どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

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196 良かった、本当に良かった

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「前の王国のときも、完全に対処することができなかったからね。

その残党が転移してきたのだろう。

また、奴隷などにされてるのは、獣人やエルフ、光の神以外の信仰の人達だろうと思うよ・・全く・・・」

フレイアは静かに聞いている。

俺も言葉が見つからない。



そんな俺たちを見て、アニム王がパッと雰囲気を変えた。

「いや、これはすまない。

王国の政務に関する問題だったね。

余計なことを聞かせてしまった」

「・・アニム・・・」

「いえ、アニム王・・余計なことではないと思います。

私も王国の住人になったのですから・・・」

「・・ありがとう、テツ・・」

アニム王が微笑んでくれる。



「それにしてもテツ、君の冒険探索がかなり役立っているよ」

アニム王が褒めてくれた。



「・・本当ですか?

俺は、いや私は自分の好き勝手に動いているのですが・・・」

「・・それが良いのかもしれないね。

それに、君のいたところの地上とだが、近々定期船を就航することになるかもしれないと、ミランが言っていたよ」



!!



「定期船ですか?」

俺は驚いた。

まさかそんな話が出来上がってきていたとは・・・。

恐ろしいスピードで物事が進んでいるんじゃないのか?

・・俺の尺度では・・無理だな・・。



「そう、定期船だ。

そうなれば、地上との行き来は楽になるし、交流もできる」

アニム王は軽く言う。



そんなアニム王を見ながらフレイアが、ようやく言葉を出してきた。

「・・アニム・・レイアの目だけど、本当に治るの?」

・・・そうだった。

それが一番大事なことだった。

俺は反省・・。



「フレイア、問題ないよ。

治療師に聞けば、完全に回復できると言っている。

もしダメなら、私が時間遡行じかんそこうを行うよ」



!!

「あ、そっか・・。

でも、アニム・・さかのぼれる時間って・・」

フレイアが少し不安そうにアニム王の方を向く。

「72時間だよ。

でも、レイアが転移してきてどれくらい時間が経過しているんだろうね?」

アニム王が笑いながら答える。

!!!

「レイアが転移してきたのって、私たちよりも随分後だわね。

帝都の住人が移動してきた時くらいかしら・・・なるほど・・・」

フレイアはホッとしたようだった。



その時、俺たちのいる部屋の扉がゆっくりと開かれていく。

俺たちはその扉の方を見た。



フレイアにそっくりな、美人の女の子が立っていた。

横にいた女の人が一礼をして、後ずさる。

「・・・姉さん・・・」

レイアの声だ。



フレイアはレイアの方を見つめながら、わずかに震えていた。

左手を口に当てて、しっかりとその声の方を見つめている。

・・・・

フレイアの頬に大粒の涙が流れていた。

言葉が出ないようだ。





レイアはゆっくりと歩いて、俺たちの方へ向かってくる。

アニム王の近くまで来ると、アニム王をしっかりと見て深々とお辞儀をした。



「アニム様、本当にお世話になりました。

ありがとうございます」

アニム王は微笑んで、軽くうなずく。

「レイア・・気にすることはないよ」



レイアは元の状態に戻ると、フレイアの前に歩いてくる。

フレイアの目を見つめて、

「姉さん・・・」

フレイアは言葉を発することなく、何度もうなずいている。

自然とフレイアはレイアをギュッと抱きしめていた。



本当に良かった。

完全に目を潰されていたからな。

刀傷で横一文字に切られていた。

見てるだけで痛そうだった。



・・・しかし、斎藤だっけ?

あいつらのいる集団は、ロクなものじゃないだろう。

俺がそんなことを思いつつも、レイアとフレイアの喜びあってる姿を見ると、素直に今を喜ぼうと思えた。



「テツ・・」

アニム王が俺にそう言うと、親指で合図し、俺たちは外へ出た。



「姉妹で積もる話もあるだろう・・」

「そうですね・・ですが、アニム王・・本当にありがとうございました」

俺は心からお礼を言った。

「テツ、当然のことをしたまでだよ。

気にすることはない」

アニム王は普通に答える。



「テツ、後はよろしく頼むよ。

私はまた公務に戻らないといけないからね。

・・あ、そうそう、また後でギルドに寄ってもらっていいかな。

今回の報酬とミランから何か話があると聞いているが・・・」

アニム王はそういうと、公務に戻っていった。



・・・報酬って・・

俺、そんなに仕事をしたのかな?

そう思いつつも、ギルマスの呼び出しの方が気になった。

・・・誰かに呼ばれるって、何か俺のトラウマでもあるのか?

良い方向へ考えれないんだよな。





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