どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

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191 ・・嫌な怒りで、我を忘れそうだ・・

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「・・・誰か・・そこにいるのですか・・・」

檻の中から、蚊の鳴くような声で語り掛けてくる。



「レイア!!!」

フレイアが思わず叫んでいた。



檻の中の子がその声に反応した。

力なくゆっくりと身体を起こしている。



「・・・その声・・お姉ちゃん・・なの?・・・」

フレイアが涙を流しながら大きくうなずいていた。



「・・お姉ちゃん・・どこにいるの?」

その言葉に、俺とフレイアはビクッとした。



「・・レイア・・ここに私はいるわ・・」

フレイアがそう声をかける。

檻の中から、細い折れそうな腕を震えながら伸ばしてくる。



「・・お姉ちゃん・・・」

レイアと呼ばれる子の手をフレイアがぎゅっと掴つかむ。

「・・・レイア・・・」

フレイアは泣きながら、檻の前でレイアの腕を掴つかんでいた。





レイアはかなり衰弱しているらしく、よく見れば身体も傷だらけだ。

フレイアは回復魔法をかけていた。



すぐに身体の傷は回復したようだが、体力はどうにもならない。

しかも、目が見えないようだった。



!!!



・・・明らかに目を潰されている。

酷ひどいことを・・・・。

俺の中で静かに嫌な感覚が沸き起こる。





「テツ・・私の魔法では、目は治せないわ」

フレイアが震える声で辛そうにこちらを向く。



「・・フレイア・・帝都に行けば、何とかなるだろう」

俺がそういうと、フレイアの目が大きくなってうなずいていた。

俺とフレイアがそうやって会話していると、入り口のところに受付の男が入って来た。



「こちらです、斎藤さん・・・」

男はそういうと、一人男を招き入れた。

!!

・・・見たことあるぞ・・・



確か・・・えっと・・・・・

誰だっけ?

いや、見たことはあるんだ。

どこでだったかな?

俺が考えてる間に、斎藤と呼ばれた男が俺の前に来ていた。



「・・貴様は、確かテツとかいう男だったかな?」

斎藤は開口一番そう言ってきた。



・・・いやいや・・いきなり貴様呼ばわりですか?

そりゃ、古典なら尊敬語でしょうけど・・ねぇ・・・

余計なことを突っ込もうかと思ったが、そういう雰囲気ではないだろう。



俺は斎藤を見つめて聞いてみた。

「・・この建物にいる人たちは、何なのです?」

斎藤の口がニヤッと吊り上がったように見えた。



「フッ・・・」

鼻息を出しながら、俺を見た。

受付の男が代わりに説明をしてくれる。

「斎藤さん、私が説明しましょう」

男が少し前に出てきた。



「この建物にいる連中は、奴隷や捕虜です。

我々に敵対したり、この街の外で居たのを保護したのです」



フレイアが反応した。

「貴様!

保護しただと・・・」

俺がフレイアの前に手を出し、制止する。



「保護にしては、乱暴な扱いだな・・・」

俺は男を見据えて静かに答える。

人を見て話すなんて苦手なんだが・・・。

まぁ・・こんな心境では・・な。



男は、斎藤がいるのが心強いのか、なおも続ける。

「拾ったもの・・いえ、保護したものを我々がどうしようと勝手だと思いませんか?

それに生きているのです。

むしろ感謝してもらいたいものです。

その檻の中のエルフは上玉でね・・

ただ、少し暴れるものですから、保護するのに手間取りましたが・・・」

男がそこまで言うと、斎藤が男の前に手を出して、言葉を遮さえぎった。



俺はそれを見つつ、斎藤と男に言ってみた。

「では、この子を解放してもらえませんかね。

どうも私の相棒の知り合いのようですから・・」

内心は怒りで自分を見失いそうだ。



もしこの男が加担してるなら、死刑確定だ。

・・・・

・・・・

さて、どんな反応が返ってくるのか・・・

斎藤、レベル25。

レイア、レベル26。

俺が見た数値だ。



斎藤は、そのレベルとは違って、何かある。

そう感じさせる。



「・・俺の一存では決められないな。

それよりも、貴様のその腰にある刀・・・

居合か何かをやっているのか?」

斎藤は静かに、だが威圧的に聞いてくる。



こいつ・・俺たちを殺る気のようだな・・

俺は確信した。

・・・斎藤だったっけ?

戦うことしか興味のない感じだな。





「いえ、剣術は習ったことがありません。

我流です。

ですが、斎藤さん・・あなたこそ、その立ち居振る舞いは武道をたしなんでるでしょう」

俺はそう言葉を返した。



俺は決して強くはない。

だが、少林寺拳法や空手など、習っていてある程度継続して身につけている。

だからこそ感じるものがある。



ほんの少しの動き、足の運びなんかで違和感を感じる。

普通じゃないと・・・。

少し構えただけで、武道経験者だとわかる。

構え方が違う。

隙があるとかそんなんじゃない。

言葉にならない言葉。

身体が語ってくる。





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