~ん・・」
俺も言葉では納得できる。
だが、まだ普通なら中学生だ。
14歳だぞ。
それがなぁ・・・。
・・・・・
・・いや、しかし、戦国時代はそんなものか・・・。
俺はフトそんな考えが頭に浮かんだ。
・・・むしろ、今までの社会ルールに縛られてるのは俺の方か・・・。
今までの社会システムの常識を身体に刷すり込まれているからな。
それに、冒険者になって活動すれば、食べるのには困ることはないだろう。
そもそも帝都では、普通に生活するには何の不自由もないシステムだ。
だったら、子供ができても安心して暮らしていける。
・・・なるほど・・。
俺は一人でそんなことを考えていた。
下を向いて、しばらく考え込んでいたようだ。
俺はハッとして、フレイアの方を見た。
フレイアが黙って俺を見ていた。
「・・どう?
テツ、答えは出た?」
俺の考えがまとまるまで、待っててくれたのか・・・。
「うん・・・フレイアの言う通りだな。
優は、自分で歩いて行ける!
それにレイアもいるしな」
俺はうなずきながら言ってみた。
「そうでしょ。
安心していいわよ」
「そうだね。
・・・それよりも、どれくらいしたら優たちは帰って来るかな?」
「え?
帰って来るわけないでしょ?」
「は?」
「優君、自分の家持ってたでしょ。
二人でそこに帰るに決まってるじゃない!」
・・・・
俺は、フレイアの言葉で、また少し不安になったが、考えても仕方ない。
もう、優は今までの優じゃない。
はぁ・・俺が大人にならなきゃな・・・。
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