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190 ・・・? レイア?・・
しおりを挟むやや大きな、体育館のような建物の前でフレイアが止まった。
俺はフレイアを見つつ聞いた。
「ここなのか?」
フレイアは無言でうなずいていたが、顔が真剣な表情になっていた。
「どうしたんだ、フレイア?」
フレイアのあまりにも真剣な顔に、俺は聞いてみた。
「・・・うん・・この魔素・・・なんか知ってる感じがするのね・・だけど・・弱々しくてはっきりわからないの・・・」
フレイアはおそるおそる俺に言ってくる。
とにかく中に入ればわかるだろう。
俺はそう思って、建物の中に入って行った。
入った瞬間にわかった。
奴隷を扱ってる店のようだ。
変な匂いはしない。
だが、気持ちのいいものではない。
受付の男が、こちらをジロッと見る。
「何か御用ですか?」
「・・こちらは何の店なんです?」
俺は聞いてみた。
男はふぅ・・と息を吐きだしながら、面倒くさそうに答える。
「旦那、食堂に見えますかい?」
・・・明らかに舐めてるな。
俺はそう感じたが、無視することにした。
「・・いや、俺の感覚が間違えてなければ、奴隷商に見えるんだが・・・」
「へい、その通りです」
この空間にでも、檻に入れられていて、首の辺りに首輪をされているものがいる。
「そうか・・俺の感覚は間違えてないな」
俺はそういった。
奴隷商の男は俺を見つめている。
・・・男に見つめられてもうれしくないんだが・・・
「・・旦那・・人間ですよね?」
はぁ?
何言ってるんだ、こいつ!
!!
俺はそう思ったが、すぐにわかった。
俺を鑑定していたんだな。
「人間だが、何か見えたか?」
俺はそう聞いてみた。
男はやや驚いたような顔をしつつ、
「・・いえ、なんでもありません」
「・・俺を鑑定できなかったか・・」
俺は試してみた。
・・・図星だったようだ。
男は明らかに焦っている。
「・・おっさんはレベル23なんだな・・」
俺がそう言うと、びっくりしたようだ。
顔に汗が浮かんできていた。
おっと、忘れていた。
こんなおっさんに構っているところじゃない。
フレイアに向き直った。
「で、フレイア・・その弱々しい魔素はどこだ?」
俺はフレイアに聞いてみる。
フレイアが建物の奥の方を指さした。
「おっさん・・あの奥の部屋を見せてもらっていいか?」
男は引きつったような顔をしていた。
「・・いえ・・あの部屋はちょっと・・・」
どうも見せたくないらしい。
「おっさん・・見せてくれ。
別に減るものでもないだろう」
俺は男を見つつ言ってみた。
こんな場合は金きんでもあれば渡してやるんだが、持ってないしな・・・。
男は少し震えているようだった。
・・・あの部屋に何かあるのか?
余計に見たくなってきた。
「おっさん・・あの部屋に何かあるのか?」
俺はさらに聞いてみた。
「いえ、捕まえられた奴隷がいるのですが・・・
汚れていて、その・・・売り物にならないんです」
男はそう答える。
「そうか・・だったら見ても問題ないだろう」
俺はそういって奥の部屋へ向かった。
フレイアも一緒に行く。
フレイアが先ほどからしゃべらなくなった。
何か感じているのか?
そう思いつつも、部屋の前に来た。
ゆっくりと扉を開ける。
それほど広い部屋ではないが、檻が1つ隅の方に見える。
中の人?は、まるで死んでいるようだ。
俺が部屋に入って見渡してみる。
それほど汚い部屋でもないなと思った。
檻の前でフレイアが立ち止まっている。
・・・フレイアが震えていた・・・。
「フレイ・・・」
俺は声をかけようとしたが、やめた。
フレイアが片手で口を押えて、震えながら小さな声で呟つぶやいているのが聞こえる。
「・・うそ・・・」
フレイアの目線の先の檻の中に、優と同じくらいの大きさの子だろうか。
首輪をした子が横になっていた。
かろうじて息をしている感じだ。
フレイアは檻の前で膝をついて座ってしまった。
身体は震えている。
俺はようやく声をかけることができた。
「フレイア・・どうしたんだ?」
俺はできるだけ優しく話しかけた。
「・・・・レイア・・・」
フレイアが弱々しくつぶやいていた。
??
「・・・何?」
俺にはよく聞き取れなかった。
「・・・・レイア・・・」
また同じようにつぶやいている。
「レイア?」
俺はフレイアの言葉をオウム返しに口にした。
フレイアがうなずく。
俺にはまだ状況がよくわからない。
「フレイア・・レイアって・・?」
フレイアの横に片膝をつき、聞いてみた。
「・・・・妹なの・・・でもどうして・・・」
!!!!
「フレイアの妹さんなのか!!」
俺は、やや大きな声を出したようだ。
檻の中の子が、動いたような気がした。
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