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180 ・・・サイクロプス・・マジか・・
しおりを挟むミノタウロスが俺に近づきつつ、斧を振り下ろしてきた。
斧が直撃すれば、やはりかなりのダメージを負うだろう。
だが、斧が振り下ろされるより速く、俺の方が動ける。
斧がまだ俺の頭の上にあるときに、刀を抜き横に薙ぎ払った。
そのままミノタウロスを躱かわして、後ろにかけぬける。
そして、振り向きつつ、上から刀を振り下ろす!
ミノタウロスの頭からきれいに引っかかることもなく地面まで刀が抜けた。
ほぼ同時に、ミノタウロスの斧が地面に到着したようだ。
ドゴォーーーーーーーン!!!!
地響きとともに、ミノタウロスの前面がクレーターのようにえぐれていた。
その穴に、そのままミノタウロスも一緒に倒れ込んで行く。
「経験値を獲得しました」
・・・・・
天の声を聞きつつ、魔石を回収。
ついでに斧ももらっておこう。
アイテムボックスに回収。
フレイアが近寄って来て、やや呆れたように言う。
「テツ・・あなた本当に何者なの?
ううん、わかってるわ。
人間だもの・・・
でもねぇ、この目の前で起きた光景を見ると、まるで物語絵本を見ているみたいよ」
「・・・そうなのか、フレイア・・・」
フレイアは頭をゆっくり振って、
「そうなのかって・・ねぇ・・・
ミノタウロスをソロで倒す人って・・・いないわよ。
大体パーティを組んで、援護魔法を得ながらようやく倒せるような魔物だもの。
それに、めったに遭遇することもない魔物だしね・・」
やや呆れながら、フレイアが話している。
「フレイア・・俺達だってパーティを組んでるぞ」
俺は微笑みながらフレイアに言ってみた。
「・・あのね・・パーティって言っても・・・」
そこまでだった。
やはりもう1体の魔物、サイクロプスに気づかれたようだ。
まっすぐこちらに向かってくる。
フレイアもサイクロプスは見たことがあるが、戦うのは初めてだそうだ。
・・・大丈夫かな?
少しだけ不安になった。
ジャラ、ジャラという何かを引きずる金属音が聞こえてくる。
ビルなどの瓦礫の向こうに動いているものが見える。
サイクロプスだろう。
だが、まだかなり距離があるはずだ。
それでも見えるということは、でかいのだろう・・・。
レベル40。
俺よりも1つ上だが、今はソロじゃない。
フレイアがいる。
それだけで心強い。
サイクロプスが近づいてきているはず・・・だが、気分が悪くなる感じだ。
その大きさのせいか、距離感がつかめない。
顔の部分に目が一つ。
そりゃ、サイクロプスだからな。
だが、だんだんとその身体が大きくなってくる。
どれくらいの距離が離れているのかわからないが、見上げる感じになってきた。
それにジャラジャラといった金属音。
どうやら引きずっているらしい鉄球みたいなものがあった。
あんなものを振り回されたり、当たったら・・・
巨大戦艦でも木っ端みじんじゃないのか?
でかすぎるだろ!!
そもそも振り回せるのか?
いや、あの巨体だ。
振り回せるのだろう。
そう思っていたら、サイクロプスが右手を動かしだした。
ブンと一振りすると、鉄球がブオンと重い風を切る音をたてて、回りだした。
恐怖よりも、その鉄球って回るんだと感心した。
俺とフレイアは左右に分かれて移動する。
あの鉄球にあたるはずもないだろうが、その衝撃にはかなり注意しなければいけないだろう。
フレイアが移動しつつ、矢を放っていた。
俺の方から見えるだけでも、5本は矢が刺さっている。
しかし、サイクロプスは気にする様子すらない。
鉄球を回しつつ、俺の方へその鉄球を放ってきた。
すべての音が消えたような感覚を受ける!
!!!!
ヤバい!!!
俺は思いっきり飛んだ!
鉄球の飛んでくる方向に対して直角方向へ飛ぶ。
飛びつつもその鉄球の接地した辺りを見ていた。
・・・津波だ・・・。
土や瓦礫がれきの津波だ。
鉄球が地面をえぐるというものじゃない。
地面が波打って盛り上がっていき、崩れ広がる。
どれくらい広がっているのだろう。
そこら辺のサッカー場や野球場がいくつも入りそうだ。
地響きみたいな音が鳴ったような鳴らないような・・・わからない。
そりゃ、こんなのをくらったら、何も残らないな。
だが、感心ばかりしていられない。
どうにかして倒さないと。
サイクロプス自体の動きは速くない。
だが、鉄球を振り回す速度は結構ある。
それにあの威力だ。
鉄球を放った直後は少し動きが鈍くなるのかと思った。
・・・だが違った。
サイクロプスは関係なく、鉄球を持っている腕を引き戻すと、鉄球がゴムボールのように戻って行った。
・・・アホみたいな怪力だな。
とにかく俺にできることは刀で切ることくらいだ。
それしかできない。
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